え? 新型車?…埼玉トヨタのショールームで世界限定20台の『セラ』を展示!
レスポンス / 2025年2月12日 10時30分
2025年1月から埼玉トヨタのショールームに展示されている1台が、ちょっとした話題となっている。羽のように開いたドアが「何これ!」「新型車?」「懐かしい!」などと来店客の目を引いているのだ。
埼玉県鴻巣市の埼玉トヨタ熊谷南店は2021年にオープンした県北の旗艦店。その広々としたショールームの一番目立つ位置に展示されているのは『プリウス』や『アルファード』などではなく、1992年式の『セラ』だ。
セラは1990年にデビューした小型3ドアクーペ。その3年前の第27回東京モーターショーに出展されたコンセプトカー『AXV-II』を、ほぼそのままのスタイリングで市販化した、まさにバブル時代のモデルだった。
メカニズムは同社の4代目『スターレット』がベースだが、その最大の特徴は「あらゆる天候下でのオープン感覚の体験」ができる特別なドアだ。発売当時は「ガルウィングドア」と紹介していたもので、カタログには「未知への翼」とも謳っていた。ガルウィングは厳密に言えばヒンジを天井に設けてドアを上下方向に開閉する方式で、メルセデスベンツ『300SL』やDMC『デロリアン』などが知られており、このセラのようにルーフ前端とAピラー根元の2点を支点として開く方式はバタフライドアなどと呼ばれる。しかしながらバブルの勢いのある時代。翼のように跳ね上がる大胆なドアは、ルーフのほぼ全てがガラスで占められたグラスキャノピーとも相まって一目も二目も置かれたのだった。
さて、なぜ令和のトヨタディーラーに30年前のセラが展示されているのかというと、ここの常連客の愛車のひとつで、フルレストアに近い状態にまで完成した珍しいクルマが話題作りの一助にもなれば、と話がまとまったのである。
オーナーは、近隣にある「雪どうぶつ病院」の獣医師・院長の水口雪さん。「子供の頃にセラがデビューして一目ぼれ。当然買えません。18歳になった時点で、すでにセラは生産中止になっていたので中古を購入しました。その後も前期、中期、後期、AT、MT、CD・10スピーカー・DSP搭載のスーパーライブ、色違いなど30台ほどのセラを乗り継ぎました。途中、フルエアロ、ターボエンジン載せ替えのカスタムセラに乗っていた時期もありました」。まさに「セラマニア」である。
しかも「セラ・オプションマニア」なのもすごいところ。「小学生の頃からお年玉などを貯めて純正オプションカタログに出ているものはほぼ入手しました。大きくなって免許取った頃には無くなると思っていましたから」。
さらにである。この展示された個体は、1990年にオープンの東京・池袋にあった複合型ショールーム「アムラックス (AMLUX) 」(2013年に閉鎖)の2周年記念で発売された50台限定車だ。2トーンのボディカラーやカラードホイールキャップ、オリジナルデザインのファブリックシート、2シーター風に見せる後席トノカバーなどが備えられている。実際に売れた数は20台で、その後10台ほどが海外に輸出されているという。日本に残っている数は不明だが、水口さんの手元には、10年前に手に入れたこの個体ともう1台レストア中のものがある。もともとセラ自体の生産台数は約1万6000台ほど(海外向け約1000台)とあまり売れておらず、30年も経てば現存数はかなり少ないと思われる中での超レアなアムラックス仕様である。
「結婚して子供が出来たタイミングで一度セラをお休みし、保管してメンテのみ実施していました。それが、保育園の息子が保管してあるセラを見て『これで保育園に行きたい』と言ってくれたので、セラをフルレストアすることにして公道デビューしました」。板金塗装やエンジンなどは専門業者、整備はディーラーで行っているが、足回りや内装の仕上げなど自らできるところは寸暇を惜しんで作業をしている水口さんである。
その甲斐あって、息子さんは「セラおじいちゃん大好き」と言い、乗り降りの際、靴でステップを汚さないようにするなど大事にしてくれているそうだ。
長年集めてきたパーツやオプションもレストアで大いに活用されている。一部を列挙すると、雨量に応じてスピードを自動制御するオートワイパー、地磁気センサーを使用した電子コンパス「ナビボーイ」、エアコンの吹き出し口から香りを発散させるコントローラー「エアファンタジー」、天吊りタイプの空気清浄器、カーテンタイプのトップサンシェード、ピラースポットライト、アームレスト機能付きコンソールボックス、高級本牛皮シフトノブカバー、インパネトレイなどと枚挙にいとまがない。
埼玉トヨタ熊谷南店でフロントを務める橋本拓也副課長は、当初セラが持ち込まれた時「自分が若い頃、初めて整備したのがセラ。それがまさか今になって診ることになるとは」と驚いたという。「今、現場では若い子では無理なので、年数行ってる人間に整備を任せています。古いクルマは正直やりたくないですけど(笑)、水口先生はパーツをたくさんお持ちですし、セラに詳しい方ですから整備はやりやすいです。始めはびっくりしましたけどね。凄いなと」。
取材中、次から次へと来店客があったが、まず間違いなくセラの前で立ち止まっていた。「お客様の反応は良いですね。知っている方が半分、知らない方が半分。旦那様が奥様に説明したりして。『何だこれ!』『アムラックスというクルマって何?』『トヨタで新しく出たクルマ?』とか。ピカピカで新車っぽいですし、黄色いフォグランプとか泣かせるじゃないですか(笑)」と橋本さんも楽しんでいる様子である。
16歳の時にセラのホームページ立ち上げたという水口さんは、「トヨタディーラーに展示してもらえるのはマニアからするとお祭りです!」と嬉しそう。「子供の頃からの夢は今も続いています。今改めてセラという存在に恋をしています。これからも自分が生きていく限り乗っていきたいし、もし子供が乗りたいと言ってくれたらタイミングを見て譲ろうと思っています」。
展示期間は2月末までの予定だが、橋本さんによれば「修理名目で預かっていますので、終わらなければ延長したいです、水口先生がよろしければ(笑)」とのこと。
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