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【VW パサート 新型試乗】PHEVは、EVに踏み切る前の一歩として魅力…諸星陽一

レスポンス / 2025年1月26日 17時0分

◆ステーションワゴン専用設計となったパサートの進化


フォルクスワーゲンの『パサート』がフルモデルチェンジ。これまでのセダンとステーションワゴンの2ボディバリエーションは廃止され、今回はセダンモデルがラインアップから外れた。


従来、「ヴァリアント」として知られたワゴンの名前も廃止され、そのまま「パサート」の名を冠した新型ステーションワゴンとして登場した。これにより、パサートは実質的にステーションワゴン専用の車種となった。ボディ幅が20mm拡大し1850mm、全長は130mm伸ばされ4915mmとなった。ホイールベースも50mm延長され、全体的に余裕を持ったデザインが実現されている。


また、ワゴン専用設計のため、ラゲッジスペースの拡大も大きなポイントだ。通常時で690リットル、後席を倒せば最大1920リットルの容量を誇り、使い勝手は抜群。加えて、電動トノカバーやラゲッジフロアでの荷物固定、さらにDC12VとAC100V(1500W)の電源供給機能なども充実している。


新型パサートには、日本仕様として2リットルディーゼルエンジン(TDI)、1.5リットル48Vマイルドハイブリッド(eTSI)、そして1.5リットルPHEV(eハイブリッド)の3つのパワートレインを用意。とくに注目すべきは、マイルドハイブリッドシステムで、エンジン出力110kW/250Nmに対して、モーターは85kW/330Nmを発揮し、352Vのリチウムイオンバッテリー(容量25.7kWh)が運転席下に配置されている。このシステムにより、WLTCモードで最大142kmのEV走行が可能だ。


◆特筆すべきはそのスムーズな加速


走行性能においても、特筆すべきはそのスムーズな加速。モーターアシストにより、走り出しは非常にスムーズで、バッテリーが80%以上の時はEV走行からスタートし、残量が少ない場合でもドライバーが選択できる。ハイブリッド走行でも、エンジンとモーターの協調が自然で、全体的に非常にスムーズな走行感覚が得られる。


さらに、「Rライン」に標準装備され、「エレガンス」にはオプションのアダプティブシャシーコントロール(DCC Pro)が、走行安定性を向上させる。DCC Proでは減衰力を2バルブ方式で制御しており、ボディ制御が格段に精密で、加減速時の乗り心地が非常に快適。特にコーナリング時の安定感が高く、スポーティな走行を楽しむことができる。


回生ブレーキの強弱もセンターモニターで調整可能で、個人的には「強」での走行が快適だった。回生ブレーキの強さは、いわゆるBEVや一部のPHEVほど強烈ではなく、むしろ自然な感じで運転できる。もしパドルで直接調整できれば、さらに使いやすいだろう。


静粛性についても、パサートはかなり高いレベル。タイヤノイズが若干聞こえる場面もあったが、ステーションワゴンとしては非常に静かで快適な走行が楽しめる。


◆EVに踏み切る前の一歩としても魅力的


価格面では、パサートのPHEV(eハイブリッド)はエレガンスグレードで655.9万円、Rラインで679.4万円。国のCEV補助金55万円や地方自治体の補助を考えると、かなりお得感があり、EVに踏み切る前の一歩としても非常に魅力的な選択肢だ。


■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★


諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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