<新連載>[カーサウンドコンテストって何?]歴史的イベント『パイオニアカーサウンドコンテスト』を振り返る
レスポンス / 2023年10月23日 19時0分
カーオーディオという趣味の世界では、「カーサウンドコンテスト」に参加することも楽しみどころの1つとなる。当特集ではそこにフォーカスし、これが行われている理由から参加する醍醐味までを伝えていこうと試みている。今回も、その歴史を振り返る。
◆1990年代後半に、業界の発展に大きく寄与するとある大会がスタート!
前回は1990年代の「カーサウンドコンテスト」シーンを振り返った。90年代の初頭から『IASCA(アイアスカ)』と呼ばれるアメリカ生まれの「カーサウンドコンテスト」がブームとなり、さらには音圧の大きさを競い合う競技会も盛んに行われ、カーオーディオを趣味とする人の数が増えていく。そしてそれらに参加する「カーオーディオ・プロショップ」がしのぎを削り互いの技術を高め合い、業界全体の技術の水準も高まっていく。
そんな中、1997年に新しい「カーサウンドコンテスト」がスタートし、これもまた後のカーオーディオ文化の発展に大きく寄与した。そのコンテストとは、『パイオニアカーサウンドコンテスト』だ。なお同コンテストは親しみを込めて「パイコン」と呼ばれ、業界における年間を通じての最大級のイベントとして定着していく。
ちなみに同コンテストは、パイオニアが1993年に発売したハイエンドカーオーディオシリーズ、『カロッツェリアX』の普及を主な目的としてスタートしている。さて、この『カロッツェリアX』とは何だったのかというと…。
◆『カロッツェリアX』は現代カーオーディオに変革をもたらす。しかし発売当初は…
『カロッツェリアX』とは、近年のカーオーディオに変革をもたらした記念碑的ハイエンドカーオーディオシリーズだ。というのも当シリーズは、「デジタルチューニング」をカーオーディオの世界で初めて本格的に取り入れ、そしてそれを普及させた立役者でもある。結果、以後の車室内のリスニング環境は大きく良化した。
ただし『カロッツェリアX』は、発売してすぐにヒットしたわけではない。93年に初登場するも斬新過ぎたからだろう、なかなか浸透しなかった。斬新であったポイントは2つある。1つが「ソースユニットからパワーアンプまで音楽信号を光デジタル伝送すること」で、もう1つは「音楽信号をデジタル制御すること」だ。これらに拒絶反応を示すプロや愛好家が少なからずいたのだ。
しかし発売からほどなくしてアナログパワーアンプを組み合わせることも可能となり、徐々に受け入れられ始める。
そして1997年に『パイオニアカーサウンドコンテスト』が初開催され、それを契機に『カロッツェリアX』は油紙に火が着くかのごとく業界内に広まっていく。カーオーディオシステムの完成度を競い合うことに情熱を傾ける層が増えていた中で、一流メーカーが主催する新たな大会に多くのプロが色めき立ち、参加者は年々増えていく。そしてそれと同時に『カロッツェリアX』のポテンシャルの高さも広く業界内に知れわたる。
◆「パイオニアカーサウンドコンテスト」は時代とともに変化しながら、18回大会まで継続!
なお同コンテストは当初、「カーオーディオ・プロショップ」のデモカー(もしくはそれに準ずるクルマ)のみしか参加できなかった。つまり、プロ同士の闘いの場だったわけだ。
ちなみに第1回大会の参加店舗数は、「ピュアデジタルシステムクラス」で9店舗、「デジタル/アナログシステムクラス」で17店舗だった。それが第3回大会では16店舗と42店舗に増え、第8回大会にはそれぞれ56店舗と52店舗にまで増加している。
そして時代の変化に即して、内容も少しずつ進化した。「ピュアデジタルシステムクラス」と「デジタル/アナログシステムクラス」の2つが長きにわたり主体だったが、第4回大会からは「カーシアタークラス」が新設され、第11回大会からは主体の2クラスが「カロッツェリアXシステムクラス」へと統合。その上で「ディーラーデモカー部門」と「ユーザーカー部門」の2部門制となる。これにて、プロ同士の闘いの場からユーザー参加型イベントという色彩が濃くなる。
しかし……。
2014年に開催された第18回大会をもって、その歴史に幕が落とされる。同大会は惜しまれながら終了となってしまうのだ。しかし、そのDNAは今にも受け継がれている。そして「カーサウンドコンテスト」という文化は未だ、すたれることなく継続している。
今回は以上だ。次回は現在の状況について詳しくリポートする予定だ。お楽しみに。
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