ジャパンモビリティショー2023で見つけたドッグフレンドリーカー!【青山尚暉のわんダフルカーライフ】
レスポンス / 2023年10月28日 13時45分
10月28日から11月5日まで東京ビッグサイトで開催されているジャパンモビリティショー2023。2019年に東京モーターショーとして第46回を東京ビッグサイト迎えたものの、2年に一度の開催の次年度である2021年はコロナ禍で開催中止。そして今回のショーは同じく東京ビッグサイトにて、多様化の時代、様々なモビリティの可能性を踏まえ、4年ぶりにジャパンモビリティショー2023と名称を変更しての開催となった。
会場には数多くの新型車が並び、多彩なコンテンツが用意され、そしてもちろん、ショーの花形と言える発売直前、あるいは近未来のクルマ像を占うコンセプトカーが並んでいるのだが、ここではちょっと目線を変えて、この企画の「わんダフルカーライフ」に相応しい、クルマ好きの愛犬家なら絶対に見逃せない、思わず愛犬とドライブ、冒険旅行に出掛けたくなるようなコンセプトカーをピックアップして紹介したい。
◆スズキ スペーシア・コンセプト
まずは極めて現実的なコンセプトカーから。それはスズキのブースの主役とも言える、『スペーシア・コンセプト』『スペーシアカスタム・コンセプト』。じつは、ほぼそのまま11月には発売される新型『スペーシア』『スペーシアカスタム』なのである。
本稿執筆時点では現行型になる、ドッグフレンドリーカーとしても大いに評価できた2代目(スペーシアギア、スペーシア ベース含む)同様、標準車とカスタムがあり、先代デザインモチーフの「スーツケース」を「コンテナ」に変更。コンテナらしさはボディサイドに多用されるプレスラインに象徴される。
プラットフォームやパッケージは先代を踏襲。つまり2代目でも広すぎるほどの室内空間や荷室の広さはミリ単位の拡大でしかないものの、中身の進化は絶大だ。
同じカテゴリーのホンダ『N-BOX』の新型は、先代に対して標準車のほうの変化幅が大きく、カスタムは先代型と見分けがつきにくい(筆者の印象)エクステリアデザインとも言えるのだが、スペーシアはその逆。カスタムのほうが、開発コンセプトの「上質・華やか(標準車はわくわく、心地よさがコンセプト)をより強く感じさせ、とくにフロントグリルの迫力、上質感はいきなりクラストップレベルになっていたりする。
インテリア最大の特徴は、スーパーハイト系軽自動車にして、後席に「マルチユースフラップ」なる機構を備えていること(グレード別設定)。これはシート座面の先端に立ったり、伸びたりするフラップが付いていて、本来の目的は、立てて使い、後席に置いた荷物がフロアに落ちないようにするためなのだが、それだけにとどまらず、前方に引き出すことでシート座面を伸ばせるというわけ。ドッグフレンドリーポイントとしては、軽自動車では致し方ない短めの後席座面がフラップによって長くなり(広くなり)、ドッグベッドの固定がよりしやすくなるとともに、大型犬の乗車にもメリット絶大。
また、スペーシア・コンセプト、スペーシアカスタム・コンセプトは、車内の静粛性、とくに後席の静粛性向上を主眼のひとつとして開発されたということで、愛犬の特等席である後席のさらなる静かさは、聴覚に優れた犬にとっても好都合。
そしてぜひとも報告したいのは、新型スペーシア、スペーシアカスタムそのもののスペーシア・コンセプト、スペーシアカスタム・コンセプトに、純スズキ車初の電子パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能が加わったこと。さらに電子パーキングブレーキが付いたことで機能が向上した先進運転支援機能のひとつ、ACC(アダプティブクルーズコントロール)がいきなりクラス最先進の機能を備えることとなったのだ。そう、カーブ手前減速制御まで加わっている点だ。一般的なACCはいったん速度をセットすると、ペダル操作からは解放されるものの、減速が必要なカーブなどに差しかかった際、その設定速度のまま突っ込んでしまい、思わずブレーキを踏んだり(再セットが必要)、冷や汗をかくことになる。スズキの新しいACCはそんな事態から解放されることになる。これは高速道路の走行機会が多い軽自動車ユーザー、スーパーハイト系軽自動車ファンには朗報だろう。愛犬とのドライブ旅行の運転も、より快適でストレスフリーになるに違いない。
