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飯塚事件・元死刑囚の再審可否 福岡地裁きょう判断 「女の子を見たのは事件当日ではない」「坊主頭の男を見た」焦点は2つの新証言 司法の判断は

RKB毎日放送 / 2024年6月5日 0時8分

32年前、福岡県飯塚市で小学1年の女の子2人が殺害された「飯塚事件」。死刑が執行された元死刑囚の2度目の再審請求について、福岡地裁は5日午前10時に、裁判のやり直しを認めるかどうかの決定を出します。

焦点は、弁護団が提出した2つの新証言。

死刑が執行された元死刑囚の再審が認められたことはこれまでになく、司法の判断が注目されます。

「飯塚事件」とは

1992年2月、福岡県飯塚市で登校中だった小学1年の女の子2人が行方不明となり翌日、約20キロ離れた山中(当時の甘木市・八丁峠)で遺体となって見つかりました。

事件から2年後の1994年、久間三千年元死刑囚が逮捕され、殺人などの罪に問われました。

裁判で、久間元死刑囚は無罪を主張しました。一方、裁判所は約11年に及ぶ審理ののち、遺体に付着していた血液と元死刑囚のDNA型鑑定の結果や目撃証言などから死刑を言い渡し、2006年確定しました。

確定判決から2年異例のスピードで死刑執行

そして、久間元死刑囚の家族らが再審請求の準備を進めていた2008年、刑の確定から2年という異例の早さで死刑が執行されました。

第1次再審請求は棄却

死刑の執行から1年後、遺族らは「遺体に付着した血液が久間元死刑囚のものと一致したとするDNA型鑑定は誤り」として裁判のやり直しを請求しました。

飯塚事件弁護団・徳田靖之弁護士(2009年10月)「久間三千年さんについての再審請求書を福岡地方裁判所に提出いたしました」

福岡地裁は「当時のDNA型鑑定についてはその証明力をより慎重に検討すべき状況にいたっている」と指摘したものの、「DNA型鑑定以外の証拠でも目撃情報などの状況証拠を総合すれば、高度の立証がなされている」として請求を退けました。

2度目の再審請求

2021年に遺族らは、新たな目撃証言などをもとに2度目の再審請求を行いました。

弁護団が提出した主要な新証拠は2つ。2人の目撃者の証言です。

新証拠(1)女性が覆した証言

ひとつは、事件当日、女の子2人を最後に目撃したとされる女性(当時20代)が、「目撃したのは事件とは別の日だったのに、記憶とは違う調書を作られた」などと覆した証言です。

確定判決では、この女性の目撃証言などをもとに被害児童は午前8時半ごろ住宅街の三差路で誘拐されたと認定。その前後の時間帯に三差路付近で、また遺留品の発見現場近くでも久間元死刑囚のものと似た車が目撃されたことを状況証拠のひとつとして、元死刑囚を殺人犯と結論づけています。

「自責の念から」自ら弁護士に連絡

弁護団によると、女性は報道で第1次再審請求が棄却されたことを知り「いたたまれない思い」から自ら弁護士に連絡をしてきました。

弁護団は、「自らの記憶と異なる供述調書が作成されたことが、死刑判決に影響を与えてしまったのではないかという自責の念から新たに証言するに至った」とし、新たな証言が、確定判決を揺るがすものになるとみています。

飯塚事件弁護団・岩田務弁護士「今度の新証言が認められると前の判決そのものが崩れてしまうと思っています。誘拐現場と認定された三差路が誘拐現場ではないという話になってくると、三差路で元死刑囚のものと似た車が目撃されて、その怪しい車が八丁峠で見られたのでこれが犯人の車である→その車に似た車に久間さんが乗っているから久間さんが怪しい、という一番最初の出だしがつまずいてしまう。それだけの今度の証言はインパクトがあると思っています」

弁護団「女性の証言には信憑性がある」

弁護団は事件当時、三差路周辺には証言を覆した女性のほかにも複数の人がいたにも関わらず、女性だけが2人の女の子を目撃したのは不自然として、女性の新たな証言には信憑性があると主張します。

飯塚事件弁護団・岩田務弁護士「三差路では、確定判決が認定した女性が女の子を見たとされた時間には、非常に近接したところで他に4人がうろうろしているわけですが、その人たちは見ていない。こんなことがありうるのかと。確定判決が認定したとおりだと、同時にいたはずの、ほとんど時間を接して数秒違えどいたはずの人たちが片方は見たと言って片方は見ていないということをベースにした死刑判決が出ているわけです」

新証拠(2)男性の証言「別の男性を目撃した」

弁護団はこのほか、事件当日、飯塚市内で「元死刑囚とは特徴の異なる坊主頭で色白の男が女の子2人を乗せた車を運転していたのを目撃した」とする男性の新たな証言も証拠として提出しました。弁護団によると、男性は報道で女の子2人が行方不明になったことを知り、翌朝警察に通報したということです。

新証言の2人証人として採用・法廷で陳述

2度目の再審請求では、裁判所と弁護団、検察側が複数回にわたり協議を続けてきました。その中で、証言を覆した女性と「別の男性を目撃した」という男性は証人として法廷に立ち、尋問が実施されました。

検察側「新証言は信用できない」

検察側は、証言を覆した女性について、「自分のせいで死刑になったと思い込み、証言を否定せざるを得ない心境になったもので信用できない」などと反論したということです。

●飯塚事件弁護団・徳田靖之弁護士
「女性の証言は死刑判決有罪判決の大きな要石だったわけです。なんとか本当のことを言わなければいけないという決心をして私の事務所の電話番号を調べて電話をしてきた。法廷にまで立つという人間としての誠実さ。裁判所がその誠実さを正面から受け止めてほしいと願っています」

再審開始の可否 新証言の評価が焦点

死刑執行後に再審が認められた例はこれまでありません。

新証拠として提出された2つの新証言を裁判所がどう評価するのかが焦点になります。

◆女性の新証言を「信用できる」とし再審請求を認めるのか。

◆女性の新証言を「信用できない」とし再審請求を棄却するのか。

◆女性の新証言を「信用できる」とした上で”その他の証拠を総合すれば、高度の立証がなされている”などとして再審請求を棄却するのか。

福岡地裁は5日午前10時に、久間三千年元死刑囚に対する再審開始の可否について決定を出します。

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