リーズナブルな2WAY式サスペンションの登場! チューニングの新たな可能性~カスタムHOW TO~
レスポンス / 2023年9月23日 6時30分
車高調といえば減衰力調整機構。これを回すだけでフィーリングもタイムも変わってくるという魔法のダイヤルだが、2WAY式ではそのダイヤルが2種類ある。その使い分けの方法とは!?
サスペンションはスプリングでボディの重さを支えている。なのでそれだけでもいいのだが、スプリングは上下動をしたときにある一定の固有振動数になると共振して止まらなくなってしまうことがある。
またスプリングだけでは沈み込むときに素早く動きすぎるので、ブレーキを踏んだ瞬間に突然姿勢が乱れたりしてしまう。そこでダンパーがその動きを規制している。
ダンパーはオイルの中を穴の空いたピストンバルブが往復することで、抵抗を生み出している。この抵抗がバネの上下動を抑えたり、ロールやノーズダイブするクルマの姿勢をコントロールしているのだ。
減衰力調整ダイヤルはこの抵抗=減衰力を変えるためのもの。減衰力がたっぷりと効いていればクルマはブレーキを踏んでも急にノーズダイブせず、じわっとストロークしていく。
加速に移るときも急に姿勢が変化せず、落ち着いた動きをもたらしてくれる。
◆減衰力調整は大きくわけて2種類
そんな減衰力調整には伸び側と縮み側の大きくわけて2種類がある。縮み側はサスペンションが沈んでいくときの減衰力のこと。ストロークしていく時や段差を乗り越える時のコントロールをしている。
もう一方は伸び側と呼ばれるもの。サスペンションが伸びるときの速度をコントロールする。伸びる時とは段差から降りる時、ブレーキを踏んでから離していくときのサスペンションが伸びるスピードをコントロールすることができるのだ。
そして、一般的に減衰力調整のダイヤルが1つのものは、この伸び側をメインにいじっている。伸び側が主に代わり、縮み側も若干変化するというのが1WAY調整式の特徴。これは内部構造的にそうなってしまう。伸び側だけが変わる方がセッティングは簡単かもしれないが、縮み側も若干変化する。それによって実はセッティングが難しくなっていることもある。
しかも、特に変化するのはサスペンションがゆっくり沈んだり伸びたりするスロー領域と言われるところ。逆にハイスピード領域とは走っている速度にはあまり関係がなく、段差を乗り越えたり降りたりするような素早いサスペンションの上下動のときのことで、この領域はあまり変化がしない。
◆細かいアジャストができる2WAY式
そこで生まれたのが2WAY調整式サスペンション。伸び側と縮み側の減衰力を別々にいじることができる。これができればちょっと段差を超える時に備えて縮み側を緩くしつつ、伸び側は減衰力を強めにしてクルマの動きが大きくならないようにするなど細かい調整ができる。
サーキット走行ではリアの伸び側を強めることでブレーキング時にリアが浮き上がりにくくして、安定した姿勢にするなど細かいアジャストができるのが魅力。
レーシングカーでは現在は当然装備されている機構で、もっと細かく分けられていることもある。ストロークするスピードごとに調整できるようになっていて4WAYなども増えている。これは縮み側の低速、高速、伸び側の低速、高速をそれぞれ別でいじれるもの。細かく調整ができるからこそ、各サーキットに合わせこんでいくことができるのだ。
ストリートカー用ではこれまで2WAY式というと100万円近いメーカーも多かった。しかし、近年はリーズナブルなものも増えている。クスコのTN_R/TN_Sシリーズでは同軸上に伸び側と縮み側の減衰力ダイヤルが配置されるレイアウトのもので、20万円台後半から購入できる。ほかにも、これまでにはなかった価格帯から2WAY式サスペンションがリリースされている。
セッティングが難解になるという声もあるが、それを理由に2WAYを選ばないのはもったいない。減衰力を変える時は2箇所いじらず必ずひとつずつやること。そして、セッティングがわからなくなったら元の数値に戻す。これを繰り返していけば、より自分の走るステージと走り方にマッチした伸縮の減衰力が見つかるはず。それをコツコツと探していくのもチューニングの楽しみ方と言えるだろう。
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