ブレーキフルード選びの新常識! ISO Class6対応フルードの利点とは~カスタムHOW TO~
レスポンス / 2024年8月6日 6時30分
ブレーキフルードはブレーキオイルとも呼ばれるもの。ブレーキペダルを踏むとペダルの先にある注射器のようなマスターシリンダーが押され、その内部のフルードを圧送する。
フルードはボディの金属製パイプの中を通り、各タイヤハウスまで行き、そこから先はゴムホースを使ってブレーキキャリパーに接続される。
キャリパー内部ではピストンシリンダーをフルードが押すことで、パッドがローターに押し付けられてブレーキが効く仕組みだ。
◆ブレーキフルードのチョイスでベーパーロックを防ぐ
ここで重要になるのがフルードに求められる性能。圧力が伝えられればいいので、水でもオイルでもなんでもいいのだが、キャリパー内部は高温になる。ブレーキを酷使するとローターやパッドは600度や700度以上にもなる。キャリパー自体も250度以上になることもある。
そうなると水だと沸騰してしまう。沸騰するとブレーキホース内部に気泡が発生。ブレーキを踏んでも気泡が潰れるだけでキャリパー内のピストンを押すことができなくなり、ブレーキが効かなくなってしまう。これがベーパーロック現象と呼ばれるものだ。
そこでこの危険な現象が起きないようにブレーキフルードには沸点が高い液体が使われている。スポーツ走行に使われるフルードでは、ドライ沸点と呼ばれる開封前の状態で300度。開封後の空気中の水分を吸収した状態でも200度以上というものが多い。
それだけ高温になっても沸騰しないので、気泡が発生せずベーパーロック現象が起きにくいのだ。
そして、そういった性能と同時にペダルタッチも変わる。粘度の高いフルードはペダルタッチが硬くなる。ブレーキを踏み込んだときに奥までペダルが入らず、カチッとすることで剛性感が高い。そういった質感を目指して各社ではブレーキフルードをチューニングしている。
◆フルードの種類はDOT規格で変わってくる
一般的な純正フルードはDOT3というDOT規格のもの。もっと高温に強いものではDOT4やDOT5があるが、ストリートで使用するのにオススメはDOT4まで。高温に耐えられることと引き換えに、吸湿による性能劣化が大きいので街乗りでの長期使用には向かないのだ。また、最近ではこのDOT規格には合致してないが高性能なフルードも多数販売されている。
そういったフルードではこれまで沸点の高さとペダルタッチのシャープさが人気だった。ところが最近のクルマの進化に合わせて潮目が変わってきている。
ストリートで普通に乗るだけなら、カチッとしたフルードでまったく問題ない。剛性感あるペダル操作感はブレーキの安心感を高め、細かいコントロールもしやすくなる。
ところがサーキット走行となると電子制御とのマッチングが関係して求められる性能が変わってきた。カチッとしたフルードでももちろん問題はないが、近年各ブレーキフルードメーカーからは最新の電子制御に合わせたややタッチがソフトなものが登場している。
電子制御に対応させるべくISOではClass6という、最新の電子制御に対応させた新企画を制定。その規格に合わせたフルードが各社から登場しているのだ。
◆これからの注目はClass6対応のフルードだ!
Class6対応フルードはややタッチが柔らかめで強く踏み込んだときにカツンと効きにくいので、いきなりABSに入ってしまいにくい。ABSや姿勢制御などの電子制御が入ったときには、各ブレーキキャリパーに個別にフルードが送られるが、そのときには素早く作動させることで、電子制御が素早く収束するようにしている。
ブレーキタッチだけで比較するとこれまでのスポーツフルードが良く感じるが、サーキットでのスポーツ走行となるとClass6対応フルードのほうが圧倒的に扱いやすい。ABSも入りにくいし、電子制御が作動してもすぐに収まるのでタイムロスを最小限にしてそのまま走ることができる。
ブレーキフルードの世界も変わってきている。ここ10年以内に製造されたクルマでスポーツ走行を楽しむなら、新たなフルードの導入を検討してもらいたいところだ。
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