【BMW R1300GS 海外試乗】10年ぶりのフルチェンで次元が異なるレベルに行ってしまった…佐川健太郎
レスポンス / 2023年11月11日 8時0分
先日スペインで開催されたBMWの最新モデル、『R1300GS』の国際メディア試乗会に参加してきたのでレポートしたい。「GSシリーズ」は40年以上の歴史を持つアドベンチャーバイクのリーダー的存在。実に10年ぶりのフルモデルチェンジとなる。
◆2輪の先進テクノロジーをすべて盛り込んだマシン
BMW伝統の水平対向エンジンは排気量を1300ccに拡大し最高出力9psアップの145ps/7750rpm、最大トルクも149Nm/6500rpmへと向上。車体もスチール鋼板+アルミ鋳造を組み合わせた新設計フレームとなり前後サスペンションも進化。車重もトータルで12kg軽くなっている。
ライディングモードやコーナリング対応のABS&トラコンに加え、前走車を自動的に追尾するACCや衝突低減ブレーキなど4輪由来の安全・快適デバイスも新たに追加。さらに停止時に車高を下げる新機能まで投入するなど、およそ現在における2輪の先進テクノロジーをすべて盛り込んだマシンとなっている。
まず目立つのがXデザインのヘッドライト。今までの左右非対称ロボット顔から印象が大きく変わった。全体的なシルエットも無骨さが和らぎ、滑らかでスマートな印象に。ギアボックスをエンジン下に配置してコンパクト化が進められた水冷ボクサーエンジンは、扱いやすさはそのままに2000rpm~6000rpm辺りの常用域のトルクが2割増しになったような感じ。
新型は右手とエンジンの直結感がとても気持ち良く、改良されたシフトカム効果とも相まって加速もより俊敏だ。排気音もスポーツ心を刺激するドライで弾けるサウンドになった。
◆「スタンダード」仕様、乗ってすぐに感じるのは軽さ
最初に試乗したのはキャストホイールの「スタンダード」仕様。ライポジは従来と比べて全体的にややコンパクトになった感じで、シートは着座スペースが前後に長くなりライポジの自由度が増えたのは嬉しい点。標準シート高は850mmで足着きも従来モデルと同等レベルだろう。
乗ってすぐに感じるのは軽さ。以前はエンジン周りに重さの塊感があり、車体をロールさせるとその重さに引っ張られる感じがあったが、新型ではそれがきれいに消えている。コーナリングでの抜群の安定感はそのままに、身のこなしが明らかに軽快になった。
テレレバー独特の路面にタイヤが張り付くような接地感も健在。今回EVOテレレバーに進化したことで、ステアリングの反応もよりダイレクトになり、まるで前後17インチのスポーツモデルのような感覚で走れてしまう。また、新型では前後ブレーキが互いに連動したフルインテグラルタイプとなり、レバー操作だけでも安定したブレーキングが可能。
加えてライドモードと連動したABSとトラコンもフルサポートしてくれるので、市街地から高速道路、ワインディングまでどんなシチュエーションでも安心して走ることができた。
◆「GSトロフィ」仕様、動的な軽さはオンロード以上
オフロード試乗ではオプションのブロックタイヤとスポーツサスペンション(前後ストロークが20mm長い)を装備した「GSトロフィ」仕様に乗り換えた。動的な軽さはオンロードで感じた以上で、まるで巨大エンデューロマシンにでも乗っている感覚で難しいセクションにも挑んでいける。
アクセル開度とトルクの出方に直結感があって挙動が分かりやすく、先読みができるので自然とアクセルを開けていけるのだ。瞬発力のあるエンジンは250kg近い巨体を軽々と宙に舞わせ、EVOテレレバーは路面のあらゆる衝撃をハンドルに直接伝えることなく吸収してくれる。
最も過激な「エンデューロPRO」モードも試してみたが、後輪が滑り出してもスイングアーム長を伸ばしたEVOパラレバーが穏やかな動きで収めてくれた。ガレ場をかき分ける優れたコントロール性や、急斜面でも悠々と登っていく抜群のトラクション性能など、明らかに今までのGSとは身のこなしが違う。
◆従来とは次元が異なるレベルを肌で実感
新たにオプション装備された最新デバイスも試してみたが、ACCはとてもスムーズかつ正確に前車を追従しつつ、コーナーではバンク角に応じて速度調整もしてくれる優れもので、SWWは死角にいる車両を確実にとらえてバックミラー内の点滅で知らせてくれた。そして極めつけは車高調整機能。車速が15km/h以下になると自動的にサスペンションが沈んで車高を30mm下げてくれるのだが、それが本人には気付かないほどスムーズ。どうも足着きが良すぎるなと思ったらコレだったのだ。
はっきり言って、R1300GSは従来とは次元が異なるレベルに行ってしまった感がある。まさに「NEXT LEVEL GS」のコンセプトを肌で実感できたのだった。
■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
ハンドリング:★★★★★
扱いやすさ:★★★★★
快適性:★★★★★
オススメ度:★★★★★
佐川健太郎|モーターサイクルジャーナリスト
早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。(株)モト・マニアックス代表。バイク動画ジャーナル『MOTOCOM』編集長。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。
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