【トヨタ アルファード 新型試乗】2列目特化の「エクゼクティブラウンジ」をあえて“運転手”として試してみた …中村孝仁
レスポンス / 2024年2月11日 17時0分
3サイズ、全長4995×全幅1850×全高1935mm、外から見ると本当にデカいけど、車高が高いことを除けば、今時このサイズはある意味普通である。
正直言って、満を持してフルチェンジ、といった風情で8年ぶりのニューモデルだそうだが、実車を見てあれこれと検証するまで先代との区別がつかなかったほど、そのデザインはキープコンセプトである。先代が登場した時、えっ?このグロなフェイスのクルマを買う人いるの?という印象を持ったものだが、蓋を開けてみれば大ヒット。そして市場を独占した状態でニューモデルに引き継がれた。
![](https://response.jp/imgs/zoom1/1984690.jpg)
8年前にはV6エンジンの設定もあったが流石に今では4気筒だけとなった。今回試乗したのはハイブリッドの2WDモデル。「エクゼクティブラウンジ」というグレードはトップグレードで、2列目のシートは至って快適な装備がてんこ盛りされる。
正直言ってこの手のクルマの試乗をする意義は2列目シートにふんぞり返ってその乗り味を体感することだが、残念なことに“ショーファー(お抱え運転手)”がおらず、今回はそのショーファー役での試乗である。まあ、運転してどうのこうのというクルマでないことは解りつつも、世の中を席巻する超人気のミニバンとはどんなものか体験しておくのは良いという考えの基に試乗をしてみた。
◆ベストポジションはオットマン付きセカンドシートか
エンジンは2.5リットル4気筒とハイブリッドの組み合わせで、発進はまさにするすると…という感じである。デザイン上の特徴としては先代よりもさらに屹立したフロントフェイスと、稲妻のように鋭いラインを持つサイドキャラクターライン。こいつに気が付くまで先代と区別できなかったというわけだ。それでもクロームは残るもののグリルは黒基調に変わっているので先代ほどのぎらつき感はなく、まあ少しだけ大人し目になった。
試乗は横浜からアクアラインを通って千葉までの往復が中心。途中時間調整で1時間ほどゆとりがあったので、これ幸いとセカンドシートの座り心地を試した(走ってはいないが)このシートは少なくとも車中泊には持って来いと言えるほど快適で、上掛けさえあれば確実に一晩過ごしても疲れなさそうである。
![](https://response.jp/imgs/zoom1/1984696.jpg)
オットマンを出して背もたれを目いっぱい倒せば、ほぼ昔の旅客機のファーストクラス並みのフラットな姿勢を取ることができる。もちろんサイドブラインドやルーフのブラインドを閉めればプライベート空間もそれなりに保てるから、阿保な面して寝ていてもそれなりに大丈夫そうであった。3列目は倒れはしないが、大人が乗車しても窮屈感はないと思う。
先代は2列目のインプレもやってみて、やはり大きな開口部がすぐそばにある影響からか、プルプルとした揺れが気になり、ベストポジションはフロントパッセンジャーシートだと思ったが、今回ドライバーズシートに乗っていてもボディのしっかり感は先代よりも確実に上で、恐らくこれだと2列目の揺れも間違いなく軽減されて、ベストポジションはオットマン付きセカンドシートではないかと思えた。
◆予想外に抜群の“しっかり感”
![](https://response.jp/imgs/zoom1/1984695.jpg)
そのしっかりボディは運転の印象も変えている。もちろん敢えて一人乗車のためにこのクルマを買おうという人はいないはずだが、仕方なくショーファー役となる(大抵はオトーサン)人も、案外運転を楽しめる。もっとも楽しもうとも思わないが、大柄ボディの割に軽快に走るから運転が楽になっていることは確実。この手のクルマの場合高速に乗ってしまえば間違いなくACCの恩恵にあずかるドライブとなるはずで、予想外と言っては失礼だが、ドンガラの割にしっかり感は抜群に高いと感じた。
おおよそ300km弱走った燃費は14.9km/リットルと、2.2トンを超える車重としては相当に立派な数値である。しかも燃料はレギュラー。確かにクルマの値段は高いけれど(車両本体価格850万円、試乗車はオプション込みで888万1920円)、ハイブリッドを選ぶメリットは十分にある。グレードを下げるか否かは予算次第ということだ。
![](https://response.jp/imgs/zoom1/1984686.jpg)
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員・自動車技術会会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来46年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。最近はテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」という番組で自動車関係出品の鑑定士としても活躍中。
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