クラス担任は「複数の教員がチームで」 従来の「担任固定制」から移行した中学校 「勇気をもってチャレンジした」
RKB毎日放送 / 2024年7月5日 18時5分
クラス担任を1人に固定せずに、複数の教員がローテーションで担う「チーム担任制」が福岡市の中学校でも始まっています。
教員の業務負担が軽減できるほか、複数の教員で生徒の情報を共有することで、きめ細かい指導ができるなどの効果が期待されています。
4クラスを教員7人、3クラスを5人で担当
福岡市城南区の城西中学校(生徒数701人)は1学年に7クラスずつあり、教員は44人います。
教員1年目の星野智香先生(22歳)です。
星野智香 教諭
「全員提出になっているから、絶対持ってきてね。3人しか持ってきてないから。いいですか?」
生徒たち「はーい」
生徒
「美人です。あと面白いです」
「相談しやすくて頼りやすいなと思います」「年齢が近いからいい」
ホームルームでの生活指導など担任業務を行っていますが、このクラスの担任…というわけではありません。
城西中学校ではクラス担任を1人に固定する「固定担任制」を廃止し、2024年度から「チーム担任制」を導入しました。
2年生は7クラスを2つのグループに分け、4クラスを7人、3クラスを5人の教員が担当しています。
担任の業務を行う「メインティーチャー(MT)」と、副担任の業務を行う「サポートティーチャー(ST)」は1週間ごとに交代します。
生徒
「毎週毎週、誰が来るかワクワクします」
「新鮮な感じもあって楽しいし、いろんな先生と交流できるから去年と違うような学校生活が楽しいです」
ベテランを見て学ぶ若手教師
この日、2年2組のメインティーチャーは星野先生。
サポートティーチャーはベテランの角敏夫先生(62歳)です。
星野智香 教諭
「相談に乗ってもらったり、困った時はアドバイスをいただけるし、自分がSTの時は別のクラスに入ってみて次の週にすぐに実践できるので、自分が成長できるすごく大きな一因になっていると思います」
角敏夫 教諭
「頑張ってます。子供たちは、『苦手な先生でも1週間で代わるし、いろいろな先生に相談できるからいい』と言っている子も多いですね。
チーム担任制を導入する学校は少しずつ増えています。
経験の浅い教員にとっては、他の先生の指導法を見て学ぶことも多いようです。
星野智香 教諭
「1組から4組まで120人くらい受け持っているので、みんなの担任みたいな感じで大変なこともあるんですけど、いろいろな先生に助けてもらいながら毎日楽しく働けています」
久保晴佳 教諭(13年目)
「若い先生にいきなり『担任をやれ』となるとすごく負担になると思うんですけど、ベテランだったり、中堅が一緒にチームを組んでやるのは若い先生にとっては心強いかな」
教員の「働き方改革」としても
文部科学省が「学校における働き方改革の事例」として紹介している「チーム担任制」は、担任の業務負担を分散することで、教員1人あたり年間66.7時間の業務削減が見込まれています。
教員の働き方改革は喫緊の課題となっています。
うつ病などの精神疾患で休職する公立学校の教員は年々増えていて、2022年度には全国で過去最多の6539人というデータもあります。
チーム担任制を導入する学校は少しずつ増えています。
福岡市の公立中学校では能古小中学校、城西中学校、東光中学校の3校。北九州市では折尾中学校が導入しています。
能古小中学校は西田校長が以前いた学校で、2021年度に始めました。
2023年度に城西中学校に赴任し、2024年度から導入しました。
チーム担任制が導入されたことで、担任の業務が分散され、教員の負担軽減にもつながっています。
与田光将 教諭
「担任を持っていると、どうしても最後までいなくてはいけないという責任感のもと、休みづらいところがあったと思うんですけど、前より随分休みやすくなったんじゃないかなと思います」
武田和孝 学年主任
「一人一人の負担は減ったと思うが、責任感は定担任制の時と同じように持たないといけない」
教員同士の「情報共有」が必須
チーム担任制を行う上で重要なのは、情報共有です。
放課後などを利用して、生徒の様子などを報告し合うことで、問題の見落としを防いだり、指導内容を相談したりしています。
城西中学校では教員同士が職員室でコミュニケーションを取りやすいように、2024年度からどこに座ってもよいフリーアドレスにしました。
岡崎知里 教諭
「細かな情報共有にものすごく時間がかかるので、そこが難しいかな。試行錯誤という感じです」
西田淳一校長は「チーム担任制を導入はチャレンジだった」と話します。
西田淳一 校長
「思い切った改革は、やっぱり勇気がいります。職員の理解、保護者の理解、生徒の理解も必要です。1人の担任だけが見ていた時は、その子のよさであったり悩んでいることを、どうしても見落としてしまったりということもありました。複数の目で見ることで、その子のいろいろなよさを発見したり、それぞれの先生のよさが子供に行き渡るようになって、非常に手応えを感じました」
保護者からの「不安」には
複数の教員の目が入ることで、生徒によりきめ細かい指導ができるというメリットがチーム担任制にはある一方、保護者からは「誰に相談していいのか分からない」という声も上がっていました。
西田淳一 校長
「『学年職員、誰でもいいですよ。名前を言っていただいたら代わりますよ』とお答えしていきました。このシステムでどんなことがよかったか、どんな課題があるか、検証も含めて、しっかりと修正すべきところは修正をして頑張っていきたいなと思っています」
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