大胆な次世代EVコンセプト、2025年の市販モデルを示唆…クライスラーが発表
レスポンス / 2024年2月14日 18時0分
ステランティス傘下のクライスラーは2月13日、次世代EVを提案する『ハルシオン・コンセプト』(Chrysler Halcyon Concept)を米国で発表した。2025年に市販予定のブランド初のEVを示唆している。
◆フード中央まで伸びたフロントガラス
同車は、ステランティスの「STLAラージ」プラットフォームをベースにデザインされた。ドラマチックな彫刻的スタイリングを持つ未来的な4ドア車だ。航続を延ばすエアロダイナミクスデザインを採用している。フロントのエアカーテンは、空気の流れを誘導するように設計された。フロントガラスはフード中央まで伸び、コックピットを細長くすることで、ドライバーにワイドな視界をもたらしている。クライスラーのウィングロゴは、ドライバーが近づくと点灯し、車両の充電レベルをフル、ミディアム、ローで表示する。
リアドアは逆ヒンジで開く。バタフライヒンジ式のキャノピーは第3のドアとして機能し、レッドカーペット風のサイドドアとともに、乗降性を追求する。流れるようなガラスキャノピーは、エクステリアとインテリアを一体化させることを狙ったものだ。広大なフロントガラス、キャノピー、リアハッチが連携して、臨場感あふれる体験を提供するという。
リアはワイドさとショルダーを強調するウォーターラインを備え、LEDでライトアップされたクライスラーのウィングロゴが表示される。バックカメラからの映像は、室内のコンソールやクロスカースクリーンに映し出される。軽量で機械加工された22インチのホイールは、タービン状のデザイン。センターキャップにはクライスラーのウィングロゴの新解釈がアクセントとして施された。低転がり抵抗の255/35R22サイズのピレリ製タイヤが装着されている。
◆15.6インチスクリーンは縦向きにも横向きにも回転
インテリアは、ほぼ360度の視界を持つ没入型の環境を目指した。コックピットの中央には、透明ディスプレイがあり、前方に視線を向けながら、必要な情報を得ることができる。このディスプレイを補完するのが、格納式の15.6インチのコンソールスクリーンだ。縦向きにも横向きにも回転させることができ、情報に素早くアクセスできるようにした。ディスプレイは音声認識で制御できる。
拡張現実のフルスクリーン・ヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)は、速度や充電状況などの重要な情報を表示する。コックピットにはAI(人工知能)が組み込まれており、ドライバーは車両に何でも尋ねることができる。「STLA Brain」テクノロジーは、最新のテクノロジーや機能を搭載したOTA(Over-the-Air)アップデートを行い、車両を常に最新の状態に保つ。また、ステランティスのAIシステムにより、ディーラーに行かなくても問題を診断し、OTAソリューションを受信することができる。
逆ヨークデザインのステアリングホイールは折り畳み式で、ステアリングホイールが格納されるとペダルも格納される。ステアリングホイール中央のクライスラーウィングロゴをはじめ、キャビンの他の部分には、デトロイトの音楽文化と伝統にインスパイアされたサステイナブルデザインが採用された。クラッシュ加工された素材と、音楽CDから作られた100%リサイクル複合素材を使用している。
◆インストルメントパネルを廃止
インストルメントパネルは廃止され、乗員は足元の大型フットレストを利用して、よりリラックスしてパノラミックウィンドウからの眺めを楽しむことができる。ガラスセンターコンソールのデザインは、フロントからリアへと流れるようにキャビン空間をつなぎ、モダンな建築的雰囲気を醸し出す。照明はキャビン内で重要な役割を果たしており、アクセント照明が、ドア、フットレスト、フットウェルにも採用されている。
軽量でキーストーン形状のフロントシートは、ガラス製のセンターコンソールを包み込むように覆うことで、インテリアに連続性を与えている。また、フロントシートはリアシートの位置まで完全に格納することができ、巨大なアクセシブルエリアが形成される。ステアリングホイールと同様、フロントシートには、音楽CDを粉砕して作られたクライスラーのウィングロゴが組み込まれている。
リアシートはトランクエリアに格納でき、クライスラーのミニバンで初めて採用されたシートの次世代バージョンを提案する。リアシートは、生体認証または音声コマンドによって格納され、食料品やペットのケージなどを収納するスペースが確保される。リアのアームレストは彫刻的で、フロースルーのコンソールを支えている。
◆走行中のワイヤレス充電によって航続を延ばす
EVパワートレインには、「ダイナミック・ワイヤレス・パワー・トランスファー(DWPT)」技術を採用した。専用レーンを走行するEVをワイヤレスで充電することで、充電器や充電コード、充電ステーションを必要とせず、ニューヨークからシアトルといった目的地まで無制限に航続を伸ばして移動できる未来を提案している。ステランティスはすでに、イタリア・キアリのアレーナ・デル・フトゥーロ・サーキットにおいて、DWPT技術の可能性を実証済みだ。
また、ニッケル、コバルト、マンガンを使用しない800Vのリチウム硫黄バッテリーを組み込むことを想定している。その結果、現在のバッテリーよりもカーボンフットプリントが60%低くなると推定され、世界で最も排出量の少ないEVバッテリーを実現する、としている。
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