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6時間後には「もう逃げられませんよ」 AIで洪水の浸水範囲を予測 早期の避難を促すシステム

RKB毎日放送 / 2024年6月28日 17時40分

大雨による土砂災害で「逃げ遅れ」が懸念される中、災害が起きる前にAIを使って浸水範囲や危険リスクの予測をするシステムの研究が進んでいます。素早い判断を迫られる自治体にとって、AIが一つの支えになっています。

村民「システムを見て対応を考える」

職員「きょう夕方(高齢者等避難を)出しましょうか、という話をしている」
村民「出る?高齢者?」
職員「うん」
村民「きょう18時から小石原公民館で会議や。それなら泊まっといた方がいいね」

福岡県東峰村では27日、気象庁が「線状降水帯」の予測情報を出したこともあり、不安を感じた住民が役場に来ていました。

気象庁のホームページに加え災害予測の説明に職員が活用していたのが、九州大学が開発した「市町村災害対応総合システム」です。

村民「この時期はこのシステムを見て、防災課の話を聞いて自分の対応を考える」「一番頼りになります」

「6時間先の予測」生かして高齢者を避難

東峰村では7年前、土砂災害や河川のはん濫などの豪雨災害で3人の犠牲者が出ました。

RKB 下濱美有
「システムを導入している東峰村です。役場に入ってすぐのモニターにシステムを表示しています」

東峰村では、気象庁や県の情報に加え、6時間先の予測ができるこのシステムを使って「高齢者等避難」や「避難指示」を出す判断をしています。

東峰村 阿波康成 防災管理官
「四角い枠で囲んであるのが、東峰村の住民がいるところです。雨が降り続いた時には、枠の色が変わってくる。黄色から赤、紫になってくるわけですけれど、そういうところは早く避難させた方がいいですよと」

数時間かかった予測が数分に

AI(人工知能)を活用するこのシステム、災害が起きる前に被害を予測していのちを守ろうと、九州大学の三谷泰浩教授が開発しました。

九州大学 三谷泰浩 教授
「AIで解くと数分で答えが出てくる。どこの場所から洪水が発生しますと入れると、ぱっと一目瞭然で出てくるということ」

5年前に開発されたもので、降水量や洪水、土砂災害の被害などを地図上に色分けして表示します。川が決壊した際の「6時間先までの浸水範囲」の予測について、通常の計算であれば数時間かかるところ、AIを使うことによって数分ではじき出すことができます。

さらに、こうした被害予測と、「どこにどれくらいの年代の人がいるか」の情報を合わせることで、「いつ避難が困難な状況になるのか」を予測することも可能です。

九州大学 三谷泰浩 教授
「住民Aという方は、3時半の時点では『まだ逃げられる』状況。水害が発生すると水に覆われてしまうので、避難所に行くのに逃げる時間がだんだんなくなるんですよね。4時半になると、黒丸の人は『逃げられない人』を指しているんですよ。避難開始をこの時間にしておかないとあなたたちは逃げられませんよ、というのが6時間くらい前からわかる」

AI活用しつつ「最終的には各自の判断」

気象庁が出しているキキクルに比べて、細かい地区ごとに予測するのも”売り”の一つです。三谷教授は、一刻を争う災害の現場でAIの活用は意味があるとする一方、最後は各自の判断が必要だと強調します。

九州大学 三谷泰浩 教授
「ある程度の正解率で答えを得られるので、AIの活用は十分に効果があるのかなと思います。情報は提供するんだけれども、その中で『自分がどう考えて理解して納得すべきなのか、行動すべきなのか』。最後は自分だと思うんですね。そういう意味では今後は可能な限り情報提供は行っていきたい」

また、住民が実際の被害情報を写真で投稿することも可能です。

東峰村 阿波康成防 災管理官
「自分たちが電話でどんな状況か内容を聞いて、実際に見に行って、では遅いですよね。時間がかかる。そういう意味では写真は一番いい」

災害がどこで起きているのか素早く情報を収集できるため、職員の人数が少ない村にとっては大きな助けとなっています。

東峰村 阿波康成 防災管理官
「一番は、『犠牲者を出さない』。早く判断したいが、そういうものがなかった時は難しかった。今は判断してくれるので手助けになっている」

東峰村のほか、北海道や茨城県の自治体でも活用されているシステム。住民の命を救うために判断を迫られる自治体にとって、AIが一つの支えになっています。

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