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筑後川夏の観光の目玉「鵜飼い」存続の危機 九州北部豪雨から7年今も川に大量の土砂 漁獲量は10分の1に

RKB毎日放送 / 2024年7月5日 19時10分

2017年の九州北部豪雨から5日で7年となります。崩れた山の斜面からは今も砂が筑後川に流れ込んでいます。その影響もあって、筑後川名物の鵜飼いが今、存続の危機を迎えています。

漁獲量は豪雨前と比べて「10分の1」に

5月20日筑後川に初夏の訪れを告げる鵜飼いが解禁されました。

去年、おととしと2年続けて大雨で中断を余儀なくされ今年は中断されずに済むのか、不安と期待が入り混じる中での解禁でした。

臼井家6代目鵜匠 臼井信郎さん「3匹、あとは小鮎ですね・・・ちょっと太りが遅いですね」

約1時間の漁で取れたのはアユやハヤなど20匹程度、2017年の九州北部豪雨の前に比べて10分の1程度の漁獲量です。

7年前の7月5日、九州北部を襲った豪雨によって大量の土砂が山から、筑後川に流れ込みました。

豪雨から7年 今も川に大量の土砂が流れ込む

記者江里口雄介「こちらは普段、鵜飼いが行われている筑後川の河川敷です。このように足元を見てみますと・・・きめの細かい砂が堆積しています。このような砂は川の底の方にも溜まっているとみられます」

九州北部豪雨で崩れた山の斜面から今も大量の砂が筑後川に流れ込んでいるのです。今月1日の雨でも砂が川岸に流れてきました。

鵜匠 梶原日出夫さん「1日はですね。今砂がこうありますけど、この石のところの上っ面をちゃぷちゃぷ寄せた感じで、水がきました。もうちょっとしたらこの道に上がってくるかな、という感じですね」

梶原日出夫さんは、梶原家4代目鵜匠で、49年間、鵜飼いを続けてきました。
アユが少なくなった要因の一つは砂の影響だと言います。

鵜匠 梶原日出夫さん「魚取りはやっているんですけど、あんな風に石がありますけどもその石の上に砂が溜まって、アユが住めないような、苔、餌ができなくなるために、天然アユが少ないですね」

砂の堆積によって、河床が上がったことから豪雨災害に備えて筑後川では堤防の設置が進められています。また、筑後川漁協は浚渫工事を要望しています。

筑後川漁協組合 三原次雄組合長「もう堤防オーバーフロー寸前まで水かさが上がっているんですよ。河床を下げていただかんと、いつかは僕は大きな災害が来るんじゃないかなと思っている、心配しております」

筑後川漁協は、鵜飼いとアユ釣りという筑後川の観光名物を守ろうとアユの放流にも取り組んでいます。

筑後川漁協組合 三原次雄組合長「釣り人が少ないんですよ。そういうことでアユが少しでも釣れたらいいんじゃないかということで、一応1500キロ今年入れます」

アユの放流には、梶原さんとコンビを組む鵜匠の臼井信郎さんも立ち会っていました。

もともと3人しかいなかった鵜匠は九州北部豪雨以降の不漁のため1人が廃業し、今や梶原さんと、臼井さんの2人だけになっています。

鵜飼いは2人1組で漁を行うので梶原さんと、臼井さんのどちらかが欠けても存続できないという危機的な状況です。

鵜飼いを存続させるためにもその魅力をもっとアピールしようと臼井さんは新たな取り組みを始めました。

鵜飼い存続に向けて「出張」も

鵜匠 臼井信郎さん「『出張鵜飼い』ですね。水槽を積んで魚を持ってやぐらを組んでですね。原鶴以外でも鵜飼いが見られるという形で出張鵜飼いを今年から始めています」

6月にはアビスパ福岡の試合にあわせてベスト電器スタジアムの前でやぐらを組み鵜飼いの実演を行いました。

鵜匠 臼井信郎さん「やっぱりこう外に出てですね。アピールさせてもらってこういう面白い文化がありますよって。知ってもらうのが一番だなと思っています」

鵜匠 梶原日出夫さん「鵜飼いも無事にやっているんだというところをお客様みんなに感じてもらうのが一番なんでしょうけど。人材がいなくなって、自然消滅しないように、一生懸命頑張っていますけどね」

九州北部豪雨から7年。

影響は今も残っていてアユの姿が減ったことはその表れであり、鵜飼いの復活は豪雨災害からの復興の象徴でもあります。

豪雨災害に負けず、地域の伝統を無くすまいと、2人の鵜匠はかがり火を灯し続けています。

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