【トヨタ アルファード/ヴェルファイア 新型試乗】Lサイズミニバンを動かしていることを忘れてしまう…九島辰也
レスポンス / 2023年9月1日 20時0分
新型トヨタ『アルファード』&『ヴェルファイア』は、クルマの基本骨格が良くなったと思われる。端的に言えば、ボディ剛性を高め、走る、止まる、曲がる、といったベース性能が高まったようだ。
事実プレゼンテーションでもそれは語られていて、ボディに環状構造をいくつも取り入れたり、ボディサイドのストレートロッカーとリアのY型アンダーボディを結合させたりしたらしい。ヴェルファイアはさらにサスペンションのタワーバーの取り付けから見直したという。
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結果、動き出しからクルマ全体に一体感があり、スーッと走り出す。アクセルに対して重い物を「よっこらしょ」っと動かす感覚はない。ステアリング操作に対する反応もそうで、全体的に素早い。連続するコーナーでもっさりした動きはなく、キビキビ向きを変えるから驚いた。しばらく走っていると、Lサイズミニバンを動かしていることを忘れてしまうほどである。
◆3つのタイヤサイズ、3つのパワートレインで異なる走り
乗り心地は、3つのタイヤサイズで異なる。やはり17インチとのマッチングが一番で、ミニバンという性格からこちらを推奨する。全体的にフラットで細かいピッチングは無い。これなら2列目および3列目からもクレームはないだろう。
それと比較すると19インチはスタビリティは高いのだが、細かいピッチングは発生する。運転席に座っているとさほど気にならないが、2列目だとやはりそれなりに感じた。使い方次第だが、そこに敏感な人を乗せたらロングドライブは嫌がるかもしれない。『プリウス』の19インチよりはマシではあるが。
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パワートレインはアルファードに自然吸気の2.5リットル直4、ヴェルファイアに2.4リットル直4ターボをそれぞれ載せるほか、2.5リットルユニットをモーターと組み合わせたハイブリッドを両者共有する。価格レンジを広くするためにそうなっているのだろうが、フツーに考えればハイブリッドを選択するであろう。走行中のモーターのアシストによる力強さや燃費を考えるとそれがベストチョイスだ。
駆動方式は予算に余裕があれば「E-Four」を選んで問題ないが、東京のように一年に一回か二回しか雪の降らないエリアではFWDで十分。機敏さもこちらの方が強く感じられるので、運転が楽しいはずだ。
◆見た目の迫力は一番「ヴェルファイア Z プレミア」
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では、皆さん気になる「ヴェルファイア Z プレミア」だが、確かに見た目の迫力は一番かもしれない。ブラックに化粧された19インチホイール&タイヤと専用チューニングのサスペンション、黒をアクセントとしたエクステリアとインテリアは、法人需要ではなくプライベートカーとして仕上がっている。
トヨタが言うところの「ヤング・アット・ハート」な人たちのハートには刺さるだろう。ターボも含めた走りのテイストも明らかにそっちだ。側から見ると少々荒っぽい運転になることは危惧するが、間違いなく売れるグレードである。
この他では進化したPDAがうまい塩梅に運転をサポートしてくれた。『ノア』&『ヴォクシー』から守備範囲を拡張したもので、プリウスと同じスペックのシステムが搭載される。カメラが車道上の歩行者や自転車を検知したり、前走車の加減速を感知してスピードコントロールしてくれる他、信号のある交差点で右左折時の減速をしてくれる。まぁ、あくまでもサポート機能だが、これに慣れると楽なのは確かだ。
◆ミニバンでも運動性能がよくなると運転が楽しくなる
というのが話題のミニバンのファーストコンタクト。ミニバンでも運動性能がよくなると運転が楽しくなるが、その反面周りを威圧しかねないネガティブさもある。その辺をマーケットがどう受け入れるのか動向を追ってみたい。
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■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。
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