電動車ブランドになったヒョンデが、あえて高性能モデル「N」を日本に投入する理由とは?
レスポンス / 2024年4月26日 12時0分
ヒョンデモビリティジャパンは、電動化時代にも変わらないドライビングの楽しさを追求した高性能EVの『アイオニック5N』を6月5日より販売を開始すると発表した。なぜヒョンデは、日本市場に高性能EVを投入するのか。そのねらいを同社プロダクト担当に直撃した。
◆サーキットから日常まで使える「N」
![](https://response.jp/imgs/zoom1/2003810.jpg)
そもそも車名に付けられた「N」とは何なのか。2015年、R&D拠点がある韓国の南陽(ナムヤン)と、開発テストを行っているドイツのニュルブルクリンクの頭文字をとって「Nブランド」と名付けたのがその由来だ。
ドライビングの楽しさを追求したブランドで、3つのDNAを持っている。ひとつは“Corner Rascal(コーナー走行能力)”だ。これはドライブを楽しむドライバーなら誰でも、ダイナミックかつ安全なコーナリングを楽しめるようにすること。2つ目は、“Everyday Sportscar(日常のスポーツカー)”で、Nモデルは、高性能車愛好家と日常のドライビングを楽しむ人たちを含めた全ての方のためのクルマという意味。出力だけにこだわるのでなく、様々な走行環境に素早く対応できる必要があり、それを実現すること。
最後は“Racetrack Capability(サーキット走行能力)”。Nモデルは、サーキット走行に最適なパフォーマンスを備えているだけでなく、追加で補強や改造をする必要もなくそのままでサーキットを走ることができるという。こうしたDNAをもとに開発が行われており、現在『i30N』や『i20N』(いずれも国内未導入)などの内燃機関モデルとともに、『アイオニック5』にもNモデルが追加されたのだ。
◆走り屋魂を持った人たちが開発
![](https://response.jp/imgs/zoom1/2003242.jpg)
そもそも、なぜヒョンデはNブランドを立ち上げたのか。ヒョンデモビリティジャパンのシニアプロダクトスペシャリスト佐藤健さんは、「ヒョンデというブランドを明確にしたい、強くしたいという思いが強くありました。(Nブランド立ち上げ)当時、モータースポーツを本格的に始めていましたし、そのモータースポーツで培ったものをきちんとクルマにも反映しようという流れからです」という。2015年頃に元BMW Mのチーフエンジニアだったアルベルト・ビアマンが来たことも大きなきっかけだったようだ。そうして『エラントラ』をはじめいくつかのモデルにNが登場。そして今回BEVモデルにもラインナップされたのだ。
BEVというとどうしてもCO2削減など環境車としてのイメージが強く、「走り」にはつながりにくい。「ヒョンデは長くBEVなどの電動車を販売してきましたが、いまも購入に踏み切れない人、乗りたくない人がいるのも事実です。それまでのエモーショナルな走りを楽しみたいという思いがあり、(BEVなどでは)その楽しみに応えられないという声がありました」。そこで、「EVでもきちんとエモーショナルに楽しめるクルマを作ろうじゃないか」となったわけだ。
アイオニック5Nではエンジンサウンドを模した音が車内外で聞こえるようにしたり、シフトチェンジができるようにもした。「これらは見方によってはギミックにもなるでしょう。それでもいままでクルマを楽しんできた方々は、絶対に五感が刺激されます」と語る。確かにサーキットを走らせてタコメーターのレッドゾーンを過ぎるとオーバーレヴをさせたような振動と音、そしてパワーの低下が感じられるほどの凝りようで、そこまで作り込みをしているのには驚かされた。佐藤さんも、「シフトアップダウンの際もトルク制御して音もずれずにきちんとついてきます」と述べるほどリアルな完成度だった。
![](https://response.jp/imgs/zoom1/2003246.jpg)
実はNブランドマネージメント室常務(室長)のパク・ジューンさんは、自らアイオニック5Nでドリフト走行をするなど非常にマニアックな人だ。「学生時代から東京オートサロンに来ていたそうで、日本の走りや走り屋、頭文字Dなどが大好きですので、日本のお客様と価値観は相当近いと思います」と佐藤さん。
さらにはドイツのニュルブルクリンクにあるテクニカルセンターにいる一人はRSフォードにいた人物で、RSシリーズの開発を手掛けていた人物だ。「彼も電気自動車の時代でありながら走りを楽しめるクルマを目指して開発しているそうです」と述べるように、そういう人達が率先して作っているブランドなのだから走りは楽しいはずだ。
◆BEVの楽しさはV2Lだけじゃない
![](https://response.jp/imgs/zoom1/2003252.jpg)
日本市場においてヒョンデはアイオニック5と『コナ』、FCVの『ネッソ』の3モデルをラインナップしているが、まだまだ認知度もイメージも低い状況だ。そこにNを導入するとブランドイメージが混乱しかねない。その点について佐藤さんは、「ヒョンデ自体の認知度はほとんどない」と認めたうえで、「イメージのある人も昔の“ヒュンダイ”のイメージが強いでしょう。しかし、いまのヒョンデはこういうブランドになっているということを一番わかりやすくしたのがこのNだと思うんです。ですから今回はNを日本のお客様に知ってもらってファンを作っていくことに重きを置いています」と語る。
