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左右3名の前後2列、フィアット『ムルティプラ』を知ってるか? 誕生25周年でレストア&カスタムへ

レスポンス / 2023年10月24日 11時30分

ステランティスのヘリテイジ部門は10月19日、小型MPVのフィアットムルティプラ』(Fiat Multipla)の誕生25周年を記念して、「ムルティプラ6×6プロジェクト」を発表した。


1台限りの『ムルティプラ6×6』を製作する。同車は現在製作中で、11月17日にイタリアで開幕する「ミラノ・オート・クラシカ」で初公開され、その後、コレクターに販売される予定だ。


◆日本市場にも2003年に導入


初代は、フィアット『600 ムルティプラ』を名乗り、1956年1月にブリュッセルモーターショーで発表された。当時のフィアット『600』の派生モデルで、小型ボディでありながら最大で6名の乗車が可能なスペース効率の高さが特長だった。


2世代目となるムルティプラは、個性的なスタイルをまとったマルチパーパスカーとして、1998年に車名復活を果たした。小型ボディでありながら、6名乗車が可能な点は、初代の600 ムルティプラから受け継がれた。


2世代目ムルティプラのボディサイズは、全長4005mm、全幅1875mm、全高1670mm、ホイールベース2665mm。全長がおよそ4000mmなのに対して、全幅が1900mmに迫るショート&ワイドなボディが特長だった。日本市場にも2003年に導入されている。


◆フロントウインドウの下にハイビームを配置


ムルティプラは、そのワイドボディを生かして、2列シートでありながら、前席3名、後席3名の合計6名がストレスなく移動できる室内空間を備えていた。広いガラスエリアによって室内は明るく、それぞれ独立したシートは大柄な大人でもゆったり座ることを可能にしていた。ヘッドライトは通常の位置にロービーム、フロントウインドウの下にハイビームを配置する独特のレイアウト。低いボンネットの効果も手伝って、ムルティプラは唯一無二の存在感を発揮していた。


パワートレインには、1.6リットルの直列4気筒エンジンを搭載し、最大出力は103ps/5750rpm、最大トルクは14.8kgm/4000rpmを引き出した。トランスミッションは5速MTを組み合わせた。この5速MTは、ギア比を最適化することにより、市街地でも高速道路でも軽快に走行できるようにチューニングされていた。


ムルティプラは2004年、マイナーチェンジを実施した。フロントマスクの特長だった2段式のデザインが大幅に変更されて、個性的なスタイルは少し弱くなった。それでも、中身は変更されず、2010年まで生産された。


◆1990年代後半を象徴するバイオターコイズで塗装


ステランティスのヘリテイジ部門はこのフィアットムルティプラの誕生25周年を記念して、ムルティプラ6×6プロジェクトを発表した。1998年モデルをベースにレストアとカスタマイズを行い、ムルティプラ6×6を1台のみ製作する。


この新しいクリエーションのデザイナーは、1998年ムルティプラの“父”であり、現在はステランティス ヘリテージ(アルファ ロメオ、フィアット、ランチア、アバルト)部門のヘッドであるロベルト・ジョリート氏だ。


ムルティプラ6×6では、1990年代後半を象徴するボディカラー、バイオターコイズを採用する。このカラーは、オープンスペースや海を連想させる色だ。ムルティプラ6×6の環境へのアプローチと低排出ガスエンジンを象徴しているという。また、この色は、ボンネットとサイドに描かれた6つのキャラクターの背景色でもある。モール、ホイール、バンパーは、ブルーのボディとコントラストをなす中間色のグレーホワイトで塗装する。


インテリアは、ダークブルーのファブリックに、グレーホワイトのドアパネルを組み合わせる。独立6座のシートには、1998年の発売時に使われた6人のキャラクターが、それぞれ描かれている。6人は、探検家、赤ちゃん、ビジネスマン、女性、修道士、1970年代の若い反逆者だ。


◆1998年の発売当時に使われた6人のキャラクターを再び描く


6人が描かれた風刺画は、1998年の発売当時、Tシャツやパズルなど、ムルティプラのアクセサリーに起用され、多くの人々を魅了したという。この6人の風刺画が、ムルティプラ6×6に再び描かれている。


ステアリングホイールを握る探検家は、この陽気な6人を新たな冒険へと導く準備ができているという。彼の横、1列目シートの中央には、子どもがチャイルドシートに座り、レース用のヘルメットをかぶって運転することを夢見ている。


エレガントなスーツを着てノートパソコンが欠かせないビジネスマン、化粧に忙しい女性、スピリチュアルな読書に集中する修道士、静かに寝そべるヒッピーの若者。それぞれがそれぞれの方法で、革命的な乗り物のムルティプラに自分の個性を自由に表現した、としている。


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