【ジープ ラングラー 4xe 新型試乗】ラングラーがまぁ静かになっちゃって…中村孝仁
レスポンス / 2024年5月6日 8時0分
◆ブランド価値を上げた「ジープ」
同業者にして、趣味の世界の師匠でもあるYさんが上梓した本、「何故クルマ好きは性能ではなく物語(ブランド)を買うのか」というのがある。
てっきり日本人はブランドに弱いと思っていたが、どうもブランドを大切にするのは圧倒的に欧米の企業らしい。だから如何にブランド価値をあげるかについてはとても熱心なのかもしれない。欧米とあったが、個人的には特にヨーロッパのメーカーがブランド価値の構築に熱心な企業が多いように感じる。
そんなブランド価値をここ10年ほどで大きく上げたのが「ジープ」ではないだろうか。
![](https://response.jp/imgs/zoom1/2003102.jpg)
アメリカ市場を例にとれば、2000年以前で最もよく売れた1997年が21万1157台。まあだいたい20万台前後だったものが、2005年にいきなり47万6532台に増え、以後右肩上がりとなり2018年にはついに97万3227台と、ほぼ100万台に届くレベルにまで成長した。日本市場でも同様に、2005年には年間2136台の販売だったものが2018年には11438台とほぼ5倍に増えている。こうした傾向は世界的である。
確かにSUVのブームに乗ったという側面があるが、98年に当時のダイムラー、即ちメルセデスベンツに買収されダイムラークライスラーを名乗り、その後いったんはクライスラー単独となったものの、フィアットと合併してFCAとなり、さらに2021年からはステランティスとなって今に至る。この間ジープブランドはヨーロッパの企業にコントロールされて、そのブランド価値を上げてきたともいえるわけだ。
◆まぁ静かになっちゃって…
![](https://response.jp/imgs/zoom1/2006259.jpg)
そんなジープというブランドにあって不動の地位と不動の車両コンセプトを持つモデルが『ラングラー』である。ラングラーを名乗り始めたのは1986年からだが、元々は軍用として生を受けたジープが「CJ」、即ちシビリアン・ジープとして民需に転換して以来そのタフネスと無類の走破性こそが車両コンセプトであって、それは最新のラングラーに至るまで何ら変わりはない。ただ、ここ10年ラングラーは常に快適性をそのタフネスと走破性に加えたクルマ作りをしてきた。
そして2021年には初のPHEVモデル「4xe」を誕生させる。この4xe、日本市場には昨年導入された。2リットル4気筒ターボエンジンと2つのモーターを組み合わせたモデルで、現在日本では4xeと名の付くモデルが『レネゲード』、『グランドチェロキー』にも設定されているが、このうちラングラーとグランドチェロキーは同じメカニカルトレーンを持っている。
2つのモーターのうちひとつは主としてISGとして機能し、もう一つが駆動をアシストする。もちろんEV走行が可能でその距離はおおよそ30kmほど。カタログ上はWLTCモードで42kmの走行が可能とあるが、とてもそれは無理であった。それにしても音もなく走りだすラングラーは少し気味が悪い。本来は悪いことなどないのだが、タフでワイルドが売り物だったラングラーがまぁ静かになっちゃって…というこちらの勝手な先入観によるものだ。
◆史上最もスムーズに走り出すラングラー
![](https://response.jp/imgs/zoom1/2003087.jpg)
ご多聞に漏れず走行モードが3種設定されていて、ハイブリッド、エレクトリック、それにEセーブというモードを持っている。最後のEセーブは電気使用量をセーブするモードで、充電しながら80%程度までバッテリー容量を回復させることができるらしい(試していない)。30kmほど走った後は完全なICEかというとそんなことはなく、少なくとも発進はモーターで静々と走るから、史上最もスムーズに走り出すラングラーともいえる。
それにしてもこの図体で、クルマ好きの仲間の中に入っていくと、クルマ好きですらこれがPHEVだと言っても信じない。答えは「だってジープでしょ?」である。だから給電口を見せると「ホントなんだ」という奇異の目が返ってきて予想外の反応を示すから面白い。
今回の試乗はおよそ一般道を普通に走っただけなので、電動化によるオフロード性能がどうなっているかなどは試していない。しかし、およそほとんどのラングラーユーザーは、自分の愛車を瓦礫の山に突っ込んでその性能を確かめることなどないだろう。少なくとも日本では限りなく少ないはずだから、静かでスムーズなラングラーということで良いのだと思う。
因みに左ハンドル仕様である。どうも本気で日本市場に定着させようとは今のところ考えていないようだ。それに価格はついに1000万円を超え、1030万円である(驚)。輸入車は高くなったものである。
![](https://response.jp/imgs/zoom1/2006257.jpg)
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員・自動車技術会会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来46年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。最近はテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」という番組で自動車関係出品の鑑定士としても活躍中。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
雨の悪路…「最高ですよね!」 ヒロミがクルマで泥んこ遊び!? 全長5m超え「トライトン」が見せた凄さとは
くるまのニュース / 2024年7月24日 5時50分
-
【ホンダ ヴェゼル 新型試乗】乗ればわかる、とてつもない人気車種になった理由…中村孝仁
レスポンス / 2024年7月23日 20時0分
-
【2024年】 燃費がいいSUVおすすめ15選! SUVの選び方も合わせて紹介
MōTA / 2024年7月22日 18時0分
-
コンパクトSUVのおすすめ車種はどれ? 室内空間や荷室、燃費など選び方別ランキングTOP3
MōTA / 2024年7月19日 19時0分
-
電動車なのに荒ぶる12気筒! ランボルギーニ「レヴエルト」を富士で全開試乗
マイナビニュース / 2024年7月4日 11時0分
ランキング
-
1恋人としては良いけど… 男性が「結婚をためらう女性」の特徴とは
ananweb / 2024年7月27日 20時15分
-
2これは今すぐ試したい!岡山県が提唱する、驚くほど簡単で綺麗な桃の切り方とは。≪実際にやってみた≫
東京バーゲンマニア / 2024年7月27日 19時9分
-
3出会った男性は100人以上…「婚活中毒」な35歳女性。目当ての男性から避けられる“残念な理由”は
女子SPA! / 2024年7月27日 15時47分
-
4老眼も眼精疲労もこれで防衛できる…眼科医直伝どんなに忙しい人でも毎日続けられる"両目の自己回復習慣"
プレジデントオンライン / 2024年7月27日 10時15分
-
5「スバルのエンジン」何がすごい!? 他メーカーがマネしない「水平対向エンジン」が誕生したワケは? ただの「変態設計」ではない「必然性」とは
くるまのニュース / 2024年7月27日 15時10分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)