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【ホンダ ヴェゼル 新型試乗】乗ればわかる、とてつもない人気車種になった理由…中村孝仁

レスポンス / 2024年7月23日 20時0分

世の中今、電気自動車がダメでハイブリッドが全盛だとか。これ、日本の潮流ではなくて世界の潮流なのだそうである。


ただ、自動車メーカー的にはきっといずれは電気自動車が支配的になるとふんでいる節がある。問題はそれがいつ来るかであって、この流れは止まらないというのがどうもホントのところのようであるのだが、正直なところ実体は誰にも分らない気がする。確かにエネルギー的なことを考えれば内燃機関の特にガソリン車はエネルギー効率だけを考えれば電気自動車には及ばないから電気自動車が良い…となるが、果たしで電気自動車がユーザーにとってフレンドリーかというと、それは一部の人だけのような気がする。


というわけでその折衷案としてハイブリッドが持て囃されているということなのだろう。


マイナーチェンジされたホンダ『ヴェゼル』のハイブリッドはとても良かった。先代に試乗した時もその販売比率が9:1でハイブリッドが圧倒していることに触れたが、今年4月に発売された現行型についてみるとハイブリッドの比率は実に93%にも上るそうで、やはり圧倒的。しかも月間販売目標の6倍も売れていて、今年上半期(ということは旧型がほとんど)のSUV新車販売台数ではついにトップに躍り出ている。要するにとてつもない人気車種…ということである。


◆ユーザーにどこが響いているのか


実際に試乗してみると、ユーザーにどこが響いているのか、なんとなく見当が付く。青山の本社から借り出してすぐに「快適なクルマだなぁ」という第一印象が頭をよぎる。外から見るとこのクルマはウェストラインが高く囲まれ感が強いクルマなのかなぁという想像ができるのだが、実際はそうではない。むしろとても四隅が掴みやすいデザインのように感じられる。


快適な2番目はスーっと走り出して以後も静粛性が高い点。発進を電気が司るからそれは当然として、とにかくスムーズである。e:HEVというシステム自体はマイナーチェンジ前と同じだが、メーカーによれば、エネルギーマネージメント制御を見直すことで、エンジン始動回数、停止頻度を大幅に低減するとともに、アクセルレスポンスをさらに向上させたとある。確かにエンジンが止まっている状況が増えたように感じるが、前回と比較したわけではない。あくまでも感覚的なものだ。もう一つはとにかく静か。これはエンジンが止まっている状況が増えたことによるものと想像でき、そこからも感覚的な正しさは裏付けられると思う。


我々が若い頃は、ホンダというメーカーは尖ったクルマ作りが上手く、それゆえに走り屋と呼ばれる種に属する人たちに大いに受けた。それが時が変わってホンダが軽自動車(これは昔もあったけれど)、やミニバン、それにSUVばかり作って、走り屋受けする車が少ない現在は、いわゆるコアユーザーが走り屋から家族を大切にするファミリーユーザー(その方がパイは圧倒的に大きい)に移ったのか、走りは全体的にマイルドになっている。


もちろんSUVと言っても最近はこれがボリュームマーケットなので、他社には12気筒を搭載した強烈にスポーティーなSUVも存在するが、ヴェゼルを求める層に尖った走りは必要ないからまずは乗り易いが一番なのだ。その点からすると、ステアリングもシャープさよりもマイルドさが目立ち、クルマに対してドライバーが隙を見せても鷹揚に受け流してくれる。


◆クルマ作りの方向性は全く正しい


街中でとても快適でフラット感が高いと思っていた乗り心地は、バンピーなところに行くとソフトなダンピングが逆効果になって収束しにくいという欠点を露呈するが、ではそうした走行シーンと一般的な走行シーンのどちらが多いかと言えばこれもハイブリッドの販売状況同様に圧倒的に一般的走行シーンが多いのだから、そちらを主眼にセッティングをするのが当たり前で、要するに全く正しいクルマ作りをしているのだから何をかいわんやである。


今回はホンダが言うところのリアルタイムAWDのレイアウトを持つモデルをお借りした。残念ながら、その効果を発揮するシーンには巡り合えなかったけれど、AWD効果を実感できる季節にまた借りてみたいものだ。


ヴェゼルが受ける最後の理由として「立派に見える」という点が考えられる。ベースはホンダ『フィット』だ。フィットの3サイズは全長3995×全幅1695×全高1540(グレードによって異なる)mmだ。これに対しヴェゼルは4330×1790×1590(e:HEV Z)mm。特に10cm近い全幅の大きさがワイド感を強調している。必然的にとてもBセグメントとは思えない立派さというか風格を持つというわけである。


走りの性能的に不満はない。強いて言うなら、走りにワクワク感が無いこと。まあ求めるものが違う。クルマ作りの方向性は全く正しい。


■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★


中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員・自動車技術会会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来46年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。最近はテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」という番組で自動車関係出品の鑑定士としても活躍中。

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