トヨタ・マツダ・スバルが初公開「新エンジン」強みと特徴とは? 「まだまだ主戦場」CTOが語る
レスポンス / 2024年5月29日 13時9分
トヨタ自動車、マツダ、SUBARU(スバル)の3社は5月28日、「マルチパスウェイワークショップ」を開催。カーボンニュートラル実現のためには、新エンジンの開発も重要とのことで、3社の最高技術責任者(CTO)が現在開発を進めている新エンジンについて説明した。
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◆トヨタは小型・高効率の「直4エンジン」を初公開
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「バッテリーEV、FCEV(燃料電池車)が将来、カーボンニュートラルの主役になることは間違いないが、各国のエネルギー事情を考えると、まだまだPHEV(プラグインハイブリッド車)やHEV(ハイブリッド車)といった内燃機関を積んだクルマが主戦場になるところがたくさんある」とトヨタ自動車副社長の中嶋裕樹CTOは話し、エンジンの重要性を改めて訴えた。
トヨタは「必要なものを必要な地域にタイムリーに届けている」という方針の下、BEVをはじめ、PHEV、HEV、FCEV、水素エンジン車など多様な動力源を提供する「マルチパスウェイ(全方位)」戦略を取っている。どれも本気で取り組んでいるそうで、内燃機関についても、「今だからこそできることがある」と新エンジンの開発を進めている。
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今回のワークショップで、2種類の直列4気筒エンジンを披露した。両方とも、電動車のモーターとの併用を考え、小型化で高効率のものだという。例えば、排気量1.5リットルの新エンジンは、従来品と比較して体積と高さを10%低減。また、2.0リットルの新エンジンついても、既存の2.4リットルのエンジンと比較して、体積や高さを10%低減しつつ、高出力となっている。
しかも、これらのエンジンはガソリン燃料だけでなく、E100(エタノール100%)やカーボンニュートラル燃料、水素燃料などを視野に入れたものだそうだ。エンジンも小型化されているので、車両のデザインの自由度も上がり、搭載しやすくなっているわけだ。
◆「ロータリーエンジンに磨きをかける」マツダ
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それに対して、資金力が豊富ではないマツダとスバルは、自社の強みを活かしたエンジン開発を進めていく。例えば、マツダは独自の「ロータリーエンジン」にさらに磨きをかけることを強調した。
「ロータリーエンジンは、その構造的特徴が故に、環境規制で過去に何度も厳しい状況に直面したきた。しかし今、そのユニークな特性を生かして、それをアドバンテージに向けるときが来たと考えている」とマツダ専務執行役員の廣瀬一郎CTOは話す。
その特徴とは、シンプルな部品構成、ユニークな燃焼、フレキシブルな潤滑機構の3つだ。例えば、部品構成ではエンジンにあるバルブ機構がないので、部品を自由に配置でき、電動システムと組み合わせても、コンパクトなパッケージで納めることができる。
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また燃焼面では、 バイオエタノール、バイオ軽油、廃食油、e-フューエル、メタン、水素といろいろな燃料を燃やすことができる。異常燃焼が課題となっている水素についても、それを押さえて燃やすことができるという。
ワークショップでは、ロータリーエンジンを載せた2種類の新世代電動化ユニットが紹介された。一つが発電用のシングルローターと新たな電気駆動ユニットを組み合わせた横置き型ユニットで、『MX-30』のロータリーEVよりもコンパクトにしてレイアウト上の自由度を高め、実用性とエモーショナルなデザインを両立したという。
もう一つが発電用の2ローターを縦置きしたもので、より多くの電力供給を可能にし、低重心のプロポーションを実現している。排気量アップによるエミッションや振動の改善も狙っていて、スポーツカーへの採用も視野に入れている。マツダはロータリーを通して、電動化時代に新しい価値を提供しようと目論んでいる。
◆スバルは水平対向ハイブリッドと「プロペラシャフト」に強み
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そしてスバルは、水平対向エンジンと四輪駆動を武器に新型ハイブリッド車(HEV)の開発を進めている。これはスバルが独自に開発したHEV向けの水平対向エンジンと、トヨタから提供を受けたハイブリッドシステム(THS II)を組み合わせたパワーユニットを搭載している。
「世界にはたくさんの自動車メーカーがあって、そのなかでスバルというアイデンティティをしっかり持つこと、これがすごく重要だと考えている。われわれの武器は水平対向エンジン、そして四輪駆動で、これがわれわれのアイデンティティでもある」とスバル専務執行役員の藤貫哲郎CTOは力説し、そのアイデンティティを輝きさせるためにも、電動化技術に磨きをかけるそうだ。
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新型のHEVは駆動用・発電用の2基のモーターとジェネレーターを備えたシリーズ・パラレル式のハイブリッドシステムとなっている。ただ、リアにモーターを追加するのではなく、フロントのパワートレインからプロペラシャフトで後軸へ動力を伝達する四輪駆動システムを採用する。これによって、スバルのウリとも言える高速走行時や雪上走行時などの高い安定性を継承できているという。
スバルでは、このハイブリッドシステムの量産に向け、北本工場(埼玉県北本市)に基幹部品であるトランクアクスルの生産ラインを設置し、今秋から生産を開始する予定だ。
このように、3社三様にカーボンニュートラルを念頭に置いた新エンジンの開発を進めているが、ライフサイクルアセスメントでどれだけCO2の削減に貢献できるのか問われていきそうだ。
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