EVバッテリー火災の防止へ、「熱暴走を抑制する新素材」LG化学が開発に成功
レスポンス / 2024年10月7日 15時0分
韓国や中国で問題となっているEV(電気自動車)バッテリーによる火災。LG化学は、EVのバッテリー火災の主要因である熱暴走を抑制する新素材の開発に成功した、と発表した。
開発された温度応答性安全強化層(SRL)は、人間の髪の毛の直径の約100分の1という極めて薄い1μmの厚さで、バッテリーセル内のカソード層と集電体の間に配置される。この新素材は温度に敏感に反応し、90~130度の範囲で電池の温度が異常上昇すると、分子構造を変化させて電流の流れを効果的に抑制する。
LG化学の研究チームによると、この材料は1度の温度上昇につき5000オームの電気抵抗増加を示し、最大抵抗は通常温度の1000倍以上に達する。さらに、温度が下がると元の状態に戻る可逆性も備えている。
熱暴走は、バッテリー内のカソードとアノードが意図せず直接接触することで発生し、数秒で温度が1000度近くまで上昇して火災を引き起こす危険性がある。新素材は過熱の初期段階で反応経路を迅速に遮断することで、火災を防止する効果が期待されている。
実際の試験では、この新素材を搭載したバッテリーは、衝撃試験や貫通試験において、火災の発生を大幅に抑制することが確認された。モバイル用LCOバッテリーの貫通試験では、通常のバッテリーが84%の確率で発火したのに対し、新素材搭載バッテリーでは発火事故が全く発生しなかった。
EV用NCMバッテリーの衝撃試験では、標準バッテリーが全て発火したのに対し、新素材搭載バッテリーは70%が全く発火せず、残り30%も数秒以内に消火した。
LG化学は、この新素材の安全性検証をモバイルバッテリーで完了し、2025年にかけて大容量EV用バッテリーの安全性試験を継続する予定だ。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
韓国・現代自動車Gと消防庁、地下EV火災対策でタッグ…「無人消防ロボット」で鎮火へ
KOREA WAVE / 2024年9月27日 8時0分
-
EVバッテリー向け「ラスタン(R)」新グレードの販売開始について
PR TIMES / 2024年9月19日 14時15分
-
中国の電池大手が「発火対策の強化」を訴える事情 韓国のEV火災事故を受け、イメージ低下を警戒
東洋経済オンライン / 2024年9月18日 19時0分
-
豊田章男氏の「EVへの懸念」が現実のものに…世界中で「EVシフト」を見直す大手メーカーが相次いでいる理由
プレジデントオンライン / 2024年9月17日 9時15分
-
10月21日(月) AndTech「リチウムイオン電池の火災事故の現状と海外事例、焼損解析および保管方法・リサイクルについて」WEBオンライン Zoomセミナー講座を開講予定
PR TIMES / 2024年9月11日 19時15分
ランキング
-
1川崎重工、「相次ぐ不正」で業界3位に凋落の危機 防衛の裏金問題と舶用エンジン不正に社長陳謝
東洋経済オンライン / 2024年10月7日 9時0分
-
2消費者とオンラインで開発の日本酒 ラベルも一般公募 酔鯨酒造
食品新聞 / 2024年10月7日 13時25分
-
3その接待、1万円が「経費で落ちるか否か」の分岐点 「2024年度税制改正」を踏まえた経理上の留意点
東洋経済オンライン / 2024年10月7日 12時0分
-
4恐ろしい…軽快なBGMのもと繰り返される「家電量販店の最安値宣言」に込められた、本当の意味【経済評論家が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月6日 9時15分
-
5〈年金月6万円〉妻を亡くした、ひとり暮らしの72歳破天荒な父…訪ねた息子も言葉を失う「あまりに奇妙な生活実態」【FPが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月7日 10時45分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください