三菱重工、自動運転バス実証実験に路車協調システムで参画…カメラとAI画像分析で死角をカバー
レスポンス / 2025年12月23日 9時30分
三菱重工業は、栃木県下野市のバス路線における自動運転バスの路車協調システムの実証実験に参画すると発表した。期間は12月15日から2026年2月末までの約2.5カ月間を予定している。
実証実験は、国土交通省関東地方整備局の支援を受けて栃木県・下野市・交通事業者の関東自動車が連携して実施する自動運転バス実証実験と協力して行われる。対象路線は「自治医大線」で、「自治医大駅」から「自治医大病院」停留所間で実施される。
三菱重工は日本工営から受注し、路車協調システムの設置・撤去とデータ収集を担当する。この取り組みは、下野・小山エリアで無人自動運転移動サービスの普及・拡大を図る取り組みの一環として実施される。
路車協調システムは、単眼の光学カメラを活用した高度なAI画像分析により、自動運転バスの死角をカバーする。周辺環境の正確な把握とリアルタイム情報提供を可能にし、安全でスムーズな運行をサポートする。
カメラ画像とAI分析を組み合わせることで、道路上の車両や歩行者を検出・追跡し、位置、移動方向・速度情報などに変換して自動運転車両へ送信する。AI画像分析によりトラック・乗用車・二輪車といった車両の種別も判別可能だ。比較的安価な単眼の光学カメラを用いることで、導入しやすい費用の設定を目指している。
実証実験では、JR自治医大駅のロータリーに設置されたバス停留所から自動運転バスが発車する際、右斜め後方のロータリー中央部にある待機エリアから接近してくる車両を路車協調システムで検出する。位置や速度などの必要な情報を自動運転バスに送信し、車両搭載センサーで検知するには時間的余裕が少ないとされる右斜め後方からの車両接近に対応することで、バス停留所からの安全な発車を支援する。
また、バス停留所とその付近に一般車が駐停車した場合は、路車協調システムがその車両を検出し、表示や音声で移動するよう促すことで、自動運転バスのスムーズな運行を支援する。
三菱重工はこれまで、自動運転バスの死角となる交差点の脇道から接近する車両の検出や、自動運転バスが右折する際の対向直進車を検出して安全性向上を図る試験などを通じて、路車協調システムの実績を積んできた。
同社は今後も自動運転バスの路車協調システムをはじめ、運行支援システムの開発を推進し、自動運転バスの社会実装に向けたソリューション活動を積極的に展開することで、人材不足が課題となるバス路線の維持、交通手段の確保に貢献していく。
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