ダイハツが経営体制を刷新、井上新社長「現場経営の責任者として再生をけん引」
レスポンス / 2024年2月13日 17時30分
ダイハツ工業は2月13日、車両認証試験の不正を受けて新たな経営体制を発表した。奥平総一郎社長をはじめとする5名の取締役は3月1日付けで退任し、新社長にはトヨタ自動車の中南米本部本部長を務める井上雅宏氏を迎え入れる。
ダイハツの親会社、トヨタ自動車の佐藤恒治社長とダイハツの新社長となる井上氏は同日そろって都内で会見し、新体制について説明した。
佐藤社長は「ダイハツの原点は『国民車』である軽自動車などの小型車でお客様の暮らしを支えすること。良品廉価なクルマ造りは本来のダイハツの強みであり、その原点に立ち戻り会社を造り変える覚悟でダイハツらしさを取り戻していきたい」と改めて表明。
その上で「改めてダイハツの事業領域を軽自動車に軸を置いた会社と定め、海外事業については、企画、開発、生産をトヨタからの委託に変更する方向で詳細の検討を進める。こうした方向性のもと、今後の再発防止策の着実な実行と、将来の基盤づくりを推進していくために、ダイハツは経営体制を変更する」と述べた。
新社長に就任する井上氏について佐藤社長は「ブラジル、アルゼンチンの地域経営の再構築など長年、中南米事業の構造改革に取り組んできた。難しい決断も多い中で現場のメンバーと徹底的に対話をして改革を前に進めてきたリーダー。こうした経験を生かして現場経営の責任者としてダイハツの再生をけん引していく」と紹介した。
井上氏は「不正を引き起こしたダイハツの組織、風土をダイハツメンバーと共に力を合わせて改革し、ダイハツの再生に全力を尽くしたいと考えている」と抱負を語った。
また「私はトヨタ入社からの36年で約半分を海外、主に新興国で過ごしてきた。人の話を聞くためには、まず自分から話しかけて相手の信頼を得ないと本音を聞かせてもらえないことをさんざん経験してきた。ダイハツに参っても自分が現場に出向き、自分から話しかけ、信用をかち得て本音の話を伺うことから始めたい」と現場主義でダイハツ再生に臨む姿勢を示した。
さらに「従業員、ステークホルダーの皆様と徹底的に対話し、今後のダイハツのあり方を定め、4月にダイハツ新体制方針を説明したい」とも明かした。
一方、ダイハツの今後の事業領域に関して佐藤社長は「少しダイハツの負荷を高める結果になっていったと考えられる、海外事業に関するスキームについては、ダイハツに対する負荷を考慮しつつ、トヨタの得意領域はトヨタの方で取り組んでいくような、事業の分担の見直しも考えながら、ダイハツの負荷を適正化していく」と説明。
国内については「(軽自動車に軸を置いた会社という)前提を置きながらダイハツの取り組むべき事業領域を決めていく。とくに国内においては軽自動車以外の車両もあるので、そこも基本的には事業を継続しながら、あり方を長期目線で考えていく」と語った。
ダイハツの現経営陣のうち奥平社長を始め、松林淳会長、武田裕介取締役、枝元俊典取締役、非常勤の山本正裕取締役の5名は退任する。
星加宏昌副社長は留任し「引き続き品質統括本部長として、認証不正を起こさない法規・認証関連業務の体制構築を担当する」(佐藤社長)としている。またトヨタからは井上氏のほかに、レクサス電動化推進PJT担当でトヨタ自動車九州の副社長と務める桑田正規氏が副社長に、カスタマーファースト推進本部副本部長の柳景子氏が非常勤取締役にそれぞれ就任する。
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