価格79万円の超小型EV、さらに109万円のPHEVも発売するJ-BEVU社、驚きの創業理由とは…ジャパンモビリティショー2023
レスポンス / 2023年10月26日 11時30分
車両価格79万円の格安EVがジャパンモビリティーショー2023に登場した。さらに国内初のPHEVマイクロモビリティも発売。開発と販売を手がけるJ-BEVU(ジェイ・ベイブ)株式会社は不動産という異業種からの参入ながら、腕自慢の自動車技術者や職人も参画する異色のベンチャーだ。
今回展示されているのは、2人乗りも可能なE-ドラゴンと1人乗りのE-リザードの2タイプだ。さらにE-ドラゴン99万円のリチウム電池タイプと79万円の鉛電池タイプ、E-リザードは109万円のPHEVと79万円の鉛電池タイプ。創業から間もないベンチャーにも関わらず、PHEVも含めた2車種4タイプを展開できたのは、国内の優秀な技術者や職人が集まってくれたからだという。
創業に至る事情と展望について、実質的な創業者である内堀克都 事業本部長に聞いた。
◆ガソリン1リットルで50km走れる「電池エクステンダー」
---:このマイクロモビリティの事業はどのぐらいやっているのですか?
内堀克都 事業本部長(以下、内堀):実際に動き出してから、1年半程度になります。
---:1年半で、車体はもう2種類も作られているのですね。
内堀:そうですね。今のところは、上部構造だけになるのですが。今回これで受注数を見て、行けそうならプラットホームから自社で開発しようと考えています。E-リザードのハイブリッドエンジンタイプは超小型モビリティとしては国内初です。
通常は電気のみですけど、小型なので、 やっぱり後続距離が短いということで、一応モーターだけのノーマルEVモデルで満充電の航続距離50kmなのですが、PHEVはガソリンを1リットル積んでプラス50km。計100km走れます。
---:1リットルなのですか。でも燃料タンクはもっと大きくできますよね?
内堀:後部のスペースを全部使えば、多分何十リットルかは搭載できます。でも、重くなってしまうことで効率は悪化する。1リットルで50km走れるのは予備という意味が強いです。 地方では充電スタンドに並ぶのが嫌だとか、まだあまり充電スタンドがないときのための補助的な形と考えています。エンジンは50ccで、航続距離を伸ばす「電池エクステンダー」と呼んでいます。
---:規格としては。超小型モビリティの区分に入るのですか、
内堀:そうです。次世代の超小型モビリティに対応できるように、E-ドラゴンは、2人乗りも可能になっております。
---:展示車は座席1つしかついていませんが、座席を2つ乗せて公道を走れるのですか。
内堀:はい。今回の販売は、半分は市場調査を目的としています。とはいえ、この展示車はモックアップではなくて、生産型でボディは作っています。 一応、この型で50台は取れます。この試作車を50台程度販売しつつ、さらに受注があるようでしたら、さらにブラッシュアップしたいと考えています。
---:じゃあ、販売は始めたけども、まだ本格的な量産ではない?
内堀:そうですね。今のところ、数台の受注を受けています。もし予想を超える受注を取れるようでしたら、プラットフォームと、あとはボディ全体をきちんと作りたい。他の車のパーツを寄せ集めて作るのではなくて、完全にオリジナルでやりたいと考えています。
---:オリジナルでやりたい理由ってなんでしょうかね。
内堀:我々は元々不動産業をやっておりまして、 そこから異業種の参入になるのですけれども、これから、EVの時代も来ますので、その波に乗っていこうかなと。
---:本格的な自動車メーカー、EV、モビリティのメーカーになりたいと考えていらっしゃる?
内堀:当初は、EVでやろうと思っていたのですけど、やっている最中にエンジンについても協力していただける方が増えてきまして、ハイブリッドなども含めて生産車のメーカーになりたいと考えています。
---:創業からハイブリッドとEVを同時に作ってしまうなんて凄いですね。
内堀: そういう技術者が集まって来てくれました。
◆不動産業からクルマメーカーを目指すことになった理由
---:会社の規模としては、何人ぐらいですか?
内堀:今のところは、パートも入れて6人です。持続可能な会社にしたいと思っていますので、生産車を開発できるようでしたら、工場も持とうと。不動産のノウハウを持っていますので、国内で縮小する工場なんか買わせていただいたりして。
---:そもそもEVを作りたいと思われたのは、自動車を作りたいとか。そういう思いが昔からあったのですか?
内堀:不動産のビル賃貸からM&Aという形で会社をやっていたのですけれども、 この時代の転換期において工場などの譲渡とかっていう流れが国内でありまして、その流れの中に入っていくうちに、自分の会社がクルマを作るようになってしまったという。
---:でも、ご自分でこの流れを主導されたわけではないのですか?
内堀:そうですね。工場を買収して、趣味のクルマを通じて「こういうのをやりたい」という話をしましたら、プロの職人さんにスタッフとして集まっていただけました。
---:それは買収した会社の中の人たちだったのですか?
内堀:というか、潰れた工場みたいなところから人が集まってきて、自然とこういうもの作る流れができました。E-リザードは日野自動車にいた方がPHEVのエンジンをやっています。E-ドラゴンのボディは由良拓也事務所にいた人で、フェラーリやランボルギーニの塗装をしていた職人さんが塗っています。
---:なんか、凄いですね。
内堀:我々はKGモーターズさんみたいにクルマ好きの仲間が集まったというのではなく、元々やっていた事業から、ひょんなことからクルマをやることになった感じなのですが、今は本格的にこの事業に軸足を置いてやっていきたいです。
なお、ジャパンモビリティーショー開催中に購入申し込みをすると、バックモニターが無料になるなどのサービスを行っている。東京ビッグサイト東7・8ホールで展示中だ。
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