トライトン日本導入、ラリーアート復活…活気づく「三菱自動車らしさ」の理由を加藤社長に聞いた
レスポンス / 2023年9月22日 8時0分
ここに来て三菱自動車の商品に活気が戻ってきている感を抱く人は多いのではないだろうか。1月に発表された軽自動車『デリカミニ』は大きな反響を呼び、4月の発売以降も好調な数字を記録している。そして7月にはタイ・バンコクで9年ぶりのフルモデルチェンジを行なった新型『トライトン』を発表。こちらは実に13年ぶりになる日本での販売もアナウンスされ、期待が高まっているという具合だ。
いずれにも言えるのは、三菱自動車らしい個性、独創性を感じさせるクルマだということだろう。『アウトランダーPHEV』の辺りから徐々にそうしたクルマづくりが戻ってきているという雰囲気は感じさせたが、さて三菱自動車の中で一体何が変わったのか。新設されたテストコース、十勝アドベンチャートレイルにて加藤隆雄代表執行役社長 兼 最高経営責任者に聞いた。
◆三菱自動車らしさとは?
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「実は3年ほど前から“三菱自動車らしさ”を追求していこうという会議体を設けまして、企画開発から営業販売まで、ここで色々と検討しています。クルマ作りだけでなくイベント、売り出し方、あとはラリーアート(三菱のモータースポーツブランド)を復活させましたので、これをどう活用していくか。とにかく様々なテーマについて話をしています」
この“三菱自動車らしさ”という言葉、加藤社長に限らず社内からは最近非常によく聞こえてくる。それだけ今、重要なテーマとなっているのが想像できるが、ではその三菱自動車らしさとは?
「あまり難しいことは考えていません。皆も、社員も、似たようなイメージじゃないかと思います。振り返ればWRCやパリ・ダカでのチャンピオンシップ獲得など走破性、4WDの三菱というのもありますし、世界初の量産電気自動車である『i-MiEV』を世に出し、SUVでのPHEVの先駆者であるアウトランダーPHEVを出して、電動車のイメージもある。そうしたものをベースに新たな価値を積み増ししていければというところです」
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実は、こうした会議体が設けられたのは初めてではないという。つまり三菱自動車にとって、これは長年の課題とも言えるわけだが、今回はそれが商品という形になって出てきているのが大きな違いだ。
「7年ほど前にも三菱自動車のブランドをどうするかという会議体がありました。振り返ると、今回言っていることとそんなに変わりません。では今回、何が違うのかというと、7年前の時はブランドを定義して満足してしまった感があります。今回は、定義そのものよりも、もっと具体的にどういうものをクルマに落とし込んでいくか、どんなイベントを行えばお客様に理解してもらえるのか、要は具体的なアクションに繋げることに強化のポイントを置いて進めています。“らしさ”を言葉で色々言うよりも、こんなクルマが出た、こんなイベントが行なわれた……という中で、お客様に“らしさ”を感じていただくことが大切だという思いです」
◆「トライトンは私が『入れようぜ』と言ったんです」
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実際に商品には、まさにそうした部分が色濃く出てくるようになりつつある。今回のトライトン導入も、そんな流れというところだろう。
「トライトンは私が『入れようぜ』と言ったんです。日本の中でもアウトドア志向が強まっていますよね、特にコロナの後。とにかく外に出る、アウトドアで楽しむというのが根付いてきたなというのがベースにあります。あとは三菱自動車らしいクルマということ。ブランドづくりですね。トライトンは幅広いユーザーに受け入れられるものではないと思いますが、見て頂いた時に、迫力あってラリーもしっかり走ってるらしいし、オフロードはすごくいいんだよな、といったイメージをもってもらえるのでは。そこからブランド力を強くしていけるのでは、というのが理由です」
実際、数が沢山出るクルマではないだろう。ユーザーも選ぶところはある。けれど実際に購入した人だけでなく、そうじゃない人にもブランドを浸透させる。その効果を考えれば、トライトンはまさにお誂え向きのモデルに違いない。
「実は販社からも、また出してほしいという声は大きくなってきていたんです。幅広い層ではないけれど、最近だとたとえばジープ『ラングラー』などに30代の人が乗っていたりしていますし、トヨタさんの『ハイラックス』も数が増えてきている。そういうのを見ると、数は多くなくても30代、40代、あるいは20代で、アクティブに活動するお客様にぜひ購入いただければと思っています」
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◆スモールプレイヤーならではの独自性
日産、ルノーとのアライアンスへの参加は、安定した基盤になりクルマづくりのための豊富なリソーセスを得ることになった一方で、日産と共同開発の軽自動車のように、それに頼るばかりでは独自性が損なわれてしまうことにも繋がってしまった。スモールプレイヤーである三菱自動車が、その名を冠するクルマを選んでもらうには、独自性が必須。それを具現化した商品が今、活気を感じさせている。今後の展開にも期待していいはずだ。
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