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疲弊する教員たち 連日、睡眠時間2~3時間「何もする気が起きなくなった」休職経験の教員の思い

RKB毎日放送 / 2024年6月19日 17時28分

教員の働き方が今、社会的な問題となっています。うつ病などの精神疾患で休職した公立学校の教員は、2022年度、全国で過去最多の6539人となり年々増えています。

福岡市でも公立学校の教員全体の1.13%の94人にのぼっていて働き方改革が喫緊の課題となっています。どんな現状なのか、過去に精神疾患で休職した教員に話しを聞きました。

福岡県内の小学校で働くAさんです。午前8時20分からが勤務時間ですが、ほぼ毎日、その時刻よりも早く学校に来ています。

小学校の教員Aさん
「僕が(学校に)着くのが大体いつも7時半くらいですが、管理職の先生を含めて10人弱ぐらいはもうすでにいます」

RKB 本田奈也花アナウンサー
Q朝早く来てどういった仕事をしていますか?
「今の時期だったら運動会のために(グラウンドに)線を引いたりとかしてますし、先生によっては、朝早く来て授業の準備をしてる人だったり、それぞれかなと・・・」

1年目で「クラス担任」 慣れない業務に苦労

教員になって、5年目のAさん。1年目にいきなり、今とは別の小学校で担任を任されました。教育実習で子供たちに教えた経験はあったものの、「担任」という慣れない業務に苦労しました。

Aさん
「実際担任を持つのと、1~2週間で何回か授業するというのはギャップはあると思う。実際の現場に立って行き当たりばったりでやりながら、指導の先生に教えていただく流れですね」

当時のAさんの1日です。定時よりも早い朝7時30分に登校して子供たちを出迎えます。給食の時間も宿題のチェックや丸付け作業に追われていました。

さらに、児童が帰った後もテストやドリルの採点のために残業し、帰宅後も授業の準備などに追われました。

連日、睡眠時間2~3時間で「何もやる気が起きない」

睡眠時間は2~3時間しかとれない日がほとんどだったということです。

このような生活が1年ほど続いた教員2年目の時、Aさんは体調を崩し、およそ4か月間休職しました。

Aさん
「(当時は)何もする気が起きなかった。学校に行くことが出来なかったない。やめたいと思ったこともあります」

精神疾患で休職 過去最多の6539人に

Aさんのように精神疾患によって休職する人が増えていて、2022年度は全国の公立学校で6539人に上り、過去最多となりました。

福岡県内で教員のカウンセリングを専門とする医師は「年々、子供や保護者に向き合う時間が長くなり、教員の疲弊につながっている」と話します。

福岡聖恵病院 十川博 副院長・心療内科部長
「教職員の方は色々な肉体的な労働もあると思うが、色々な感情を使う。お子さんたちに対しての色々なお気持ち、保護者に対しての気持ち、いいことも悪いこともあって、最近は感情が疲弊してしまう。いじめの件数、それから不登校の件数が非常に増えている。不登校の方のことを報告しないといけない。そういう二次的な作業が非常に増えている」

教員志願者数も減少傾向

教員のなり手不足も深刻です。福岡県が先月末に発表した来年度の小学校教員採用試験の志願者数は733人、倍率はおよそ1.2倍と減少傾向が続いています。

福岡聖恵病院 十川博 副院長・心療内科部長
「一番問題なのは長時間労働ですよね。若い方はワークライフバランスで自分の生活を大切にしようという風に思って、入職するわけですけども、とてもその自分の時間なんか持てない。メンタル的に少しやられてとしまうということがあると思うんですよね」

「定額働かせ放題」で長時間労働に

長時間労働の一因となっているのが、1971年に制定された「給特法=教職員給与特別措置法」の存在です。

残業代を支払わない代わりに給与に一定額を上乗せする制度などを定めたもので「定額働かせ放題」の温床と言われています。

こうした状況を改善しようと、文科省は先月、上乗せ分を現在の4%から10%以上に引き上げる方針を示しました。

見直しでも「業務と見合っていない」

今でも毎日、定時で帰ることはないというAさんは、この方針について「給特法を廃止して働いた分の残業代を払ってほしい」と話します。

Aさん
「実際働いてる時間は、多分当初法律が決まったときよりは、ものすごく増えてると思うし、(勤務)時間を考えたら4%という数字は今の業務とは見合ってない。待遇としては良くなるってことだとは思うんですけど根本の解決には、つながってないかなとは思う」

教員志願者増加目指す取り組みも

教員志願者を増やそうと、福岡県や佐賀県では今年度から採用試験の日程を例年よりも1か月前倒しして実施しました。採用活動が早い民間企業に志願者が流れるのを防ぐ狙いがあります。

また、福岡県では「大学3年生チャレンジ特別選考」という新たな試験も導入しました。

これは本来4年生で受ける一次試験を、3年生のうちに受けられるものです。4年生になったら、より難しい二次試験に集中できる環境を整えることで、より良い人材を確保することを目的としています。

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