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“水素欠”したクルマをレスキュー、トヨタとJAFが「給水素トラック」のプロトタイプを公開

レスポンス / 2023年9月11日 9時15分

トヨタ自動車は9月2日、スーパー耐久シリーズ第5戦の会場となったモビリティリゾートもてぎ(栃木県茂木町)のイベント広場にて、JAF(日本自動車連盟)と共同開発した給水素車のプロトタイプを初公開した。


同車は、FCEV(燃料電池車)が燃料切れを起こした際に直接給水素を行えるロードサービスカーだ。従来水素を運ぶには金属のカードルを使用する必要があったが、スペースや重量面での課題があった。そこで、トヨタは2021年秋以来、『MIRAI(ミライ)』で培った軽量かつ高圧力で水素を運搬可能な樹脂ライナー製CFRP(炭素繊維強化プラスチック)タンクを活用しモジュール化することで、より効率的に水素が運べるよう取り組みを続けてきた。荷台前方の水素貯蔵モジュールには、タンクが4本格納されており、MIRAI 20台分の水素を運ぶことができる。


現時点ではFCEVが水素欠(燃料切れ)を起こした場合、レッカー車で水素ステーションまで移動させるしか手段がない。JAFによれば昨年度1年間で20件の水素欠による救援要請があったとのこと。トヨタ自動車の太田博文 CVカンパニー チーフエンジニアは「これまでFCトラックや前回のオートポリスでも水素ゴミ収集車などを発表してきたが、クルマを出すだけでは普及に繋がらない。やはり水素を使用する上での不便さや不安を解消していかないといけない」という思いからこの車両の開発に至ったと話す。


当日は、こちらも初公開となった右ハンドル仕様の『クラウンセダンFCEV』に気体水素を給水素(補給)するデモが行われた。約100km走行可能な水素を給水素するのに要した時間は10分ほどだった。


荷台後方は、救援要請が多いバッテリー上がりやタイヤ関連のトラブルなど様々な作業に対応できるよう、JAFのロードサービスにおいて必要な機材が収納できるようになっている。


今後は実証実験を進めていく予定だが、このような給水素車の実証を含めた水素のモビリティ活用における法整備ができていないことが課題として挙げられる。工場設備用の法律はあるものの、それを適応すると申請の手続きが煩雑になり、周囲数メートルに人や車が立ち入らないように規制する必要があるなど、ロードサービスとしては現実的ではない。そのため、水素エネルギーの活用を積極的に進める特区にて実施することも念頭に置いているという。


トヨタ自動車の中嶋裕樹副社長は、「水素に関する取り組みは一つひとつが小さなものに感じられるかもしれないが、それらを積み重ねていくしかないと考えている。海外における需要も高まっており、来年には中国に水素スタックを現地生産できる工場を建てるし、ヨーロッパでもそういうお話をさせていただいている。おそらく一般的には地産地消という発想で物事を考えなければいけないので、我々は各マーケットで生産からサービスまでを一体でやらなくてはいけないと思う。ただ、やはり日本の会社なので、日本で新しい技術を開発・実証しそれを他のマーケットに展開していきたい」と語った。


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