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ものづくりの未来を担う才能! 学生フォーミュラが次世代エンジニアを育てる土壌となる

レスポンス / 2024年10月16日 12時0分

年々注目を集めている「学生フォーミュラ」。大学生や専門学校生がオリジナルフォーミュラーカーを製作し、それを走らせて競うイベントである。


若者ならではの新たなアプローチが満載のマシンは、それぞれの工夫が満載。そんなものづくりをしてきた学生に自動車系企業も注目のイベントなのである。


◆新たな視点で学生が作り出すフォーミュラカーの世界


フォーミュラカーといえば、F1のようなタイヤがむき出しのサーキット専用車両を思い浮かべる。F1ではコンストラクターと呼ばれるチームがシャシーを製作し、そこにエンジンを搭載する。フェラーリだけは70年以上も昔から自社製シャシーに自社製エンジンを搭載している。日本で開催されているスーパーフォーミュラなどのカテゴリーではレーシングカー専門メーカーが製作したシャシーに、トヨタ製かホンダ製のエンジンを搭載して行われている。


学生フォーミュラは大学や専門学校などのサークルや研究室が参加している。それぞれ鉄製パイプなどをベースにオリジナルのフレームを製作。そのためサスペンションもストラット式のチームもあれば、フォーミュラカーらしくプッシュロッド式になっていたりもする。そういった自由度が高いのが魅力。


エンジンは600ccなどのバイク用を使い、ミッションもバイク用を使う場合が多いが、軽自動車のエンジンを搭載するチームいる。最近ではEVクラスが設けられ、モーターとバッテリーを搭載するチームもある。


最大の魅力はその自由度の高さにどうアプローチするかということ。ある程度のレギュレーションはあるが、どんなエンジンをどんな向きで搭載し、足まわりもどう動かすのか、ブレーキはどうするのかなど、それぞれのチームの考えによって作られていく。そして、それをさまざまな面から評価していく。


◆形だけじゃなくコンセプトや走行性能も担保されたマシンを製作


走行面では75mのフル加速の性能を競う試験、8の字コースを右に2周、左に2周する時間を競う、約800mの特設コースのベストタイムを競う、そのコースを合計20周するテストなどが課される。さらに走行後に燃料、電力消費量の評価もある。


走行以外では『審査のコンセプトに沿い、製造会社の役員に設計上の優れていることを確信させる』という仮想のシチュエーションのもとで行うプレゼンテーション評価、デザイン評価ではどのような技術を使い、それは市場性のある妥当なものなのかなど細かく評価されていく。


そういった面での総合点を競うのが学生フォーミュラなので、コストを掛けるだけではダメ。速いだけでもダメ。いかにコストを抑えつつ、速くて安定した走行性を持つマシンにできるかという、創意工夫がポイントになるのだ。


過去に学生フォーミュラに参加していたというOB・OGも数多く見学に訪れている。実際に学生フォーミュラをやっていた頃について聞くと、フレームは各サークルに伝わる経験値から同じ形状か、それに近いものを採用する。だが、革新的な技術や新たなアプローチを取り入れていかなければ評価されないので、毎年新たな技術を注入し、進化させ続けて行くことが必要なのだと言う。


普通に走らせるだけでも大変なことで、そのクライマックスはエンデュランスと呼ばれる20周の走行である。2人のドライバーが10周ずつ走行を行うもので、エンジン冷却やモーター冷却もしっかりとされていなければ連続周回できない。ブレーキやタイヤの消耗もあり、手作りマシンでの約20kmに及ぶ連続走行は大変なことで、完走した際にはとてつもない達成感があるという。


そういったものを作る大変さに直面し、さまざまな角度からアプローチをして問題をクリアする能力に注目したのは多くの企業。新たなものを生み出す能力に長けた学生を採用しようと、数多くの企業がブース出展やスポンサーしているのもこのイベントの特徴。


ある企業に聞くと、リクルート活動を踏まえて学生フォーミュラにスポンサーを行っていて、実際ここから入社した人も複数いるという。自分から問題を解決できる能力を持つ人を求めているのだ。


学生フォーミュラは今2024年から中部国際空港内にある特設コースと、その横のホールを使ってガレージとブース出展が行われ、イベントとしてどんどん大きくなってきている。参加チームも全国各地はもちろん、中国、台湾、マレーシアなどから海をわたって参加するチームも増えている。これからの日本のものづくりを支える人を生み出す注目のイベントなのだ。

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