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「道の駅」建設めぐり揺れるまち 高額な建設費に驚く市民も 市長は「来場者200万人めざす」

RKB毎日放送 / 2024年7月17日 18時26分

「道の駅」の建設をめぐり、揺れている自治体があります。福岡県南部の大川市。東京ドームよりも広い敷地に新たな観光拠点施設「大川の駅」の建設を進めていますが、地元では賛否の声が上がっています。いったい何が起きているのでしょうか。

直売所やレストラン・キャンプ場など整備予定

RKB毎日放送 植高貴寛記者「大川の駅の建設予定地、大川市の大野島に来ています。あたり一面に広大な土地が広がっています。現在地盤の改良工事が行われていて、建設予定の展望デッキから大川市のシンボル、昇開橋を眺めることができます。」

筑後川河口の三角州に位置する福岡県大川市大野島。ここに建設されるのが、観光拠点施設「大川の駅」です。

有明海沿岸道路の大野島インターチェンジから500メートルほどの距離で、敷地面積は東京ドームよりも広いおよそ5万平方メートル。

「道の駅」と「川の駅」の機能を併せ持つ施設で農産物の直売所やレストラン、木工のまち・大川をPRする施設に加えて、キャンプ場や子供の遊び場ドッグランなどが整備される計画です。

市民から賛否「うれしい」「ほかにやることが・・・」

市民「建設して人がいっぱい来るんだったらいいと思うけれど、来なかったら廃れた感じに見えるのも嫌ですし、しっかり市がPRしてくれればいいんじゃないですか」

市民「うれしいです。大川市を知ってもらえるきっかけになるかなと思うので」

新たな観光施設を楽しみにしている市民がいる一方で、建設に反対している人も少なくありません。

「大川市の将来を考える会」代表 江藤義行さん(77)「今、反対運動をやっているんですよ。良かったら署名をしていただこうと思って」

「大川市の将来を考える会」代表の江藤義行さんは、大川市役所のすぐ側の公園で「大川の駅」の計画見直しを求めて署名活動をしています。

署名をした人「今、他にやることの順番が若干違うのかなという感じがしますね」

署名をした人「大川が立ち行かんじゃろ、あげんかとばつくっても。つくってもお客さんが行くかどうかも分からんじゃろ」

「びっくりした」 総事業費は89億円

江藤さんは去年8月、大川木材事業協同組合の理事会で市の担当者が説明した「大川の駅」の事業費を聞いて驚いたといいます。

江藤義行さん「設計・建築・土木工事費のみで74億という数字を見てびっくりしたんですよ。建築費がどんどん高騰していってますからね。おそらくこれをある程度こすんじゃないか、100数十億にはなるんじゃないかなと思っています」

大川市によりますと開業は、2027年度の予定。建設事業費と維持管理費約82億円と公表しています。

さらに、これとは別に、市の産業である木工業などをPRするメインの施設を建設する計画で、市は議会で、別途、約7億円がかかるとの見通しを示しました。あわせて89億円にのぼります。

約5900人分の反対署名を提出

江藤さんは、今年2月から住民らと共に署名活動を続け、6月、およそ5900人分の署名を集めて市に提出しました。

市長は「市民サービスに影響ない」

大川市の倉重良一市長は、これまで50億円ほどかけて小中学校の建設投資を行っても財政上問題なかったとしていて、今回の事業についても「市民サービスに影響はない」と話します。

大川市 倉重良一市長「それくらいの投資をしなければ元気がどんどん失われていくのを指を咥えて見るんじゃなくて、今まで再建させてきた財政の中で少なくはないけども、決して市民サービスに影響が出るレベルだとは思っていませんので、それを使うことによって、今のうちになるべく人を呼び込んでビジネスをしている人たちもがんばろうと思えるような施策の中心にしたいというそんな思いです」

ほかの自治体と比べると・・・

大川市と同じく有明海沿岸道路を活用して、2026年6月の完成予定で道の駅の建設を進めているのが熊本県荒尾市です。

荒尾市の人口は、大川市よりおよそ1万8000人多い4万9000人。

これに対し「道の駅あらお」は、「大川の駅」の4割ほどの規模で総事業費はおよそ48億円となっています。

「200万人めざす」根拠は?

大川市が公表している資料によりますと九州で上位の売り上げを誇る「道の駅うきは」は、年間およそ90万人から97万人の利用者数と想定していますが、倉重市長はその2倍を超える「200万人を目指したい」と話します。

大川市 倉重良一市長「私は100万人は最低だと思ってまして、計算の中に福岡都市圏の方とか今後10年後には(佐賀空港の)滑走路が延長されてのお客さまも算定していないので、外国のお客様ですとか福岡都市圏のお客様にたくさん来ていただいて200万人でも来ていただけるところにしていきたい」

専門家は「努力しないと利用者は年々減る」

国土交通省「道の駅」第3ステージ推進委員会のメンバーで、跡見学園女子大学の篠原靖准教授は、大川市の取り組みについて一定の理解を示したうえで「まち全体を巻き込み地元にお金が落ちる仕組みの構築が必要」と話します。

内閣府地域活性化伝道師 跡見学園女子大学観光コミュニティ学部 篠原靖准教授「開業した後にいつでも新しいイベント、情報、新しい観光のメニューをまちぐるみでちゃんと展開していくという努力がないと、利用者は年々と減ってしまう。結局地元にどうやってお金を落とせるかという仕組みが、道の駅だけでなくてまちの中の点在する観光資源になりうるものを磨きあげて、お客さまに回遊していただくような仕組みができてこないと、この道の駅だけの設置で大川市が良くなるとは言えない」

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