「次世代の海好き」へ、ヤマハは“億超え”高級ボートで日本に「新たなマリンライフ」提案
レスポンス / 2024年3月22日 8時0分
日本最大級のマリンイベント「ジャパン・インターナショナルボートショー2024」が3月21日に開幕した。63回目を数える今回は「あふれる笑顔、この海でずっと」をテーマに掲げ、「次世代の海好き」に向けてマリンレジャーの魅力を訴求する。会場はパシフィコ横浜、横浜ベイサイドマリーナなど。
コロナ禍でマリンレジャー人口は増加したものの、2023年はボートの販売や免許取得が前年割れ。またマリンレジャー人口は年々高齢化が進むとあって、今回のショーでは特に「次世代の担い手」にアピールすべく、会場を大幅に拡張したほか、子ども向けの体験プログラムを充実させるなど取り組む。ボートのシェアリングをはじめとした「ことづくり」に注力し、海遊びの楽しさを広めマリン人口の拡大をめざす。
◆3年連続で売上・利益更新のヤマハ
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そうした中「新たなマリンライフを提案する」のが、ボートや船外機をはじめとしたマリン事業を手がけるヤマハ発動機だ。ヤマハといえば日本を代表するバイクメーカーというイメージだが、実はマリン事業は主力のひとつ。マリン事業はヤマハの利益の45%を占めるまでに成長している。
ヤマハはボートショーの会場で、マリン事業において3年連続で売上高・利益ともに過去最高を達成したと発表した。
全社売上2兆4148億円のうちマリン事業で5475億円(前年は5170億円)、同利益2507億円のうち1137億円(同1092億円)を占める。利益に関しては全体の45%と、主力事業のひとつとして大きく成長していることがうかがえる。米国の大型船外機(ボート用エンジン)需要が堅調で、ヤマハの主力商品である300馬力以上の大型船外機の出荷が増加したのが大きな要因だ。
2024年についても大型船外機需要が続くとみられ、新モデル『F350B』の投入や、アジア市場の堅調な需要などで、さらなる増収・増益を見込んでいる。フラッグシップモデルとなる最大馬力の『F450』は、今回のショーで初出展となった新型フィッシングボート『YFR330』に搭載されることで初めて国内市場へも導入される。
そんなヤマハが今回のショーでアピールするのは、「マリン版CASE」と高級輸入ボートを中心とした「新たなマリンライフの提案」だ。
◆ヤマハが描く「マリン版CASE」
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マリン版CASEは、ヤマハが中期計画の中で成長戦略の柱として掲げるもの。コネクテッド、オートノマス、シェアード、エレクトリック、それぞれにおいて先進技術を活用することでユーザーのマリンライフを豊かにすることをめざす。コネクテッドついては、2021年に買収したSiren Marine社との協業で、離れた場所でもボートの状態を確認できるアプリの運用を米国で開始。シェアードでは昨年出資したフィンランドのITスタートアップSkipperi社との協業で、DXを活用した新たなマリン体験プラットフォームの提供、海外シェアリングビジネスへの参入を加速する。国内では全国約140箇所のマリーナで展開する「Sea-Style」に、スマートフォンを活用した航行支援アプリを5月より導入する。
オートノマスについては、ヤマハ独自の操船システム「Helm Master EX」の採用を拡充する。ジョイスティックでボートの離岸・接岸操作を簡単にできるほか、自動操舵機能や定点保持機能を備え、ユーザーからも好評だという。国内市場でも新型のYFR330をはじめ3モデルに搭載する。今後は、自動着岸機能も備わる見込みだ。また、マイナーチェンジしたフィッシングボート「DFRシリーズ」にはトヨタ自動車と共同開発した船内機艇専用の操船システム「Y-FSH」を採用する。
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エレクトリックについては、今年1月に買収したドイツの電動推進機メーカーTorqeedo社との連携によって、エレクトリック領域の開発強化、カーボンニュートラル対応の加速、そして早期の小型電動ラインアップ構築をめざすほか、「中型電動船外機にもシナジーを生み出し、成長するマリン電動領域においても、リーディングカンパニーを目指す」(マリン事業本部国内事業推進部 吉田竜也 事業推進部長)。
これらに加え、ヤマハが開発を進める水素エンジンのマリン展開や、燃料電池、合成燃料などマルチパスウェイによるカーボンニュートラルをめざす。植物由来の強化樹脂によるエンジンカバーの採用、天然由来繊維の艇体への活用など、素材ベースでのサスティナビリティも追求していく。これらの素材や技術は、ボートショーのヤマハブースでも確認することができる。
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◆「滞在型マリン文化」を日本に
「新たなマリンライフの提案」としてアピールするのは、ヤマハが輸入販売をおこなうフランスの高級ボートブランド「PRESTIGE」を中心とした、国内ではまだあまり浸透していない「滞在型マリンライフ」だ。今回のボートショーでは、PRESTIGEとして初めてヤマハブース内に商談スペースを用意したほか、係留展示をおこなう横浜ベイサイドマリーナ会場には、3艇のPRESTIGEを並べた。その合計金額は5億円を軽く超える。
今回の展示にはなかったが、ヤマハは6月にカタマランタイプ(双胴型)のサロンクルーザー『PRESTIGE M48』を発売する。これは全幅6mにおよぶサイズで、全長は48フィートながら1クラス上の60フィート級の居住空間を特徴とする。また双胴型の強みである高い安定性によって、洋上でも快適に過ごすことができる。
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日本では行き先やレジャーを決めた日帰りの「目的型マリンライフ」が主流だが、欧州では洋上のボートで別荘のように過ごす滞在型マリン文化が定着しており、これを新たなレジャーとして普及させ、活性化させるねらいだ。
前出の吉田氏は、「マリン事業の長期ビジョンとして掲げている『信頼性と豊かなマリンライフ』をお客様に提供し、海の価値をさらに高める事業を目指してまいります」と語っている。
◆24日まで開催 レクサス、GRに超高級車も
「ジャパン・インターナショナルボートショー2024」は3月24日まで開催。パシフィコ横浜での屋内展示、横浜ベイサイドマリーナでの海上展示、八景島マリーナでの体験プログラムのほか、オンライン展示(こちらは5月31日まで)もおこなう。パシフィコ横浜と横浜ベイサイドマリーナの入場料は一般(高校生以上)1500円で、中学生以下は無料。2会場に入場可能となっている。
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ヤマハ以外にも、トヨタやホンダ、スズキ、カワサキといった国内大手メーカーがボートやマリンライフの展示をおこなう。また、ボートユーザーをターゲットに超高級車ブランドが軒を連ねるのもボートショーの見どころ。アストンマーティン、マクラーレン、マセラティ、ロータス、ランボルギーニといったスーパーカーが並ぶ。
今回は初めてトヨタGRがブースを構えているのもトピックだ。『GRスープラ』の市販車とレース車両が展示されている。同じトヨタ系の高級ブランドであるレクサスは『LM』と『LBX』を展示。初めて商談ブースも設けたほか、試乗の受付もおこなっている。クルマファンにとっても楽しめるイベントとなる。
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