知らないと危険なボルトの締め方? DIY初心者必見! トルクレンチの重要性と使い方徹底ガイド~カスタムHOW TO~
レスポンス / 2024年6月8日 6時30分
大掛かりな作業でなくてもDIYするならばぜひ持っておきたいのがトルクレンチだ。トルクレンチとはネジやボルトやナットを締める時にどれだけの強さで締めるかを測ることができる工具のこと。特によく知られているのはホイールナットを締める時に使うトルクレンチだ。
◆想像以上に危険が一杯なホイールナットの重要性
ホイールナットに限らずだが、ネジやボルト、ナットは締める強さが決められている。ホイールナットで言えば、ホイールはスタッドボルトに取り付けられていて、ナットで締め付けている。このナットを締めるほどにボルトを引っ張る力が働く。ボルトは引っ張られていて、戻ろうとする力でホイールを引き付けているからネジが緩まずにホイールは外れない。
強くナットを締め付けると、よりボルトは引っ張られるようになる。一定以上にボルトは引っ張られると限界に達したボルトは徐々に伸びてきてしまう。ボルトが戻ろうとする力以上に伸ばされていしまうとボルトは伸びて長くなってしまう。そうなるとナットは緩んでいく。そして、引っ張られすぎたボルトは最終的に破断してしまうのだ。
スタッドレスタイヤに交換時などDIYでタイヤ交換をした時に、「緩むと危ないから」と言って、十字レンチでグイグイと締める人がいる。ときには十字レンチに体重を掛けたり、足で踏んで締める人もいる。そうなるとオーバートルクと言って締め付けすぎている可能性が高い。ボルト破断からタイヤが外れてしまう危険性があるのだ。
◆安全なホイール交換を行うためのマストアイテムはトルクレンチ
そこで使われるのがトルクレンチ。どのくらいの力でナットを締め付けるのかを設定することができるのだ。設定したトルクになると物理的にカチカチと音と振動で知らせてくれたり、電子式のトルクレンチだと電子音がピーピーとなると同時に光でお知らせしてくれる場合もある。
適正なトルクで締めるにはボルトやナットが正しい状態であるかも大事。自動車メーカーの多くはボルトをグリスなどで潤滑することを禁じている。だが、レースやサーキット走行する現場では潤滑する人も多い。
レースやサーキット走行では度重なるタイヤの付け外しがあり、それによってボルトとナットが摩耗してきてしまうことがある。そこでグリスで潤滑している。
ところがこのグリスがナットとホイールが接触するテーパー部についてしまうと良くない。締め付ける規定トルクはこのテーパー部分が潤滑されていない前提で定められている。
もし、このテーパー部が潤滑されて滑りが良くなってしまうとボルトを引っ張る力が想像以上に働いてしまう。一説には同じトルクで締め付けても、テーパー部を潤滑すると摩擦が少なくなる分ボルトを引っ張る力は3倍以上にもなってしまうという。そうなると「規定トルクで締めていたのにボルトが破断した」というトラブルに繋がりかねない。
そこで自動車メーカー側では潤滑しないように明記しているのだ。だが、ポルシェなど一部のメーカーでは潤滑を推奨している場合もある。このあたりは個人の判断になる。
年に何度も付けたり外したりするようでネジ部にだけ薄く潤滑するのもアリ。だが、絶対にテーパー部にはグリスが付かないようにすること。ネジ部に薄くグリスを塗ってからペーパーウエスで拭き取ってしまい、ネジの凹み部分にだけグリスが残っているくらいでも十分な量である。多すぎるグリスはホコリを集める要因にもなるので少ないほうが良いのだ。
ほぼ付け外しはしないとか、1年に2回だけスタッドレスタイヤにして、また戻すだけというなら潤滑しなくてまったく問題はない。
◆その使い方は間違っている? トルクレンチの正しい使用法
あとはトルクレンチの使い方に気をつけたい。ちょっとずつ締めていくのではなく、ギューッと締めていってカチカチとなったところが規定トルクである。一定速でギューッと締めていくことが大切で、ちょっとずつギュッギュと断続的に力を入れていると規定トルクがズレてしまう。また、使い終わったら必ずトルクは0か、定められた最小値にして置いておくこと。内部のスプリングが伸びて徐々にトルクがズレてきてしまうのだ。
そこでトルクレンチの校正が必要となる。これは規定トルクが徐々にズレてくるので、工具メーカーに送って既定値になるように調整してもらうことを言う。もちろん校正はしたほうがいいが、正直ホイールトルク程度であればきちんと保管時に最小値にして置いておけば、5年や10年はそのままで大きな問題は起きない。締めた手応えであまりにもおかしければ校正したほうがいいが、正直筆者は古いトルクレンチでも明らかにズレておかしくなっているものに遭遇したことはない。
エンジンを組むとかそういった場合に使うトルクレンチであれば1~2年ごとに校正するチューナーは多い。また、その期間使えないと困るので新品をその度に購入し、古いものは売ってしまうという人もいる。
ホイールナットだけでなく、オイル交換時のドレンボルトやプラグ交換時などもトルクレンチを使ったほうが安心。その場合、規定トルクが小さいのでホイールナット用では無理。サイズの小さいものを揃えておくようにしたい。概ねDIYでは2種類のトルクレンチがあれば事足りるだろう。
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