車内がライフスタイルになる時代。ホンダ車が描く“使う楽しさ”の新境地
レスポンス / 2024年12月27日 19時0分
ホンダアクセスが『N-VAN』、『フリード』、『ステップワゴン』などに純正アクセサリーを使って使用シーンに合わせたコーディネートをしたデモ車両を用意、冬のコタツ仕様からペットとのドライブ仕様までが揃った。ホンダ車による自分流の利用シーンを想像してみよう。
ホンダの純正アクセサリーパーツを供給するホンダアクセスだけにパーツの利用価値を高める車両展示が本来は本筋のハズ。しかし展示されるデモカーはいずれもパーツを販売するためだけの“陳列車両”になっていないところがこだわり。あくまでも“モノ”だけでは無く“コト”にフォーカスを当てたクルマ作り、クルマ使いのコーディネートが非常に興味深くて参考になる。
◆EVをカーライフに溶け込ませる2つの提案
その筆頭となったのが2台の「N-VAN e:」だ。今年登場したN-VANのEVモデルをベースに、電気を使ったアウトドアでのクルマ遊びをサポートする2つの方向性のシミュレーションが実施された。そのひとつがN-VAN e:に“こたつ”を積載したコーディネート。テーマは「お正月はこたつでのんびり車中泊」だ。
最大の特徴はなんと言ってもN-VAN e:の電源を利用して1500Wの電力を車内で利用できるシステムの導入だ。純正アクセサリーであるAC外部給電機と外部電源入力キットを使って、フロントグリルにある給電ポートから車両搭載のバッテリーにアクセスして電源を取りだし、それをリアバンパーの左コーナーに設置した外部電源入力に接続し、車内のコンセント(AC100V/1500W)で利用できるようにするシステム。
外部給電と言えば従来はキャンプ場などに設置された給電設備から電源線を接続して利用するものだが、N-VAN e:なら自車のバッテリーから自己給電できてしまうのが素晴らしい。バッテリー容量29.6kWhを備えているので今回使用したこたつ(300W)と照明類(40W程度)を使うことを想定すると40時間は使い続けられる計算(60km程度は走行可能なバッテリー残量を残す設定)。2泊3日の車中泊キャンプも余裕でこなしてしまう容量になる。
コーディネートを担当したバンライファーのruiさんによると「こたつは中に暖かさが貯められるのでエコな暖房器具です。300Wでこの快適性を得られるのはすごく省エネ。N-VAN e:のラゲッジサイズにぴったりのモデルを探したんですが、荷室の幅=900mmに合わせて800mm幅の小型のこたつを見つけて用意しました」とN-VAN e:の車内を作り付けたかのようなこたつ仕様に仕上げたのが美しい。
車内の照明にも100V仕様のLEDを使ってライトアップ。家庭用であれば、さまざまな種類の照明を選ぶことができるのもメリットだという。さらにカーテンの設置でもポイントがある。このクルマは純正アクセサリーのルーフインナーサイドパイプとルーフインナーラックが荷室天井に設置されているのだが、ここに突っ張り棒を差し込んで固定した上で“暖簾”を引っかけて両サイドのウインドウの目隠しカーテンとして利用しているのが独自の工夫だ。
「窓のシェードは機能的なんですがちょっと無骨でおしゃれじゃないんです。そこでお気に入りの色柄のカーテンを使って外からの視線を遮ると自分だけの快適な車内スペースを作ることができますよ」
◆車内をワーキングスペースに架装したN-VAN e:
N-VAN e:をベースに使ったもう一台のコーディネートが「写真家と旅するアトリエ」をテーマにした一台。こちらもAC外部給電機と外部電源入力キットを使って車内でカメラのバッテリー充電やPCを使った画像処理や編集作業ができる仕様としている。さらにクルマの近くで野外撮影を実施する際には、ストロボ用の電源をN-VAN e:から直接給電することができるのも注目。
AC外部給電機をN-VAN e:の充電ポートに差し込むと、AC給電機に設置されているコンセントの差し込み口にストロボの電源コンセントをそのまま差し込んで利用することができる。このスタイルならN-VAN e:の電源を使ってアウトドアでの撮影も自由自在。コーディネートを担当した写真家の小川元貴さんは、自らもN-VANに乗って車中泊をしつつ、雪山撮影などもこなすアクティブ派。N-VAN車内での編集作業にも実際に手がけているだけに真実みのあるコーディネートとなった。
◆くつろぐ車内にシアター設置で贅沢な時間が流れていく
次に用意されたのはフリード クロスターを使った「シアター女子1人車中泊・冬の夜長を映画で楽しむ車中泊」をテーマにしたコーディネート。その名の通り、車内にスクリーンを設置してここにプロジェクターで映像を映し出して車内シアターを楽しむ仕様だ。
