【ホンダ フリード 新型試乗】グッと心地よい“ピープル(+ドッグ)ムーバー感”…島崎七生人
レスポンス / 2024年10月23日 20時0分
実は前後して同じガソリン車同士で5人乗りの『フリードクロスター』(FF)にも試乗し“ギア感”を実感した。対してコチラの『フリードAIR』の6人乗り(AWD)は、グッと心地よい“ピープル(+ドッグ)ムーバー感”がいいと思えた。
ちなみに車重は1470kg(前:830/後:640kg)と前述のクロスターの1400kg(前:810/後:590kg)と、後ろ寄りで70kgの差がある。先代から乗り換えても冬タイヤを無駄にしないように……とのエンジニアの良心から先代と同サイズが採択されたタイヤはどちらも185/65 R15 88S(グッドイヤー製)で、指定空気圧はFFの前輪のみ250kPaであとは240kPa。
あとは諸元表で読み取れる違いはガソリンタンク容量(AWD:53リットル、FF:42リットル)、リヤサスペンション(AWD:ド・ディオン式、FF:車軸式)、スタビライザー(FFのリヤはナシ)など。
以上のような差もあってか、“AIRのガソリンのAWD”は、よりスムースで重厚な乗り味に思えた。言葉で表現すると車重でクルマが路面により押し付けられている風で、アシストが出過ぎない電動パワステの手応えも心強く、挙動もしっとりと穏やか。
1名乗車から最大で人2名+犬(体重15kg)+買い物袋での走行も試したが、いずれの場合も前述のような好印象は変わらない(3列目シートは“起こした”状態)。我が家の乗り心地・NVH評価担当者の柴犬のシュンは2列目にオスワリで乗せていたが、見ていると無用に頭が振られず、少し前に某ドイツ製中級セダンに乗った時と同じように平然と過ごしていた。もちろん人も、乗り味にかけてはひとクラス上のミニバンに勝るとも劣らない快適性が味わえる。
快適性でいえば、デザイナーこだわりの内装のうちでも試乗車のコーディネーションは筆者は「選ぶならこれだな」と思った。好みの話でもあるが、何よりインパネミドル部分のファブリック調素材の落ち着いた色調と風合い(織目が中央部の水平から端は斜めに引っ張られるように変化して見せているのは、ネット通販で見かける伸縮式のソファーカバーのイメージ? あるいは“角”の部分で辻褄を合わせつつ縦の大きな“辺”の部分は全体の水平のパターンと揃えても目にスッキリする?)とその下のトレイが織りなす温かみのある色のハーモニーがいい。シート表皮も深みがあっていい。
3列目シートは折り畳みの操作性が軽くやりやすい。着座姿勢自体は大人の場合はヒザを折って座ることになるが、4角く大きめに作られまさしく旅客機の窓のようで視界が得られるので閉所感はない。
別に試乗したクロスター5人乗り・FF車は、ほぼECONをオンにし、14km+/リットルを超える燃費を確認(WLTC=16.5km/リットル)。こちらの試乗車はWLTCで14.4km/リットルだが、実際にはもう少し差がありそうな感触だった。が、ECONをキャンセルすればより活発な加速は得られるし、何より、燃費をおしてでも得られる快適で上質なドライバビリティに価値があると思えた。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
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