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【ホンダ ヴェゼル 改良新型】乗り心地とステアフィールが格段にアップ、その理由を開発陣に聞いた

レスポンス / 2024年7月8日 12時0分

4月にマイナーチェンジしたホンダ『ヴェゼル』。内外装の改良のほか、グレード体系を3つに集約しシンプル化。人気の装備をオプションパッケージ化することで納期の改善も図った。そんなヴェゼルの試乗が叶い、とくに乗り心地の進化の度合いの大きさに目を見張らされた。


そこで開発にまつわる思いの丈や裏話(?)を、開発チームの竹澤憲一郎さん(ホンダテクノフォート 車両開発1室 完成車戦略統括ブロック Principal Engineer)、佐藤敏秋さん(本田技研工業 ICE完成車開発統括部 商品技術企画部 機種開発推進課 アシスタントチーフエンジニア)のお2人に伺ってみた。


◆スッキリ、ダイレクト感を与えてくれるような乗り味に


----:試乗して驚いたのですが、従来型に対して乗り心地とステアリングフィールが格段に気持よくなったのを実感しました。


竹澤さん:ありがとうございます。今回はステアリングの本当の切り始めのところから素直にロールが入り、素直にトレースが始まるところにこだわりました。そのためにリヤの減衰力を少し落として接地感を上げました。


----:なるほど。


竹澤さん:今まではリヤ下がりを嫌ってリヤを硬めにしていました。それを少し減衰を抜くことでリヤをロールしやすくし、リヤのグリップがシッカリ感じられるようになるので、スッキリとしながらもダイレクト感を与えてくれるような乗り味にセッティングを変えまています。


----:欧州仕様は最初からそのセッティングだったということですか?


竹澤さん:欧州はスピードレンジが高く、スタビリティが欲しいので、どうしてもリヤの減衰が強く張った方向になります。が、今回、日本をメインにセッティングを見直そうということで、もう少しアジャストしてリヤの減衰を抜きました。欧州は他社もそうですが、ダンパーの動き出しが凄くスムースで、その先は粘ってくれるセッティングですが、そのノウハウを日本仕様にも採り入れた形です。


----:“1G組み付け(※)”にはなっていますよね?


※編集部注:または“1G締め”。工場などでの宙吊り状態(0G)ではなくクルマの重さをサスペンションが支えている(クルマが地面に設置している)状態でサスペンションアームのボルトを締め込むこと。これによりブッシュへの負荷を最適化できる。


竹澤さん:2020年あたりから立ち上がっている車両はすべてラインの中で“1G”はやるようにしています。


----:1Gの考え方は、確かにそうだよなと思います。クルマは乗員0人で走っている訳ではなく、1、2名乗車を基準とする訳ですから。


竹澤さん:そうですね。大量生産ではどうしてもブッシュの搭載位置、ダンパーの減衰力のバラつきなどが出る。が、それをできるだけ安定化して“中央値”としてお客様にお届けしたいという気持があるので、乗車状態のアライメントで組み上げることで、性能が安定して高品質が保てるんです。


◆ステアリングフィールが走りの味、ブランドになっていく


----:それにしてもステアリングフィールもずいぶんよくなりましたね。初期の頃より確かに操舵力が安定してスムースになったと感じました。きっとクルマに詳しくないユーザーの方でもこうした違いは無意識でも感じることでしょうね。


竹澤さん:そこを感じていただければ嬉しいです。「運転しやすいよね」と言っていただけるだけでもいいんですが、そういうところも走りの味、ブランドになっていくところなので、手を抜かずにクルマの性能として反映していきたいと思っています。


----:いいことですね。


竹澤さん:ステアリングフィールというと好みも分かれますし、なかなかすべての方に気づいていただけない部分でもある。でもトータルで気持いいよね、安定してるよね、運転しやすいよね、と捉えていただければ嬉しいです。


----:今回、ボディ側の変更はおこなっていないということですが、とすると、新しいヴェゼルの心地いい走りは、いいボディと新しいサスペンション、ステアリングのセッティングが組み合わせとなった結果だと?


竹澤さん:たとえばボディのねじり剛性だとか、開発時にもし何かあればエキスパートが感じとってくれますが、今回はそういうことがなかった。なので早くからボディ以外のダンパーの熟成だとかに時間をかけました。


----:熟成はどのように?


竹澤さん:「この瞬間の挙動の中のあのへんの動きがこうなるといいよね」といった風にエキスパートと話をしたり、数字をみながら、スイートスポットはこのへんじゃないかと絞っていきます。


◆静粛性の大幅アップで、乗り心地性能も向上


----:タイヤの空気圧は試乗車の範囲では18インチと16インチの2パターンがありましたが。


竹澤さん:空気圧を決めるファクターには車重、スピードレンジ、乗り味、それところがり係数で決めます。ハイブリッドの場合で燃費に余裕がある場合は乗り味に振ったり、燃費が苦しければ、乗り味と相談しながら少し上げたり。


----:とにかく今回のマイナーチェンジでは、乗り心地が断然よくなった点には驚かされました。FFのほうの変化の幅が大きいということですね。


竹澤さん:はい。AWDに寄せて、より足を動かして乗り心地をよくする方向にFFを持っていきました。併せてEPSも変えました。


----:FFもAWDも、今回のクルマに乗ってみると、それぞれいいクルマだとも感じました。


竹澤さん:両方とも今回は静粛性について相当に手を入れていますので、全体に感じるフィーリングは向上しているんじゃないかな、と思います。


佐藤さん:「ダッシュボードロワー」と呼んでいる部分の吸音材はかなりの量にしています。厚みを増すことで空気の量も増え、その分、吸音性能が上がっています。


竹澤さん:エンジンルームからの音を隔壁の防音材で遮断し、フロアの下から入ってくる音についてはカーペットを改良して対応。さらに乗員の耳の近くの音についてはルーフ部分を吸音して音を落とし、キャビン全体の音を消すという考え方でまとめました。


----:いただいた資料にも“ルーフインシュレーター厚は2倍”などとあるのを拝見して、かなりのこだわりようだなあと思いました。こうしたことで、『WR-V』との棲み分けというか、性格分けがより明確にされたということでもあるわけですね。

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