【ヒョンデ コナ 新型試乗】韓国のブランドが抱える問題点はただ一つ…中村孝仁
レスポンス / 2024年2月8日 21時0分
のっけからこんな話で恐縮だが、ヒョンデという韓国のブランドが抱える問題点はただ一つ。「カントリーリスク」ではないだろうか。
最近はK-Popファンや韓流ドラマファンが多いから、そうしたリスクは薄れつつあるのかもしれないが、どこにでもステレオタイプの人間はいるので油断はできない。そうしたリスクを見越してか、ヒョンデは販売方法をネット一択としているが、どうやらそれも見直されて対面も視野に入れているようである。
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さて、『コナ』というクルマ。全幅の1825mmはともかく、全長は4355mmと意外とコンパクトである。隣に別なクルマが並べばそのサイズ感を実感できるのだが、単体で見た時は結構堂々としたクルマに見えるから不思議。こうした部分はやはりデザインの成せる業なのだろう。
特徴的なのはヘッドライトとリアコンビライトが非常に低い位置にマウントされていて、それはボディサイドを抉るように連なるキャラクターラインに取り込まれたデザインとされていることだ。BEVだからグリルは存在しない。とはいえグローバルではBEVのみならずICE搭載車も存在する。もっともグリルの造形は多少異なるものの、基本的にはほぼ同じである。
◆ICEに近い発進の加速感
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このクルマのデビューは2022年12月だそうで、ヨーロッパは2023年モデル。そして北米は2024年モデルとして扱われているから、日本もほぼ北米並みの投入ということになる。モーターはフロントにシングルモーターを搭載し、日本で展開される4グレードのうち一番ベーシックなモデルのみ135ps、255Nmのモーターで、搭載バッテリーも48.6kwhというものになるが、今回試乗したラウンジというグレードを含め他の仕様は全て204ps、255Nm、64.8kwhのモーター/バッテリーで、航続距離はWLTCの公表値で514km(ラウンジ)となっている。因みにFWDである。
初めて乗るクルマだから、とりあえず簡単なコックピットドリルを受けていざスタート…と、何故か発進しない。実はそうではなくアクセルを慎重に踏んだ結果単に反応しなかっただけのこと。BEVはその蹴とばされんばかりの発進加速がこれまでのモデルでは売り物となってきたが、最近はそうした傾向を控え、普通のICE車に近い発進の加速感に仕上げて来るクルマが多くなったようである。
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ドライブモードはエコ、ノーマル、スポーツ、それにスノーの4モードが選択でき、スタート時点ではノーマルとなっていた。アクセルをジンワリと踏むと反応が薄く、低速での取り回しは重宝するようだ(特に駐車時など)。この特性をつかんでからは発進時にそこそこドンと踏み込んで加速をすると、実に静粛性の高いスムーズな加速をしてくれる。走行中にこのモードを切り替えると同じアクセル踏み込み量ながら、3段ロケットのようにエコ、ノーマル、スポーツの順でぐいっぐいっと加速感が変わる。
パドルが装備されているがそれは回生ブレーキの増減の調整。レベルゼロからレベル3、そして最後にiペダルMaxという5つのレベルが使用できる。最後のiペダルMaxのみワンペダルモードとなっていて、停止までワンペダルドライブが可能である。しかし、走行モードを例えばノーマルからスポーツに変えるとデフォルトなのかレベル1に戻ってしまう。ところがこれは停車中の操作。走行中に走行モードを切り替えても回生ブレーキのレベルに変化はない。この辺りのロジックがどうなっているのか聞いてもヒョンデ・ジャパンのメンバーは解らなかった。
◆BEVの雲行きは
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タイヤはクムホ製の「ECSTA PS71」というものが装着されていたが、音振双方の性能は十分に満足いくもので、走りそのものもかなり軽快である。加速感などはまあそれなりというレベルだが、快適性はかなりポイントが高く、そちら方向のセッティングに重点が置かれている印象が強い。
価格は489万5000円。補助金を利用すれば東京なら400万程度で買える計算であるが、ドイツがそうであるように補助金が出なくなったら途端にBEVが売れなくなるという可能性は日本でも否定できない。だから、BEVが欲しいという場合は補助金のあるうちに買うのが得策だろう。とはいえアメリカも含めBEVの雲行きは少々怪しい。
![](https://response.jp/imgs/zoom1/1984246.jpg)
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員・自動車技術会会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来46年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。最近はテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」という番組で自動車関係出品の鑑定士としても活躍中。
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