スズキの型式指定申請における不正行為、2014年のアルト貨物仕様
レスポンス / 2024年6月3日 15時47分
スズキは、国土交通省からの型式指定申請における不正行為の有無について実態調査の指示を受け、その調査結果を同省に報告した。過去の不正事案が1件発見されており、6月3日に公表した。対象となったのは2014~17年12月に生産された『アルト』貨物仕様。
2014年9月のアルト(貨物仕様、ABS無)の型式申請の際に提出した「トラック及びバスの制動装置の試験記録及び成績(TRIAS 12-J010-01-付表)」において、フェード試験の停止距離を、実際の試験で測定した停止距離より短く記載していたという。フェード試験は、ブレーキをくり返しかけてブレーキが高温となった状態での停止距離を測定する試験だ。
スズキによると、社内認証試験において、ブレーキの踏力が規定値を大きく下回る弱い力だったことで、停止距離が法規要件に対して余裕が無い結果となった。しかし、試験成績書の提出期限に対し再試験を行なう時間がなかった。そのため、試験に関与した者が、ブレーキを規定値近くまで踏み込んだ場合を想定した停止距離に書き換えても問題ないと考え、意図的に書き換えたものと推測している。
なお現在は、社内認証試験には、設計開発部門から独立した組織である法規認証部門が立ち合った上で、試験結果と成績書の確認を行なうプロセスになっている。
該当車種はスズキ・アルト、型式:HBD-HA36V、型式指定番号:17956。量産/販売開始は2014年12月で、量産/販売終了は2017年12月。その間の累計生産は2万6023台、販売台数は2万5999台となっている。
またスズキでは、2014年以降のすべての開発機種の試験結果と成績書を照合し確認した結果、同様な不正があったのは当該アルト貨物仕様のみであることを確認した。
スズキは、2016年の燃費・排出ガス試験にかかる不正行為の発覚以降、不正を発生させない社内の仕組みを作り実行するとともに、社長による職場対話を含む様々な対策や、品質優先、風通しの良い組織の醸成、法令順守に対する意識を高く保ち続ける活動「リメンバー5.18活動」を継続している。
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