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YouTube発のベンチャー企業、「100万円の一人乗りEV」で自動運転の実現へ奮闘

レスポンス / 2024年8月9日 13時0分

一人乗り小型EV「mibot」(ミボット)が、2025年9月から量産を開始し、2027年をめどに自動運転の実証実験を開始すると、広島のベンチャー企業KGモーターズが発表した。


自動車周辺機器メーカーやクルマ系YouTuberを経てKGモーターズを立ち上げた楠一成CEOは、「小型モビリティで持続可能な移動を実現する」というミッションを掲げ、自動運転技術の急速な進化を見据えた将来戦略も明らかにした。


地方の移動課題に着目したmibot


mibotは、1人乗り・短距離移動に特化した超小型EVだ。乗車定員1名、航続距離約100km、最高速度60km/hの原付ミニカー規格を採用している。


mibotが1人乗りであることには以前から疑問を呈されてきたが、楠CEOは「地方都市では公共交通機関が衰退し、1人1台クルマが必要な状況です。一方で、日本人の車の移動の7割は10km未満を1人で運転しています」という。


日本人のクルマ移動の7割は1人で移動しており、1人乗りモビリティには高い市場性があるという。

「東京から地方に転勤した独身の女性が帰り道が怖いという。東京は夜道は明るいが、地方の道路は真っ暗で周りに何もないこともある」などと地方における1人乗りモビリティのニーズについて説明した。


低コスト・低環境負荷と安全性の両立


mibotの特徴は、維持コストの低さと環境負荷の小ささだ。原付ミニカー規格のため車検が不要で税金も安い。「電気代も格安で、1万kmの走行でわずか1.5万円以下です。軽自動車と比べて80%超のランニングコスト削減が可能です」と強調する。環境面では、ガソリン車と比較してCO2排出量を83%削減、既存の軽EVと比べても60%削減できるという。


mibotのもうひとつの注目ポイントは、低価格な一人乗り小型EVとしては、異例のモノコックボディを採用していることだ。これによって量産時のコスト効率を上げながら、衝突安全性の面でも原付ミニカー規格としては高い安全性を確保しているという。ヤマハ発動機でオフロードビークルや一人乗り小型EVの開発を経験し、衝突安全性分野の経験もあるエンジニアが開発に参画し、これもこの分野としては異例の衝突実験を行って、現在も改善を続けているという。


自動運転MaaSで描く未来


KGモーターズは、単なるパーソナルモビリティ機器の開発販売にとどまらず、自動運転が普及した時代に一人乗りの小型EVをシェアするオーナー型シェアリングのMaaS事業も構想している。


「大型車による自動運転では、コストが高く利便性も低くなります。一方、mibotのような小型車なら、低コストで個々人が直接目的地まで移動できる利便性の高いサービスが実現できます」


KGモーターズが描く一人乗りMaaSの実現には、完全自動運転であるレベル5の実現が必須だ。巨大な自動車メーカーでも、膨大なリソースを投入しながらも自動運転を簡単には実現できていない。小さなベンチャー企業のKGモーターズに自動運転レベル5の実現が可能なのか。


「2027年頃から実証実験を開始し、レベル4の自動運転でのビジネス成立を目指します」「自動運転技術は、現在の生成AI技術のように、一度実用化されると一気に普及する可能性があると考えます。我々は、その瞬間が来たときにすぐに対応できるよう、今から準備を進めています」


実際に、mibotとは別チームで自動運転の研究開発が既にスタートしているという。


段階的な生産拡大と独自の開発・販売方式


量産は2025年9月から開始し、初年度は300台を予定。2026年度以降は年間3000台の本格量産に移行し、将来的には年間10万台の販売を目指す。予約受付は2024年8月23日21時から一般向けに開始。予約金は3万円(税込、キャンセル不可)で、車両価格は100万円(税込)だ。


mibotの製造は広島県内で自社生産。本格量産に入った場合も、販売はECを通じたダイレクト販売を基本とする。流通チャネルを極力省くことで、コストを抑える考えだ。一方、サポートに関しては、「外部の力も借りながら一緒にやっていきたい」とのことだった。


単なる「小さく安く手軽」を超えた価値


楠CEOは「mibotは単なる小さい電気自動車ではありません。将来的には自動化され、シェアリングも含めて多くの人が利用できる、持続可能な移動手段になります。そして、自動運転技術が急速に進化したとき、我々はその波に乗って、移動の革命を起こす準備ができているのです」という。


YouTube発の安価な小型EVメーカーとして注目されたKGモーターズだが、量産の実現が見えてきたところで、過熱しすぎていたEVブームもやや落ち着きを見せており、今後、低コストをウリにした海外勢が入ってきて苛酷な競争に晒される可能性もある。


その状況の中で、モノコックボディの採用や衝突試験の実施などで安全性を重視していること、低価格ながらエアコンも搭載したことによる快適性の重視や、実用性の高いラゲッジスペースなど、単に安いだけでなく、実用性の高さをセールスポイントとして打ち出してきた。さらに、自動運転やMaaSという未来も提示したことで、独自性を発揮し、今後増えるであろうライバルに対しても、先だって差別化の手を打ってきたと言えるだろう。

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