エンジンの生命線!? プラグ交換の重要性とは~Weeklyメンテナンス~
レスポンス / 2024年3月21日 6時30分
エンジンまわりの部品の中で消耗部品として定期的な交換が必要なのがスパークプラグ(プラグ)だ。近年は長寿命化が進んでいるが、エンジンの健康状態を保つためにはメンテナンスが必要なパーツとなる。
プラグ役割はエンジン内での点火だ。インジェクターから噴射して霧化したガソリンと空気の混合気がシリンダー内に充填され、さらにピストンで圧縮された上でプラグによるスパークで爆発、この力を動力源としているのがガソリンエンジンだ。この一連の動作の中でも重要なカギを握っているのがプラグだ。正しく混合気に点火することでエンジン内の爆発を最適にするのが役目。プラグが劣化していると着火の状態が悪くなり、エンジンのパワーや燃費に影響を及ぼすことになる。
そこでプラグは定期的な交換が必要になる。新品のプラグを見ていると簡単に劣化が進むとは思えないのだが、その構造を見てみると定期交換の必要性を感じる。そもそもプラグは中心電極と呼ばれるプラグの軸部分にある電極と、外側電極と呼ばれるアーム状に伸びた電極の間で放電(空中に火花が飛ぶ)してシリンダー内の混合気に点火している。しかしエンジンは数千回転~の高速で回転している、そのためプラグも高速で点火を繰り返すことになるのだ。エンジンが回転している間中、ずっとプラグは点火を繰り返すため電極には大きな負荷が掛かり摩耗や汚れが発生することになるのだ。
実際に古いプラグを見たことのあるユーザーなら理解できるだろうが、中心電極と外側電極の間隔(ギャップと呼ぶ)は既定値が決まっているのだが、使い続けていくとこの間隔が開いていく。つまり電極が摩耗しているのだ。すると電極の間隙が広がり放電の精度が落ちていくことになり、点火がうまく行かずエンジン内の爆発が起こらないケースが出てくるのだ。ただし最初はごく希に起こる点火ミスなのでドライバーが体感するほどではない。しかしエンジン性能としてはわずかながら低下しているのは確実。しかもその点火ミスの頻度が高まってくると明らかなエンジントラブルとして体感できるようになるのだ。
実際プラグの劣化を体感したことのドライバーにはどんな症状が起きるかが想像できないだろう。劣化した際の不具合として代表的なものが失火と呼ばれる現象。プラグによる混合気への着火がうまく行かずシリンダー内で爆発が起こらない現象だ。もちろん失火したままだとエンジンは停止してしまうのだが、プラグの不具合ではわずかな失火のサイクルが含まれる。そうするとエンジンは動いているのだが性能は低下するという現象が起きる。パワーや燃費の低下などがその一例だ。始動性が悪くなるのもそのひとつとされる。またエンジンの振動が大きくなるのもプラグの劣化が原因の場合もある。
ただし「不具合を感じてから交換すれば良いだろう」と考えるのは避けた方が良いだろう。理由は明らかな不具合を感じるようになるのはかなり症状が重くなってから。プラグの劣化はすぐにはドライバーに伝わらないのだ。そのため、不具合や燃費の悪化をリアルに感じてからプラグ交換を検討するのでは無く、定期的にプラグ交換を実施して、常にエンジンを健康な状態に保つのがクルマを快適に長持ちさせるコツでもあるのだ。
そこでエンジンの不調などを体感する前に走行距離を目安にして予防的な交換を心がけよう。一般的なプラグであれば1万5000km~2万km程度が交換の目安、白金プラグやイリジウムなどの長寿命モデルでは10万km程度が交換時期とされている。愛車に取り付けられているプラグを今一度確認して、走行距離とも相談して交換時期を探っておこう。かつては定期的にプラグを取り外して電極の焼け色で混合気の濃い/薄いを判断することもあったが、インジェクション車ではその作業は不要だろう。時期が来れば有無を言わずに交換するのが良いだろう。
交換作業自体はエンジンまわりのDIYメンテナンスの中では比較的簡単だ。プラグキャップを外してプラグレンチを使って既存プラグを緩め、同じように新品プラグを差し込んで締めれば完成だ。近年のダイレクトイグニッションの場合はプラグキャップでは無くダイレクトコイルを取り外す手間が増える程度で、基本的な構造は同じなので作業も難しくないだろう。
プラグ交換で見違えるような性能を発揮するわけではないが、エンジンの動きを“元の状態”に戻すという意味からも気を配っておきたいメンテナンス項目だ。交換時期をスケジューリングして、定期交換を実施することでエンジンパワー、燃費などを常に最良の状態にキープしておこう。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。
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