チューニングで愛車は本当に早死にするのか? 知られざる寿命の真実~カスタムHOW TO~
レスポンス / 2025年1月18日 6時30分
チューニングしてクルマを改造したら、クルマの寿命は短くなってしまうのか。答えはイエス。だが、それは度合いと内容による。
もちろん、フルチューンエンジンでノーマルの2倍も3倍もパワーを出せば必然的に寿命は短くなってしまうが、市販パーツによるチューニングであればまず寿命が短くなるようなことはない。
◆愛車のパワーと寿命は反比例の関係なのか?
大切なマイカーをチューニングするときに気になるのはクルマの寿命が短くなってしまうことではないだろうか。特にエンジンパワーにおいては、最大出力をたくさん出すほど寿命が短くなる傾向にあるのは間違いない。
例えば、1000psを超えるようなチューニングカーでは、毎年のエンジンオーバーホール、もしくはサーキット数回走っただけで、オーバーホールをしなければならないこともある。だが、それはノーマルパワーの実に4倍近いパワーを絞り出しているからであって、チューニング=必ずしも寿命が近くなるというわけではない。
例えば、最も手軽なパワーアップチューニングとしては、ECU書き換えチューンがある。エンジンを制御するコンピューターの内部データを書き換えることでエンジン本来のパワーを引き出すチューニングである。NAエンジンであれば5~10%程度のパワーアップが見込める。ターボエンジンであれば20~30%程度のパワーアップも可能。施工はコンピューターに接続して、データを書き換えるだけと手軽でコストも10万円前後からと比較的リーズナブルに行うことができ、その費用対効果も大きい。
だが、一昔前で言えば、コンピュータチューンによってエンジンパワーを絞り出すとエンジンが短命になると言われていた。しかし、現代のECUチューンはエンジンの寿命を削りながらパワーを絞り出しているのとは考え方がそもそも違う。
◆チューニングは今と昔で大きく違う
昔の純正ECUは安全マージンを十分にとった空燃費で、いわゆる濃いめの状態だった。それをガソリンの噴射量を絞っていくことでパワーを絞り出していた。そうなるとパワーは出るが燃焼室内の温度が高くなり、エンジンブローの危険性などもあった。
ところが現代では安全マージンを削って、パワーを絞り出すのとはちょっと考え方が異なっている。そもそもエンジン側では加速騒音規制に適合させるためや、燃費を良くするために意図的にパワーや努力を絞っている部分がある。
その部分を解放し、エンジン本来の力を発揮させると言うイメージが強い。また、可変バルブタイミング機構を使ってタイミングを最適化することで、パワーやトルクを引き出すこともできる。そういったチューニングデータの書き換えがメインになるので、エンジンの寿命をすり減らしながらパワーを絞り出しているのとはちょっと異なるのである。
ターボ車であれば、ブースト圧を10~20%ほど高くしてエンジンパワーを高めることもあるが、これもノッキングなどエンジンに不具合が起きない範囲でのブーストアップなので、エンジンの寿命を短くするようなチューニングではないのだ。
実際筆者もZC33Sスイフトスポーツで1台目は8万km以上ブーストアップで走行。2台目はタービン交換をした状態で7万km以上を走行。その間エンジントラブルなどはまったくない。パワーやトルクダウンも起こさず乗り続けていた。きちんとしたチューニングであれば寿命を気にすることなく、そのパワーやトルクを楽しむことができるのだ。
車高調などのサスペンションはノーマルサスペンションに比べれば、どうしてもそのライフは短い傾向にある。ノーマルサスペンションが10万km以上もノンオーバーホールで使えるのに対し、車高調などアフターパーツのサスペンションは、オイル漏れなどのトラブルを起こさずとも本来の性能を発揮できなくなっている場合が多い。
それは摺動抵抗をおさえるために、純正サスよりもシール材などが柔らかく作られていたりする影響もあり、徐々に劣化していく。できれば数万kmごとにオーバーホールをしたほうが本来の性能を長く楽しめる。10万km近く使ってオーバーホールとなると内部パーツを大幅にリフレッシュしなければならず、新品購入に近いメンテナンス費がかかることもある。できれば数万km、使っても5万kmまでの間でオーバーホールを繰り返して行った方が良い状態で、コストを抑えながら長く使えるだろう。
このようにチューニングしていくとライフが短くなる部分もあるが、そうでない部分もある。またパーツ選びや、その内容によっても大きく異なるのでよく吟味した上でチューニングするようにしてもらいたい。
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