タイヤは命を守るアイテム! 空気圧調整の重要性と方法~カスタムHOW TO~
レスポンス / 2023年10月3日 6時30分
タイヤの空気圧はもっとも簡単にして、もっとも効果が大きく重要な項目。純正指定値だけではないタイヤメーカーが言えない空気圧チューニングの世界を解説。
タイヤの空気圧は普段の点検でも最も重要な項目。空気圧が低すぎればタイヤは潰れすぎてしまい、高速で走行するとタイヤが波立ってしまう「スタンディングウェーブ現象」から、熱を持ってバーストしてしまう。
行楽シーズンに久しぶりの高速道路で突然タイヤがバーストしてしまった、というクルマの多くは劣化したタイヤと空気圧不足が原因であることが多い。
そういったトラブルを防ぐためにはまず正しい空気圧で使うことが大切。タイヤが冷えた状態でクルマごとにドア周りなどに貼ってある純正指定値に合わせることが第一歩だ。
しかし、そこまでは誰でもできるがもう一歩踏み込んだ攻めの空気圧調整となると一気に難しくなる。
タイヤメーカー側も下手な数値を指定してトラブルが起きるといけないので、「クルマごとの指定値に合わせましょう」としか言えないのが現実だ。
◆愛車の空気圧を調整するには
では、ここからは自己責任として愛車の空気圧を調整する場合にどうしたらいいのだろうか。
まず、タイヤやホイールサイズを変えて純正サイズでなくなった時点でクルマごとの指定値は参考にしかならない。前後重量配分などによって前後で空気圧の差がつけられている場合、その前後差を参考にするが、数値自体は変わる可能性がある。
基本的にはタイヤが冷えた状態で2.0kg/cm2未満はオススメできない。空気圧を下げれば乗り心地はマイルドになるので、硬めの足まわりが入っていたりすると空気圧を下げたくなるが、あまり低いとスタンディングウェーブ現象が起きやすい。
基本的には2.1~2.3kg/cm2くらいになるが、タイヤ幅に対してホイール幅が広めのいわゆる「引っ張りタイヤ」状態だったりすると、リム落ちの危険があるのでやや高めにしておきたい。
それでも3.0kg/cm2を超えるほど高くすると、接地面積が減ってタイヤが滑りやすくなることもあるので避けたい。そうなるとやや高めにするなら2.4~2.5kg/cm2くらいということになる。
あとはある程度前後差をつけるのもあり。乗り心地をマイルドにしたいならリアタイヤだけ下げると乗り心地を緩和しやすい。もちろん前後ともに空気圧を下げてもいいが、フロントタイヤは少し高めにしておいてステアリングに対する反応を良くしておくという手もあるのだ。
あとはアジアンタイヤと呼ばれるリーズナブルなタイヤは、傾向としてサイドウォールの剛性が低い。良く言えばソフトなフィーリング。悪く言えばフワフワしやすい。そこで0.2~0.3kg/cm2くらい空気圧を高めにしたほうがしっかりとしたフィーリングになりやすい。
◆サーキット走行をする場合は…
サーキット走行をする場合は、また話が変わってくる。サーキットではタイヤが溶けるほど熱を持ち、空気圧も大幅に上がる。
まずスタート時はクルマごとの指定値か、2.0kg/cm2くらいにしてコースイン。数周して空気圧が上がったらまた指定値か2.0kg/cm2くらいまで下げる。
温間空気圧と呼ばれる、タイヤが適度に溶けるくらい温まった状態で2.0~2.2kg/cm2にすることが多い。そこからはフィーリングで調整だが、どのタイヤでもほぼこの数値で最大グリップを発揮する。
あとはあえてグリップが少し下がってもステアリングレスポンスを重視したほうが乗りやすい場合がある。とくに扁平率が50以上のタイヤでサイドウォールの高さがある場合、やや空気圧が高めで2.8kg/cm2くらいあっても問題なく、むしろクイックに反応して乗りやすく感じることも多いのだ。
ちなみにタイムアタックの世界では少しでも下げて接地面積を増やしてグリップを稼ぎたい。そこで空気圧は温間で1.6~1.8kg/cm2でも珍しくない。スタート時は1.5kg/cm2などでクルマが熱を持って遅くなってしまう前に1周で温めて、コースイン2周目にはアタックに入るということがほとんどだ。
レースではスリックタイヤが温まりにくく、もう数周タイヤを温めてからアタックすることが多い。
ドリフトの世界も同様で高いグリップがないと、深いアングルのドリフトでスピンしてしまうので空気圧を下げたい。しかし、タイヤが冷えたところから一気に横を向けてドリフトをするので1.0kg/cm2以下の空気圧でスタートしてタイヤがリム落ちしてしまうことが問題になり、最近は空気圧を下げすぎないように指導されている。
ちなみに過去開催されていたヴィッツのワンメイクレースでは、極端にローパワーのクルマでタイヤの扁平率も高いフワフワだった。グリップが高すぎるとコーナーもストレートも加速が鈍るので、空気圧を高めてそのあたりをバランスさせていてフロント4.0kg/cm2、リア5.0kg/cm2という人も珍しくなかった。
それでもドリフトさせようというセッティングではなく、抵抗が少なく走れてフィーリングは至って自然。その結果が高い空気圧だったというわけである。もちろん公道走行時は2.0kg/cm2まで落として走行していた。
空気圧はお金は掛からないが重要なカスタム項目。いろいろな数値でどう変わったかと体験して活かしてもらいたい。
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