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テスラユーザーも変換アダプターなしで使える充電器、DMM EV CHARGEが2024年度から順次国内展開

レスポンス / 2023年12月13日 17時5分

DMM.comが同社のEV充電事業である「DMM EV CHARGE」について、CHAdeMO(チャデモ)とテスラのNACSに対応する2口(ダブルガン)充電器を導入すると12月12日に発表した。


◆CHAdeMOとNACS、両方に対応


DMMは今年5月の時点でEV充電事業への参入を発表している。今回は2024年度の事業としてあらたにNACSにも対応するEV充電器を国内展開するというもの。日本の充電器規格はCHAdeMOでほぼ統一されている。輸入車を含む国内で販売されるEVの充電プラグはほぼCHAdeMO方式になっているが、独自の充電規格をもち独自のネットワークを自前で整備しているテスラだけ、車両の充電プラグがNACS方式になっている。


そのため、国内のテスラユーザーは、テスラ専用のスーパーチャージャー(SC、DC急速充電)以外のCHAdeMO充電器を利用する場合は、プラグの変換アダプターが必要だった。DMMが発表したNACS、CHAdeMO対応の充電器ならアダプターは必要なくなる。


公開された充電器の仕様は、最大出力90kW。450V・200A。ケーブルは液冷方式となっており、CHAdeMO充電ケーブルも一般的なCHAdeMO充電器より軽くなっている。プラグは2口出ており、それぞれのプラグがCHAdeMOタイプとNACSタイプに分かれている。記者発表時に公開されたプロトタイプは、プレートを見ると最大出力が180kWとなっていた。2台同時につながったときの90kWの出力制御、ブーストモードの制御などをどうするかは未定・調整中とする。


DMMは、商業施設や宿泊施設、ガソリンスタンドなど充電スポットを設置したい事業者向けに、設置や運営支援を行う。ユーザーはDMM.comの会員であり充電アプリを持っていれば、「DMM EV CHARGE」の充電器を利用できる。料金は電力量に対する重量課金で、55円/kWを予定している。EV都度課金の急速充電単価と比較するなら55円は安い部類に入るだろう。


eMP(当時NCS)が時間課金を採用したのはそれなりの合理性はあるものの、EVのバッテリーのバリエーションも増えた現在、従量課金にしないとCPO(Charging Point Operator)ビジネスも成り立たないし、ユーザーメリットが小さい。海外では従量課金が標準である。


設置する事業者については、経済産業省の充電インフラ導入促進に関する補助金を活用する前提だ。ただし、2023年度に利用できる補助金(クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金)は、すでに予算を消化している。DMMでも、この事業に参入した2023年5月以降、11月現在で5000口(DC急速充電、AC普通充電の合計)の受注を受けているという。現状受注しているものも実際の充電器が設置されるのは2024年になってからだ。今回発表されたNACS×CHAdeMO対応の充電器は2024年度以降の補助金を想定している。


DMMの強みは、60以上の事業を展開し総数4000万人以上といわれる会員ネットワークだ。充電器を設置する事業者としては、それが直接のビジネスでないとしても課金利用が少なくて電気代や維持費が持ち出しになることは避けたい。会員数の母数が多い充電ネットワークのほうが事業者の心理的なハードルが下がる。DMM.com セールスソリューション本部 EV事業部部長 板垣良太氏によれば、商談の中では「DMMがやるなら設置してもいい」という事業者もいるという。


◆EV充電事業の可能性と今後の課題


DMMがEV充電事業に参入した理由は、EV市場の将来性を認めたからだ。EV事業部にはEVオーナーも多く、将来性はあるがインフラが不十分であるという課題も認識していた。伸びる市場の課題はビジネスチャンスである。そして、今回NACS対応の充電器を用意することを発表したのも、この理由の延長にあることは間違いない。


もうひとつの理由は、テスラがNACSの仕様を公開したことだ。EV充電のUI/UXでもっとも進んでいるのはNACSである。現状の規格とCPO(Charging Point Operator)アプリにおいて、「プラグアンドチャージ」を実現しているのはNACSだ。その仕様がほぼ無条件で公開され、世界中の充電器メーカーが対応充電器を開発している。


テスラとしては、自社整備のSC(スーパーチャージャー)以外でもテスラ車が充電できるスポットが増えることに何も問題はない。現在、NACS仕様について認証やお墨付きを与える機関、しくみは存在しない。公開された仕様をもとにだれもが自由に充電器をつくることができ、サービスを行ってよい。認証制度がないと安全性や品質が保てないと考えがちだが、テスラ本体のSCの品質が担保できていれば、粗悪サービスはむしろテスラSCの優位性を際立たせるだけだ。


規格認証とライセンスで縛るビジネスモデルもあるが、オープンシステムや一般的な市場原理としては特殊な考え方でもない。テスラSCと同じ品質レベルの充電器が増えればユーザーの利益は増大する。車両購入の動機にもなる。


仕様を開放しても、じつはテスラにとって揺るがない優位性はもうひとつある。真のプラグアンドチャージは、カードをかざしたり番号を入力したりも必要としない。NACS対応の車両や充電器が増えても、自社アプリ、自社会員ネットワークで運営するかぎり、それぞれのアプリとアカウントが必要となる。DMMも次の展開として考えているのは、DMM会員とeMPやエコQ電、エネチェンジ、テラチャージ他との相互接続(ローミング)だ。具体的なプランや動きはまだないが、板垣氏は考えたいとする。DMMに限らず各社が取り組まなければならない次の課題だ。


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