街乗り派も注目! アッパーマウントがもたらす驚きの効果~カスタムHOW TO~
レスポンス / 2023年12月26日 6時30分
車高調と呼ばれるサスペンションを導入するとき、アッパーマウントの選択肢が現れる。ピロアッパーとゴムアッパーはどう違ってどちらを選べばいいのいいのか。
◆改めてアッパーマウントってなに?
ノーマルのサスペンションはボディとサスペンションの間にゴム製のクッションが挟み込まれている。サスペンションの上部であるアッパーマウントと呼ばれる場所で、そこに硬質なゴムを装着。そのゴムとボディが触れるようになっている。ゴムもクッションとして振動などを吸収しているので異音が発生しにくく、快適性が高い。
対するレーシングカーやサーキット走行をメインとするクルマではピロアッパーと呼ばれるものが用いられる。それはサスペンション上部のゴム製部分をなくし、ピロボールが中心に入ったアッパーマウントを使う。このアッパーマウントの金属部分を直接ボディにマウントする仕組みだ。そのメリットはダイレクト感がアップすることと、アライメント変化を抑えられることになる。
まず、ゴム製のクッションがなくなり、金属製のピロボールになることで振動なども伝わりやすくなるが、ダイレクト感は格段に高まる。グニャッとゴムアッパーが潰れていた部分がなくなり、潰れることがない金属になるのでハンドリングはソリッドに感じられる。乗り心地としては悪化しそうだがそうとも限らない。路面からの段差などの入力がゴムで吸収されずにそのままダンパーに入るので、摺動抵抗の大きいサスペンションだとむしろ入力する力が増えるので乗り心地が良くなることもある。
しかし、ダイレクトにボディとサスペンションが接するので、足まわりからの音や振動を伝えてしまう。そのため異音は増える傾向にある。そればかりはどうしようもないので、導入する際には覚悟が必要でもある。
◆サーキットだけじゃなく街乗りでも体感出来る!?
ドライビングだけじゃなく乗り心地も変化させられる
そして、大きなメリットがアライメント変化を抑えられること。サーキット走行やワインディング走行などで大きな荷重が掛かった場合、ストラット式サスペンションでアッパーマウントがゴムだと、コーナリング時にキャンバー角が立ってしまう。荷重によってゴムが潰れてせっかくのキャンバー角が立ってきてしまう。そのためアンダーステアになりやすく、キャンバー角を大きくつける必要がある。
すなわちサーキット走行を走るクルマでタイヤが大きくハの字にするネガティブキャンバーも、アッパーマウントをピロボール化すればアライメント変化が抑えられるので、そこまでのキャンバー角が必要無くなる可能性があるのだ。
そうなれば街乗り時のタイヤのイン側だけ減る片減りも防げるし、サーキットでのブレーキ時にネガティブキャンバーが大きいとブレーキがロックしやすがそれも起きにくくすることができる。大きなメリットがたくさんある。振動や音の面ではデメリットも大きいピロアッパー化だが、ハンドリングやタイヤの寿命を考えるとメリットも大きいのだ。
あとはライフの部分を気にしておきたい。ピロアッパーはピロボールに対して直角に力が入る。常に力が掛かっていて動いているのでどうしてもすり減りやすい。金属同士が接触しているので摩耗してピロボールにガタが生まれやすい。定期的にピロボールを交換することが必要になる。使い方にもよるが数万kmごとにはピロボールを交換すると認識しておきたい。サーキット走行が多いとかであればもっと早いサイクルになることもある。
ここで気をつけたいのが注油について。ピロボールは金属同士が接触しているのでそこに潤滑スプレーを差す人もいる。しかし、現在クルマに使われているピロボールの多くは注油無しで使う設計。そこにオイルを差すと油分にホコリが絡んで、そのホコリが研磨剤となってもっとピロボールを削ってしまうことがある。
ピロボールが減って異音がしてきた場合も同様で、注油すると一時的に音は収まるが、むしろそのオイルにゴミが絡んで余計にピロボールを摩耗させてしまうことがある。定期的に圧縮エアで汚れを飛ばすとか、ゴミを取り除くくらいにしておきたい。
社外サスペンションによってはゴムアッパーにもピロボールにも対応しているものも少なくない。ピロアッパーにすると数万円のコストアップにはなるが、スポーティな走りをするのであれば相応のメリットもある。だが、若干快適性が落ちるなどの失う要素もあるので、よく自身の使い方を考えた上でチョイスするようにしたい。
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