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【トライアンフ スピードツイン900 海外試乗】普段着で気軽に乗れる「本格派ネオクラシック」…佐川健太郎

レスポンス / 2025年1月28日 20時5分

◆アグレッシブな新カラー、旋回性能高めた足回り


旧き良き時代のトライアンフの伝統を今に伝えるモダンクラシックファミリーの中で最もベーシックなモデルが『スピードツイン900』である。元々は「ストリートツイン」と呼ばれていたが、2023年に今の名称へと変更され、今回2025年モデルとして大幅リニューアルされた。水冷並列2気筒で最高出力65psのスペックも従来どおり。


一方で足まわりは大きく進化した。前後マルゾッキ製サスペンションはフロントに倒立フォークとリアにピギーバック式ツインショックを新たに採用し、新型ホイールにトライアンフ銘柄の4ピストンラジアルキャリパー&320mm大型ディスクを装着してブレーキ性能も強化。また、スイングアームを従来のスチール製からアルミ鋳造タイプとし、長さも15mm短縮することで旋回性能も向上させている。


見た目がまず新鮮だ。白地に鮮やかなオレンジとスカイブルーという派手なカラーリングが今までにないスポーティさを印象付ける。スリム化された燃料タンクから続くスロットルボディとサイドパネルは一体感のあるデザインへと洗練され、エンジンカバー類もスリム化されサイレンサーもコンパクトになった。また、多彩な情報を表示できるTFTディスプレイ内蔵のLCDメーターや小径薄型のフルLEDヘッドライトを新採用するなど電装面もアップグレードされている。


◆「スピードツイン1200」よりも車体はコンパクト、エンジンはロングストローク


車格は先月に試乗した新型『スピードツイン1200』に比べるとひと回りコンパクト。新たに採用されたクラシカルなベンチシートは780mmと従来よりも15mm高めだが、形状がスリムになったおかげで足着きはむしろ良くなった気もする。


そしてエンジンがいい。伝統のバーチカルツインが紡ぐ270度クランクの不等間隔パルスは、高めのギアで流していても図太いトルクで路面を蹴り出していく。兄貴分の新型「スピードツイン1200」よりもロングストローク設定ということもあり、鼓動感という意味ではむしろ「900」のほうがエモーショナルに感じるかも。


◆スタイリッシュに現代的な走りを求めるなら新型


フロント18インチとオーソドックスな車体構成によるクラシカルな乗り味は健在で、ややシート後方に座ってリーンウィズのまま体重移動で操っていくリアステア的な乗り方が合っている。ただしフレームと前後サス、スイングアームも強化されて乗り味もだいぶ現代的になっていることも事実で見た目の印象以上に良く曲がってくれる。


160サイズの細めのリアタイヤのおかげで、左右の切り返しなども速度によらず軽快だ。標準装着されているミシュラン・ロードラシックも好印象で、しっかりとした剛性感のあるタッチで初めてのワインディングでも安心して身を預けることができた。また、ライディングモードは従来からの「ロード」と「レイン」の2種類だが、新たにリーンセンサー付きのコーナリングABSとトラクションコントロールが標準装備され安全性も向上している。


ひとつ気になっていたのが5速ミッションで、流れの速い欧州の高速道路では辛いかと思っていたが、実際には120km/h巡行も楽々こなせるレベルだった。さすがに風圧はきつくなるが、ネオクラシックとしては十分なレベルだろう。


結論として、クラシカルな雰囲気と穏やかな乗り味を求めるなら従来型もありだし、スタイリッシュに現代的な走りを求めるなら新型をおすすめしたい。街に溶け込むデザインで普段着でも気軽に乗れて扱いやすい。自然体で付き合えるバイクだ。


■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
ハンドリング:★★★★
扱いやすさ:★★★★★
快適性:★★★★
オススメ度:★★★★★


佐川健太郎|モーターサイクルジャーナリスト
早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。(株)モト・マニアックス代表。バイク動画ジャーナル『MOTOCOM』編集長。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。


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