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ヤマハ発動機、鋳造工程に「水素ガス」導入でカーボンニュートラル実現へ 2025年より実証実験

レスポンス / 2024年7月10日 15時45分

ヤマハ発動機は10日、水素ガスに対応する溶解炉と熱処理炉を備えた実証施設を森町工場(静岡県周智郡森町)に新設すると発表した。2025年より、水素ガスによるアルミ合金溶解技術の開発・検証をはじめ、施設・設備等に関わる総合的な実証実験を開始する。


2026年末には水素ガスによるアルミ合金の溶解および鋳造部品の熱処理に関する技術開発を完了し、2027年以降、当社グループの国内外鋳造工場に順次導入していく計画。この実証実験は、製品ライフサイクル全体のCO2排出量のうち、スコープ1(自社による直接排出)の最少化を目指した取り組みの一つ。


ヤマハは「ヤマハ発動機グループ環境計画2050」で、2050年までに事業活動を含むサプライチェーン全体のカーボンニュートラルを目指している。また、スコープ1、2においてはグループ会社を含む各製造拠点におけるカーボンニュートラル実現の目標を2035年に前倒しし、各種の取り組みを加速させている。


2035年のカーボンニュートラル実現に向けて「化石燃料の最少化」「安価な水素ガスの安定調達」「CO2削減技術の目処付け・実装」を課題として掲げるヤマハだが、日本のスコープ1における工程別のCO2排出割合の中で最も多いのが「鋳造」で55%にものぼる。さらにこの中で化石燃料の占める割合が75%だとしており、これを水素ガスに置き換えることでCO2排出を削減するのが、この実証実験のねらいとなる。


森町工場はモーターサイクル(バイク)や船外機(ボート用エンジン)向けの、ヤマハ製品の中では比較的小さな鋳造部品を手がける。小さな部品から実証実験をおこないカーボンニュートラルに置き換えていくことで、他工場や他工程への導入もスピーディーにおこなうことができると同社は見込む。


鋳造部品の製造では、現在、アルミ合金を溶解するための熱エネルギーに都市ガスなどの化石燃料を使用している。その代替エネルギーを探求する中で、大きな熱量を要する溶解工程の電化はエネルギー効率という点で不向きという判断から、スコープ3(製品の使用や配送・輸送などによる排出)の選択肢の一つとしても研究を進める水素エネルギーに着目した。


実証実験では、水素ガスを用いた場合の品質への影響を検証するほか、水素バーナーによる温度制御等の開発を進める。また、グリーン水素を製造する装置と、外部加熱を使わずに合成メタンを製造するメタネーション装置(CO2と水素を触媒で反応させ、合成メタンを製造する装置。静岡大学との共同研究)についても導入を検討しており、水素ガスを安価に製造する設備や、排気ガス中のCO2を再利用する技術開発にも取り組む。


課題は水素を使うことで発生する水分を含む排気が、鋳造製品や設備にどのような影響を与えるか、また現段階では都市ガスよりも高価な水素をどのように入手し、製造することができるかというコスト面だという。これらを実証実験の中で検証していく。


国内では自動車メーカーの一部で水素ガスへの転換に取り組む例もあるというが、限りなく少ない。実証施設の着工は今年11月、完成は2025年6~8月頃を見込む。同9月から溶解炉と熱処理炉を導入し、実証実験を開始する。

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