◆三菱 D:Xコンセプト
次に紹介するのは、モータージャーナリストにしてドッグライフプロデューサーでもある筆者が、国産車の中でトップレベルのドッグフレンドリーカーの1台だと常々思っている三菱のデリカD:5の未来を占う『D:Xコンセプト』。
ショーカー、コンセプトカーだけに、まるで月面車のようなルックス、4代目デリカ・スペースギアを彷彿させる高全高の持ち主(アイポイントはほぼ同じ高さらしい)だが、パワーユニットのひとつとして三菱自慢の『アウトランダー』などでおなじみのPHEVが採用され、駆動方式はもちろん四輪駆動のS-AWC。その『ランサーエボリューション』譲りの定評ある走破性は、天候、路面に左右されない愛犬とのドライブ旅行が可能になり、せっかくのドライブ旅行の予定が雨や雪によって「天候や路面が心配で、運転に自信がないから今回のドライブ旅行はキャンセル」なんていうこともなくなるはずで、きっと、家族、愛犬にもメリットをもたらすのだ。
室内は完全なコンセプトカー仕立てながら、シースルーのスケルトンボンネット、LEDフロアの採用を始め、プロジェクションレーザーライト採用で真っ暗な悪路や白線や路肩が見えない地でも、レーザーライトが車幅のガイド線を投射。視界の悪い場面での安全性を飛躍的に高めてくれるヘッドライト機能を持つというのだから超先進的だ(現在の法規では使えないのが残念だが)。
室内空間も広々。3列シートの1/2列目席は回転対座レイアウトにすることもでき、わが家のリビングルーム、ラウンジで寛いでいる感覚のまま移動できるのも、愛犬とのドライブをより楽しく、快適にしてくれそうなポイントだろう。
◆日産 ハイパーツアラー
日産のブースでひときわ注目を集めているのが、「ハイパーツアラー」と呼ばれる3列シートミニバンのコンセプトカーだ。
おそらく時期エルグランドを見据えてのスタディカー、コンセプトカーだと思えるのだが、すでにプロパイロット2.0で高速道路での全車速域のハンズオフドライブを実現している日産だけに、インテリアは全自動運転を念頭に置いた、前両席回転機構が盛り込まれ、室内が対面シートの茶室になるような仕掛けがユニーク。
走行中のドライバーが、今では運転中に愛犬と触れ合えない、可愛がってあげられない(ケースによっては道路交通法違反になる)のだが、近未来の全自動運転下では、そうした車内のシートレイアウトで、わが家で愛犬を囲んで寛いでいるような団らんのまま、移動できることになるのだろう。
◆トヨタ KAYOIBAKO
最後の1台が、トヨタのコンセプトカー「KAYOIBAKO」(カヨイバコ)。 “通箱”とは物流の専門用語でコンテナボックスのこと。コンパクトな商用EVミニバンであり、主に荷物を運ぶための走る箱型車なのだが、近未来には自動運転の配送車として大活躍してくれそうだ。
が、あえてここで紹介する理由は、大容量の荷物を積めることから、アウトドアや車中泊を含むレジャーユース、ペットとの移動車としてもアレンジできる多彩な使い方が想定できるEVだからである。
以上のジャパンモビリティーショー2023の会場で見つけたコンセプトカーの中で、間もなく登場するのはスペーシアコンセプト、スペーシアカスタムコンセプトのみとはいえ、やはりモーターショーはクルマ好き、運転好きの夢を広げてくれる素晴らしい場所であることを、東京で4年ぶりに再確認。スバル『クロストレック』やスバル『レイバック』のようなすでに販売されているドッグフレンドリーカーも展示されているので、愛犬家のみなさんもぜひ会場に足を運び、愛犬と楽しく快適にドライブが楽しめる、次期愛車候補をチェックしていただきたい。スズキ・スペーシア、スペーシアカスタムの新型が気に入れば、すぐにでも注文することができるだろうし、日産や三菱のコンセプトカーから次期型の日産『エルグランド』、2007年から継続販売されている三菱『デリカ』を想像するのもまた楽しいではないか…。
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