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【ルノー キャプチャー E-TECH 新型試乗】実燃費18km/Lなら立派!だがガソリン車との価格差が悩ましい…中村孝仁

レスポンス / 2023年10月11日 21時0分

E-TECHというルノーの新しいフルハイブリッドシステムは恐ろしく燃費が良い…というのが業界のもっぱらのうわさである。そんなうわさを肯定すべくルノーは燃費競争を2回もやった。結果は30km/リットルを超えるとんでもないスコアを出している。ならばと、試乗会だけの試乗では解らなかった本当の燃費に挑戦してやろうと、E-TECHの一連のモデルをすべて借り出して挑戦してみた。


既に『ルーテシア』と『アルカナ』については報告済み。ルーテシアはまあまあのスコアを出したのだが、アルカナは広報からも「(筆者の結果は)恐らく最低記録でしょう」と言われ、大いに凹んだ。そこで気を取り直して最後の『キャプチャー』で逆転を狙ってはみたものの、残念ながらやっぱり打ち返されてしまったのである。


結論から言うと、キャプチャーの燃費はアルカナと大して変わらない18.6km/リットルであった。車重もアルカナよりもだいぶ軽いから、約1km/リットルの差はそこに起因するものだろう。とにかくほとんど同じルートを走った結果なのだからそういうことなのだと思う。


◆我慢せずに走って18km/リットル台なら立派


正直30km/リットル越えがどのように達成されたか知りたくなって、その燃費競争に実際に参加したメンバーの原稿を読んでみた。すると、我慢の範囲内でエアコンを切ったり、とことん燃費走行に徹するなど、やはりおよそ日常的な使い方ではないことが判明。だから、確かに過去最低の燃費結果なのかもしれないが、これが「リアルワールド」であることがよく分かった。


ただ、そうは言ってもキャプチャーのサイズは全長4230×全幅1795×全高1590mm、車重1420kgというほぼCセグメントの車両である。日本の素晴らしく良くできたハイブリッド車の場合はともかく、輸入車のハイブリッドではフルハイブリッドがルノーしか存在しないので、対抗馬がいないことは確かだけど、18km/リットル台の燃費を叩き出せば立派なものではないかと思うわけである。


しかも省燃費のためには何の手心も加えておらず、時にはスポーツモードも使用したし、エコとマイセンスと満遍なく走行モードも切り替えた。勿論夏の暑い盛りだったからエアコンは常時恩ON。しかも暑かったこともあってだいたい21度程度にしてたから、結構一生懸命働いていたはずである。その状況下での18km/リットル台なのだから褒めても良いのではないだろうか。因みにWLTCモード燃費は22.8km/リットルである。


◆気になるポイントは


改めて1週間お借りして試乗したキャプチャーE-TECHは動的性能において高いロードホイールディング性能や、切れ味鋭いシャープな運動性能を見せた。この種の少し背の高いSUVとしては立派な運動性能である。


ルノーレンジで3種用意されるE-TECHのうち、何故かキャプチャーにだけエンジアードと呼ばれる仕様が無い。マットゴールドのアクセントが入るエンジニアードの外観にとても好感を持っていただけにちょっと残念である。


また、余計なお世話ではあるが最近、クルマの下から足回りなどの写真を撮ることを常としているが、キャプチャーのドライブシャフトは錆の塊。まさかマットブラウンに塗ってますという返事は帰ってこないと思うが、ちょっと気になる。


リアに回るとマフラーにはRENAULTの文字とNISSANの文字が掘り込まれている。アライアンスの結果でこのマフラーはもしかして日産車にも使われているのかなぁなんて思ったりもした。


◆ガソリン仕様とどちらを選ぶか悩ましい


E-TECHは基本的にはガソリン仕様と比較してほぼ35%アップの燃費性能を実現しているが、モーターのアシストを得ているとはいえ、机上の性能としてはガソリン仕様と比べて少し見劣りする。しかも車重も110kgも重いから、確かに十分にシャープな運動性能を持つのだが、2台乗り比べてみると恐らく運動性能的にはガソリンにはかなわないかもしれない。あちらは1.3リットルターボエンジン。メルセデスの『Aクラス』が搭載するものと基本的に同じである。勿論チューンは異なるが。


というわけで確かにE-TECHは魅力的な存在だが、キャプチャーに関する限りガソリン仕様とどちらを選ぶかは少々悩ましい選択である。お値段も素のE-TECHで409万円。素のガソリン仕様よりも72万円も高い。


■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★


中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員・自動車技術会会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来46年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。最近はテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」という番組で自動車関係出品の鑑定士としても活躍中。

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