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本田宗一郎氏の思いを未来へ引き継ぐ『第45回 本田財団 本田賞』授賞式

レスポンス / 2024年11月19日 14時15分

ホンダの創業者である本田宗一郎氏が1977年に設立した本田財団が毎年優れた技術に対して授与している本田賞。11月18日に第45回本田賞贈呈式・記念講演が開催された。


◆技術で作り出す人の喜びと幸せを追求する


「人の喜びや幸せを与えるのが技術。人類を含めた地球と調和する技術が必要」との思いから設立された本田財団。設立したのは本田技研工業の創設者である本田宗一郎氏と弟の弁二郎氏だ。そんな本田財団が毎年自然環境と人間環境の両方を大切にする技術である“エコテクノロジー”の観点から、優れた研究成果に対して贈られているのが本田賞だ。1980年に創設された同賞は世界の人々の生活向上に貢献する優れた業績を上げた科学技術者を顕彰するために、日本初の科学分野における国際的な賞として設置されたものだ。自動車/二輪メーカーである本田技研工業ではあるが、自動車関連技術のみならずさまざまな分野を対象としているのも本田賞の特徴となっている。


今年で第45回となる本田賞は光干渉断層撮影(Optical Coherence Tomography=OCT)の開発と商業科および臨床実験に貢献したジェームス・G・フジモト博士(米国マサチューセッツ工科大学 電子工学研究所 電気工学・コンピュータ学科エリフ・トムソン冠教授)への贈呈が決まった。当日は本田賞の授与式に加えてジェームス・G・フジモト博士の記念講演も実施された。


OCT(光干渉断層撮影)とは光干渉を利用して反射光の位置と強度を測定して顕微鏡と同等の解像度で生体組織や物質の表面下構造を画像化する技術(超音波に類似したイメージング技術)だ。医療分野はもちろん多彩な分野で利用されている技術であり、例えばファイバースコープや内視鏡、腹腔鏡と組み合わせることで体内の撮影が可能としリアルタイムで画像化できるのが特徴となった。代表的なものとして当日紹介されたのは眼科医療での使用例だ。


フジモト博士の父親が若くして目を患い、視力を失いかけたことがあったという。しかし網膜の専門家の治療によって視力を回復したことがジェームス・G・フジモト博士に強いインパクトを残し、眼科に興味を持つきっかけになったのだという。


◆医療の大きな発展に寄与する技術であるOCT


眼科医療でのOCTの活用では角膜の厚さや網膜の内部構造、網膜の状態や血管系などを可視化して見ることができるようになった。そのため例えば網膜のわずかな変化も画像化して確認できるようになったのが特徴。アイケアの世界では大きな進化となり、現在では年間3000万件の眼球検査に用いられている技術となっている。


さらにOCTの活用分野は眼科以外の医療分野でも拡大中であり、例えば心疾患の早期発見にも役立っている。血管部分を検査する際これまでは血管造影が従来の検査手法だったが、OCTを用いることで画像の解像度を高めることができ、血管造影剤によるアレルギー反応も考慮する必要が無くなるなどのメリットがある。具体的には血管の閉塞がどのように起きているのか、血管プラークはどこで発生しているのかなどを可視化することができるようになっている。


このように医療の各分野での活躍がすでに広がっているOCT。健康診断や失敗の早期発見などにも効果を発揮する技術として各方面で期待されている。フジモト博士はOCT研究チームを率いてOCTの提案から開発普及までに貢献してきたことが評価され、エコテクノロジーの観点から本田賞を贈ることになった。

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