100V家電を車内で使いこなす! ポータブル電源の活用術と最新事情~Weeklyメンテナンス~
レスポンス / 2025年1月23日 6時30分
アウトドアレジャーや車中泊でニーズがアップしているポータブル電源。小型で大容量の電源は車載して用いるのに絶好。クルマでレジャーに出かけた際に100V仕様の電気機器使えるのが便利だ。
普段使っている家電を車内で使いたいというニーズは高い。家電製品のバリエーションの広さに加えて、自宅でも使える汎用性もあって車中泊やアウトドアでの使用をプランするケースも多いだろう。そんな時に便利に使えるのがポータブル電源(ポタ電)だ。近年はさまざまなメーカーから色々な容量のモデルが登場し、車載アイテムのひとつとしてすっかり定着している電源系アイテムだ。
「車中泊やキャンプするユーザー用でしょ?」「自分には無関係」と思っている読者もいるだろうが、例えばパーキングで休憩した際に電気ポットでコーヒーを入れたり用途は幅広いので実は車載していると便利なシーンは数多いので注目してみよう。
ポタ電とは内蔵されているバッテリー(リチウムイオンやリン酸鉄リチウムなどを使用)から100V出力/12V出力を備えた電源機器のこと。バッテリー単体では無く入出力や充電系統などがパッケージされていて、そのまま持ち運べて充電/給電が可能な手軽に使える、どこでも使える移動式の電源なのが特徴。
ユーザーの主な目的は100V仕様の家庭用電化製品を車内で使うことだ。ポタ電には100Vコンセントが装備されているので、そのまま家電をコンセントを差し込めば使えるのがメリット(消費電力によって使用不可の場合もある)。しかも車両の配線・電源の加工は不要で、独立した電源供給ネットワークが作れるのも魅力だ。
そんなポタ電は通年で便利さを実感するのだが、冬の時期に特に便利なのが暖房機器の利用だろう。パーキングでも仮眠や車中泊、車内ランチをする際に車内の寒さはとにかく大敵。しかしエンジンを掛けてヒーターを付けっぱなしにしておくわけには行かない場所もあり、その際には独自の暖房設備が必要になる。そんな時に便利に使えるのが電気による暖房機器だ。
車中泊するユーザーの間ではさまざまな暖房機器が用いられているが、キーワードになるのは消費電力の低さだ。電気ストーブなどの暖房機器は1000Wを超える消費電力となる場合も多くポタ電での利用時間が限られてしまう(同時に車内は基本的には火気厳禁なので使いづらい)。そこで注目されるのが例えばパネルヒーター(150W程度)や電気毛布(50W程度)、小型のこたつ(300W程度)など、数十W~数百W程度の消費電力で暖が取れるので、車内での利用方法を工夫(足もとに毛布を掛けたり、こたつのようなやぐら状に毛布を掛けて中にパネルヒーターを仕込むなど)することで暖かい環境をポタ電からの電源供給で作れるのだ。しかも消費電力を抑えることで長時間を利用できるのも実用的だ。このように機器を工夫することで車内でのポタ電利用の可能性はますます広がるので自分なりに工夫してみると良いだろう
ところでポタ電は自宅の100V電源を使って充電してクルマに持ち込むのがベーシックな利用方法だが、車内でポタ電を長時間使う(車中泊で連泊するなど)場合には電気が枯渇してしまうことも考えられる。そこで便利なのが走行充電だ。その名の通り走行している間にクルマのバッテリーから電気を供給してポタ電を充電するという充電方法だ。もっとも簡単な走行充電はシガーソケットを経由して12V電源を供給しポタ電を充電する方法だ。しかしこの方法では100W程度の電力しか供給できないので充電時間が非常に長く必要になってしまう(1000Wのポタ電を充電するのには約10時間必要という計算)。もっと急速に充電したい場合にはバッテリー直の走行充電システムを組む必要がある。インバーターを使って車載電源を交流化して充電するシステムや直流での充電システムなどがあるので車載でのポタ電ヘビーユーザーはチェックしてみると良いだろう。オートキャンプを趣味にするユーザーの中にはソーラーパネルからの電力を充電に利用するシステムを組んでいるケースもあるなど、ポタ電を中心にした車内の電源システムを組めるのも夢が広がるだろう。
近年ポタ電は急速に進化を続け、サイズや機能などもさまざま。その中でもっとも重視したいのが容量だ。一般論として大型のポタ電=大容量、小型のポタ電=小容量という構図が成り立つ。車内で利用する電気機器の消費電力と利用する想定時間を考えてポタ電の容量を選ぶのが良いだろう。その際に容量を示す数字となっているのが「1000Wh」と言った数字。これは1000Wの電気機器を1時間使えるというスペック(あくまでも理論値だが)。つまり数字が大きくなればなるほど大容量の電気機器を長時間使えるというわけだ。もちろんポタ電はその分、大型化&高価格化するので車内スペース&予算との相談になるので程よいポタ電を見つけると良いだろう。またポタ電を複数持っているユーザーも少なくない、買い足していく場合でも前のポタ電はムダにはならず、全体の容量として計算できるのもポタ電の良いところでもある。
クルマで車中泊やアウトドアレジャーに出かける際、車内での暖房、調理器具の利用などを含めて100V仕様の機器を使いたいというユーザーなら持っておきたいポタ電。車内を100V仕様のオール電化にして快適性をアップさせてみるのも良いだろう。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。
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