コーディネートを担当したまるななさんによると、スクリーンに使っているのは実は家庭用のロールスクリーンだ。1級遮光の遮光性能の高いスクリーンだとそのまま映像を映すスクリーンとして利用できるという。ラゲッジ後方に取り付けるとリアウインドウの目隠し効果と同時にシアター仕様でも使える便利機能だ。
そんな車内シアターでもうひとつ大切になるのが外からの光を遮るシェード。まるななさん曰く「純正アクセサリーで用意されているプライバシーシェードがかなり優れているんです。広い範囲をすっぽり隠せるし、窓の下の方までシェードがあって遮光性が高いです。車内をかなり暗くできるのでシアター利用にももってこいの装備です」。
後部座席をフラットアレンジしてシアタールームを作る際にもうひとつの便利装備になっていたのが純正アクセサアリーのシートバックテーブルだ。折りたたみ式の小型のテーブルでフロントシートの背に取り付けられる。このクルマではプロジェクターを設置する台としてフル活躍していた。後席をフラットアレンジして作ったシアタールームでは飲み物などを置くテーブルとしても活躍しそうだ。
◆ホンダアクセスオリジナルのアイテムも盛りだくさん!
ここまでは用途に特化した仕様がズラリと並んだが、お次に用意されていたステップワゴンはアウトドア仕様のスタンダードを標榜する仕様。フルフラットアレンジした際にスクエアな空間が作れるステップワゴンはアウトドアレジャーのベース基地としてはうってつけ。想定したのは父子でアウトドアレジャーに出かけるシーンだ。
2人で快適に寝られるベッドルームを作るのがまずは必須。そのためには目隠し(純正アクセサアリーのプライバシーシェード、セパレートカーテン)の装備に加えて快適で暖かい寝袋、そしてフルフラットシートの凹凸をカバー&車体下からの底冷え防止の機能を備えるマットの三種の神器を用意する。ここまでの広くて快適なベッドスペースを確保しながら大型のレジャーギアなども積み込めるステップワゴンの積載性があれば、さまざまなアウトドアレジャーを車中泊と共に楽しむことができそうだ。
アウトドアレジャーなどの用途別/シーン別の仕様を見てきたあとは、ホンダアクセスが近年力を入れているペットとのお出かけ仕様の×2台の車両取材に移った。「N-BOX JOY」には「愛犬とお出かけ&キャンプ」をテーマにしたコーディネート、もう一台の「フリードe:HEV AIR」には「愛犬とドライブ」をテーマにした仕様が施された。
ワンちゃんと出かける際にもっとも気になる車内でワンちゃんの居場所となるペットシートやケージだろう。その点、ホンダ純正アクセサリーには充実の愛犬用アクセサリーが用意されているので必要なアイテムをチョイス可能だ。
N-BOX JOYには助手席にペットシートプラスわん2を設置、小型犬ならケージ内に納められる仕様だ。またリアシートにはペットシートマット+ペットドアライニングカバー+ペット車外飛び出し防止リードを設置。これなら後席スペースをいっぱいに使ってペットの居住スペースを作ることも可能だ。一方、リアシートを倒してラゲッジスペースを拡大した際にシートバックにカバーを設置できるカーゴライナーも便利な装備。目的地で停車中にペットの居場所として使う際も、アウトドアギアの積載時にもシート背面を汚すことが無いのも利便性が高い。ワンちゃんを連れてアウトドア遊びに出かける想定で使える装備だ。
一方のフリードe:HEV AIRはワンちゃんとのドライブを主に考えられた仕様。ラゲッジには3列シートのフロア側のシートマウント部を使ってワンちゃん用のバギーをタイダウンベルトを使って固定していた。運転席後ろにはペットシートサークルを取り付け、中型犬までが乗車可能な余裕のスペースを確保する。また助手席にはN-BOX JOYと同様のペットシートプラスわん2を設置。いつでも愛犬を載せてドライブに出かけられる仕様が完成した。
ホンダ車に用意される純正アクセサリーは多種多様。アウトドアやペット仕様など、さまざまな用途に合わせたパーツを組み合わせることで、クルマとの旅をより快適にしてくれるオリジナルのコーディネートが可能だ。さまざまな使用シーンを想定した車両のセットアップ例が用意された今回の取材、これらを参考にクルマ旅をさらに楽しく&濃いものにするための自分だけの工夫を込めてみよう。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。
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