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国連が採用した「命の水」をつくる技術 ”低コストでシンプル”日本から世界に広がる貯水タンク「ためとっと」

RKB毎日放送 / 2024年7月11日 16時5分

福岡市の建設会社が開発した雨水を地下にためるタンクが、福岡市植物園に完成し、寄贈式が行われました。

「ためとっと」と名付けられたこのタンクは、国連ハビタットを通じて水事情の悪いアジア、アフリカの国々に設置されています。

芝生広場の地下に45トンの水

11日、福岡市植物園で披露されたのは、雨水地下タンク「ためとっと」です。

芝生広場の地下に設置されているので見た目にはわかりませんが、45トンもの水を蓄えることができます。

福岡市の建設会社が開発

福岡市の建設会社・大建が九州大学と共同開発した雨水地下タンク「ためとっと」。

設置方法は、まず、地面を掘るところから始まります。

植物園では、5月に掘削が行われました。

大建 松尾憲親社長(55)「今は掘削している、穴を掘っている状態ですね。横が11メートル、縦が5メートル、深さが2メートルちょっとという大きさの所に水をためていくというところです」

掘削したところに、遮水シートをはり、水をためるスペースを作ります。

そこへ岩石を砕いた小さな石を入れていきます。

水道水と変わらないくらいの透明な水

石が入ったところに水をためると、石の間に住みつく微生物が汚れを食べて分解するので水道水と変わらないくらいの透明な水になります。

松尾憲親社長「今回は2槽作る予定で、1槽はこの屋根に降った水を入れていくと。もう1槽はこの花壇のところの地下水を入れていくということで、屋根からの水と地上からの水、分けて貯水する予定です」

地上も使える 例えば駐車場にも

表面は埋め戻すので、地下のタンクは見えません。

松尾憲親社長「全く見えない、例えば上は駐車場とかいろんなものに使えますので、ふだんと何ら変わりなくご利用できるという、そういうものになっています」

「低コストで施工が簡単」

この雨水タンク「ためとっと」は、2013年、国連ハビタットに採用され、すでにアジア、アフリカの開発途上国に設置されています。

国連ハビタット福岡本部(アジア太平洋地域担当)本部長補佐官 星野幸代さん「低コストであること、そして施工が簡単であること、特に高度な土木のスキルを持っていなくても現地の村の人たちや街の人たちと一緒に作れること。そしてなにより大量の雨水を一度にためられることなどから採用しました」

国連が採用し世界23か所に

最初に設置したのはラオス。現地に水道はなく、飲料用として作られました。

そしてベトナム。現地の人たちと協働作業で、作っていきます。

さらにアフリカ。ケニアの難民キャンプ、カクマに設置されました。公民館の屋根に降った雨水が雨樋からタンクへためられます。

松尾憲親社長「雇用を生むんですね。このプロジェクトは。自分たちが作ったという思いがあるので、我々が去った後も大事にしようという思いに繋がるっていうことで、つくっておしまいということではなくて、その後も大事にしてほしいっていう」

去年は、ネパールに、そして今年3月には、ミャンマーにも設置しました。

国際NGOとの連携で設置したものも含めるとこれまでに、6か国、23か所に作られ、現地の人々に貴重な水を供給しています。

”豊かな水事情”知るきっかけに

松尾憲親社長「日本は世界有数で水に恵まれている国なんですよね、恵まれている生活っていうのが、もしかしたらちょっとした天候異変とか異常気象で雨が降らないっていう状況をあり得るんですよね。あるいは水道が地震とかで寸断されてしまうっていうこともあり得るので、普段から水をためるっていうことに意識を持っていただければ、みなさんの生活も豊かになりますし、是非、そういう認識をもっていただけたら。」

大建の創立50周年を記念して今回、植物園に寄贈された「ためとっと」の水は、植物への散水に使用されます。

福岡市植物園 立場川智子園長「福岡市植物園、実は昔、浄水場の場所だったんですね、そういったことでも水につながりがとってもあると思っていますので、こういった仕組みで水の大切さを市民のみなさんに学んでいただければ嬉しいなと思います」

植物園に設置された「ためとっと」は、普段意識しない日本の豊かな水事情を知ると同時に、水をためる大切さを認識するきっかけとなりそうです。

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