【ヤマハ MT-125 試乗】アジャイルであることの本質は「ハンドリング」にある…伊丹孝裕
レスポンス / 2024年1月23日 18時0分
アグレッシブなデザインとシャープなハンドリングで知られるヤマハのMTシリーズに、『MT-125』(49万5000円)が加わった。これによって、『MT-10』、『MT-09/SP』、『MT-07』、『MT-03』、『MT-25』に続く豊富なラインナップが完成。末弟を担う、その走りを試してみた。
◆兄弟車と異なる、「MT-125らしさ」に注目
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『YZF-R125』と『XSR125』と主要なコンポーネントを共有しつつ、フルカウルスポーツでもネオクラシックでもない、独特の立ち位置にあるモデルが『MT-125』だ。発売は2023年11月10日から始まっており、俊敏さと若々しさを楽しめるスモールストリートファイターとして、存在感を発揮している。
MTシリーズに共通しているコンセプトは、排気量が大きくとも小さくとも、「アジャイル」であることだ。俊敏さや機敏さを意味するその言葉通り、まずは前後を切り詰めたデザインで、それを表現。MT-125のシャープさはシリーズ随一のものになっている。
◆大胆かつ繊細、マッシブかつシャープ
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フロントマスクは、可能な限りボディ側に叩くことによって薄く仕上げられ、タンデムシートはほとんど無いに等しいほど極狭化されている。そして、その間に筋肉質な燃料タンクが収まることによって、クラスを感じさせない存在感が与えられているのだ。
もっとも、エンジンは124ccの単気筒ゆえ、物理的には小さい。フレームにそのまま懸架しただけでは、燃料タンクの盛り上がりに対して見劣りしそうなものだが、エキゾーストパイプとクランクケースの一部を覆うアンダーカバー、そしてラジエターとフレームの一部を覆うサイドカバーを追加。それによって、大胆に切り落とされたかのような車体前後の軽快感と、中身がみっちり詰まったような車体中央の凝縮感とのバランスが図られている。
また、ヘッド部分にデザインが施されたボルト、ロゴ入りのアルミプレート、シボ加工を持つ樹脂パーツ、エアダクトに装着された金属メッシュ……など、デザイン面で語るべきは細かい部分にまでおよび、XSR125とは異なる手法で上質さが追求されているところが好印象だ。
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シート高は810mmで、このクラスのスポーツバイクとしては、やや高めの位置にある。ただし、座面とお尻は馴染みやすく、積極的に体重移動を行うというよりは、着座ポイントに身体を預けたまま、リズミカルに走らせることができる。既述の通り、燃料タンクは高さのあるタイプながら、ニーグリップ部分は細く削られているため、乗車中は太ももがぴったりとフィット。それゆえ、下半身はホールド性に優れる一方、コンパクトなライディングポジションのおかげで、上半身と腕には不要な力が入らない、理想的な脱力状態で車体を操れるのだ。
この部分でのネガをあげるなら、ハンドルをフルロックした時に燃料タンクとのクリアランスが少ないことだが、車体はスリムで軽く(車重138kg)、Uターンを強いられるような場面でも、さほど緊張感はないはずだ。
◆ハンドリングにこそ真価アリ
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MT-125がアジャイルであることの本質は、もちろんその佇まいだけでなく、ハンドリングにある。キャスター角やトレール量の数値こそ、兄弟モデルのXSR125とYZF-R125と同等ながら、XSR125に対してはフロントタイヤの幅がワンサイズ細く、YZF-R125に対してはハンドルが広く高い位置にあるため、よりクイックに車体が反応。わずかなきっかけで、コーナリングへ持ち込むことができる。
バンク角が浅くとも十分な旋回力を発揮し、その時に伝わってくるフットワークの軽さと、接地感の高さが絶妙なところでバランスしているのが、MT-125だ。日常的な用途ではストレスのない機動力を楽しみ、週末のワインディングではキビキビとしたスポーツ性と安楽なポジションがもたらす快適性に委ねる。そんな幅広い用途に応えてくれるモデルである。
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■5つ星評価
パワーソース ★★★★
ハンドリング ★★★★★
扱いやすさ ★★★★
快適性 ★★★
オススメ度 ★★★★
伊丹孝裕|モーターサイクルジャーナリスト
1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。
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