そのための施策のひとつが、5月に袖ヶ浦フォレストレースウエイで実施する一般客を招待した走行会だ。「エクスペリエンス、実際に経験してもらわないといけないと思っていますので、そういう機会をできるだけ作っていく予定です」とコメントした。
また佐藤さんはこうも話す。「多くの人に電気自動車は検討の候補ですかと聞くと、ほとんどの人がそうだと答えますし、いずれは電気自動車に乗ると思っています。なぜならCO2を減らさなければいけないので、我慢してでもEVにいずれは乗らなくてはいけないと。しかし、実際に乗っている人の声を聞くと、EVは楽しい、違うカーライフを楽しめるとみなさんがおっしゃって買ってくれています」。その象徴的なものがヒョンデの各車にも装備されているV2Lだ。「キャンプに電子レンジを持って行って料理するとか、V2Lを使ってクルマの中をリモートオフィスにして働くなど、電気自動車は楽しく使えるから買ったという人が多いのも事実です」とのこと。
![](https://response.jp/imgs/zoom1/2003244.jpg)
それであれば走る楽しさも電気自動車ならではの個性として出せるのではないか。それがまさにアイオニック5Nだと佐藤さんはいう。「峠を攻めたり、音を出してエモーショナルに走ることができる一方、音を切ってしまえば静かな普通の電気自動車になります。もちろんパッケージングも優れていますので、カーゴルームの広さも失ってはいませんし、リアシートの快適性も同じです。すなわち奥様もOKなんです」と笑う。
例えば近年のスーパースポーツカーはエンジンをかけた瞬間にあえてエンジン音を強調し回転を上げるような動作をするクルマが多い。しかし早朝のゴルフに行くタイミングなどでは近所迷惑になりかねないのも事実だ。しかしアイオニック5Nであれば、「静かに家を出てゴルフ場の近くの峠まで来たら音を出して楽しむことができます。つまり電気自動車は同じクルマでありながらキャラクターを変えられるのです。そこは間違いなく楽しんでもらえるでしょう」とコメント。
さらにハイパフォーマンスカーの場合は2台目、あるいは3台目として購入するケースが多いが、アイオニック5Nは1台目として乗ることもできるほど乗り心地もよく、実用性に富んだクルマに仕上がっているのだ。
今回サーキットや一般道を試乗する機会も得たのだが、エンジンサウンドを模した音を聴きながら、パドルシフトを操っているとBEVを走らせている意識はすぐに消し飛び、素直にドライビングを楽しんでいる自分に気が付いた。同時に電子制御によりサスペンションの固さもいかようにも変えられるので、街中において不快さを感じることもなかった。果たして航続距離がどうなのかは今回の試乗で走ることができなかったが、佐藤さんがいうようにサーキット走行と実用性を両立した電気自動車ということは間違いなさそうだ。
![](https://response.jp/imgs/zoom1/2003241.jpg)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
ヒョンデの650馬力EV『アイオニック5 N』、インドネシア向けは現地製に
レスポンス / 2024年7月24日 16時15分
-
ヒョンデ アイオニック 5 N(IONIQ 5 N)試乗記・評価 驚異の走りと脅威な価格
CORISM / 2024年7月14日 20時6分
-
トヨタ新型「ハイエース」まもなく登場!? デビュー20年目「大人気“商用バン”」の進化に期待大!「超静音モデル化」実現か
くるまのニュース / 2024年7月11日 17時10分
-
「SOMPOで乗ーる」がヒョンデ『アイオニック5N』カーリース開始 日本初
レスポンス / 2024年7月3日 17時0分
-
日独韓のスポーツハッチ比較:GRヤリス、ゴルフR、アイオニック5N
レスポンス / 2024年7月2日 6時45分
ランキング
-
1恋人としては良いけど… 男性が「結婚をためらう女性」の特徴とは
ananweb / 2024年7月27日 20時15分
-
2年金15万円・81歳の母だったが、55歳長男が「私の老後は絶望的です」と悲観する「親の老人ホーム請求額」に驚愕
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月28日 10時15分
-
3女性から自然と「好かれる/嫌われる男性」に共通している“6つの特徴”
日刊SPA! / 2024年7月28日 8時52分
-
4これは今すぐ試したい!岡山県が提唱する、驚くほど簡単で綺麗な桃の切り方とは。≪実際にやってみた≫
東京バーゲンマニア / 2024年7月27日 19時9分
-
5出会った男性は100人以上…「婚活中毒」な35歳女性。目当ての男性から避けられる“残念な理由”は
女子SPA! / 2024年7月27日 15時47分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)