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【ホンダ フリード 新型試乗】ちょうどいいフリードは、独り身にもちょうどいいのか…岩貞るみこ

レスポンス / 2024年10月19日 12時30分

今回のワンポイント確認は、「ちょうどいいフリードは、独り身にもちょうどいいのか」である。


室内空間だか側突安全性だか知らないけれど、どいつもこいつも横幅が広くなる現在に於いて、全幅1700mm以下の5ナンバー(フリードは一部3ナンバーあり)、かつ、後席スライドドアは、使いやすさの権化といっていい。とにかく楽。小さいから駐車が楽。隣のクルマにドアをぶつける心配がなくて乗り降り(乗せ降ろし)も楽。開口部が広くて、雨の日だって傘をたたみながらするりと車内に入り込める。小学生以下のキッズがいるファミリーはもちろん、足が上がりにくくなってきた高齢のジジババも、とにかくみんなが楽っちょなのである。


◆そっけないところが絶妙にかわいい


このカテゴリー、トヨタ『シエンタ』という強力なライバルが君臨するなか、ホンダ『フリード』は、デザインで違いを打ち出してきた。シエンタが、黒をうまく使った表情ゆたかな印象を与えているのに対し、フリードはしれっとシンプルなのである。


ホンダのシンプル路線といえば、あまりに平凡すぎて感性にかすりもしない『フィット』もあるけれど(発表前のちら見せによると次の新型フィットはきりりとした表情になるようだ)、フリードは、どこかクセのある、人懐っこさのあるシンプルさ。そっけないところが絶妙にかわいくて、感性にしっかり訴えかけてくる。


インテリアのデザインもさらりとしていて、操作に集中できる。カーナビの画面は、もう少し、運転席に向いていてくれてもいいのにと思うけれど。


前後シートに行き来ができるウォークスルーが日本のミニバンの真骨頂ゆえに、運転席と助手席のあいだに小物入れなどはなく、2列目も左右シートが独立していて間があいている(3列シートの場合)。小物が多い女性ドライバーにとって小物入れがないとか、2列目シートも離れているとなると、ふだん、室内空間を独り占めして好き勝手に使っている独り身代表としては、まごついてしまう。ペットボトルを置く場所を探したり、2列目にカバンやジャケットを放り込むときに、左右座面のあいだにある「谷」にどきっとしてしまうのだ。もっとも、このあたりは、用品でいかようにも自分流にアレンジできるのだが。


3列目のシートは、左右にハネ上げができるのだが、取扱説明書を見ずに、このへんかな?と手探りでやってもすんなり行うことができた。しかも、2列目のシートから手を伸ばしてもできるので、雨の日も便利。シートをハネ上げてできあがった荷物スペースは、床面が低く、高さのあるものも十分に乗せることができる。


今回の試乗はハイブリッドである。ホンダ独自のハイブリッド・システムである「e:HEV」は、やはりスムーズで乗りやすい。加速するときにエンジンでは物足りなくなりそうな部分を、ちょいちょいとモーターが絶妙にアシストしてくれる。そのタイミングのよさと力加減は褒めたたえたいほどだ。走り始めてからトップスピードになるまでの滑らかさ、追加で加速したいときのアクセルペダルへの反応のよさは、楽しいだけでなく安心して走らせることができる。


◆ちょうどいいフリードは、独り身にもちょうどいいのか


今回のワンポイント確認「ちょうどいいフリードは、独り身にもちょうどいいのか」は、ええとですね、サイズといい、走りやすさといい、荷物も人も十二分に対応できることといい、万能じゃん、という印象しかない。ふだんは独り身だけど、なにかというと荷物が多くて、家族友人を乗せる機会も多い私にも、ちょうどいいと言わざるを得ない。くやしい。


■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★


岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

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