AT限定免許でもスポーツバイクを楽しめる! クラッチ操作不要の「Y-AMT」、ヤマハ『MT-09』に年内搭載へ
レスポンス / 2024年7月26日 14時39分
ヤマハ発動機は7月26日、クラッチレバーとシフトペダルを廃した新開発の自動変速トランスミッション『Y-AMT(ワイ・エーエムティ)』を、新型『MT-09』に搭載し年内に国内発売予定だと発表した。AT限定免許でもスポーツバイクに乗ることが可能になり、ユーザーの選択肢を大幅に拡大する。
クラッチ操作を必要としないバイク向けトランスミッションでは、ホンダが「Honda E-Clutch」を搭載した新モデルを発表しているが、E-Clutchはシフト操作(変速)そのものはライダーがおこなうことで、バイクを操る楽しさを実現するというもの。Y-AMTはシフト操作も自動でおこなうことができるのが大きな特徴だ。また足で操作するシフトペダルがなく、MTモードではスイッチ操作のみで変速することができる。
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◆快適性だけのATではなく、スポーツ性と利便性の両立をめざした新機構
ヤマハは2006年に世界初の二輪車用自動化MTシステムとして自動油圧クラッチによる「YCC-S」を開発、スポーツツアラー『FJR1300AS』に搭載し実用化している。以来、ROV(四輪バギー)製品にも搭載するなど継続的な開発を行ってきた。YCC-Sはツーリングなどでの快適性を重視したものだが、Y-AMTはヤマハが掲げる「人機一体」を実現する、より高いスポーツ性と利便性の両立をめざした新機構という点が大きな違いだ。
スイッチ操作でシフトのアップダウンをおこなうMTモード、変速を自動化するATモードを切り替えることができる。これはヤマハの二輪車向けでは初。街中、高速道路、ワインディングロードなど異なる道路環境や、ライダーのコンディション、天候の変化等によってモード選択が可能。MTモード、ATモードともに素早いレスポンスが特長で、スポーティな機能・性能をスポイルすることなく「エキスパートレベルの変速を安定して実現する」としている。
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通常MT車は、左手によるクラッチ操作と、左足によるシフト操作によって変速するが、Y-AMTではこれらのアクションをアクチュエーターが担うことで、ギアチェンジを自動化。ベースとなるMT車の変速機構に大きな変更を加えることなく、人の操作をメカニズムが代替するため、MT車の魅力であるダイレクトな変速フィーリングや小気味よさはそのまま引き継がれる。
左ハンドルのスイッチボックスに備えられたスイッチ(シフトレバー)で、シフトアップ/ダウン操作が可能。グローブをしてハンドルを握っている状態でも自然な動きでギア選択が可能で、人差し指の「+」レバーでシフトアップ、親指の「ー」レバーでシフトダウンをおこなう。
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変速時には、ECU(エンジンの制御を司るエンジンコントロールユニット)とMCU(アクチュエーターの制御を司るモーターコントロールユニット)が通信で連携。ECUは、シフトアップ時のエンジン点火/噴射、シフトダウン時の電子制御スロットルなどをコントロールする。またMCUは、最適なシフト操作/クラッチ操作をアクチュエーターに指示する。
高回転時にはクラッチを完全に切らない状況に応じた最適な制御や、シフトロッド内へのスプリング挿入による変速時間の短縮、前述のエンジン制御とクラッチ制御の協調等により、素早いギアチェンジと変速ショックの低減を両立。またUターンなどの低速走行時にも半クラッチ操作を含め緻密な制御をおこなうことで、ライダーの意思に沿った自然な変速フィーリング、走行感覚を実現した。
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ATモードでは、車速やアクセル開度に応じて自動的に最適なギアを選択するため、アクセルとブレーキ操作だけに集中することができる。操作に余裕が生まれることで、渋滞時の快適性や景色を楽しみながらのライディングを実現する。
◆700ccモデルや900ccモデルに順次展開予定
ユニット重量が約2.8kgと軽量かつスリム・コンパクトな設計で、ベース車両本来のスタイリングやハンドリングへの影響を最小限に抑えたのもポイント。これにより初搭載モデルとして登場するMT-09をはじめ、様々なモデルへの展開も可能になるという。具体的にはヤマハの700ccモデルや900ccモデルに順次展開される予定だとしている。
快適性だけを追求したATではなく、スポーツ走行やバイクを操る楽しさをより身近にするために生まれたY-AMT。搭載モデルの価格は、当然ホンダのE-Clutchを意識したものとなるだろう。正式な価格、発売時期は未公表だが、要注目だ。
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